脅迫文署が届いた!

「あなたの身辺調査の過程で浮気の事実をつかみました。証拠物件の廃棄処分の手数料として50万円を指定口座に振り込みなさい。支払わなければ家族や近所、職場に浮気の事実を公開します」

2002年の2~3月にかけて都内警視庁、神奈川、千葉、埼玉の各県警に同じ内容の脅迫文書が送りつけられたとする被害届が200件以上ありました。

信用調査会社(興信所)のふりをして、高額納税者名簿や企業名簿などをもとに送り、偽名の銀行口座に振り込むよう指示していました。そのうち約60名がすでに振り込みをしており、総額2,200万円にものぼっています。

60人で2,200万円ということは、一人あたり36~7万円。詳しい内訳は不明ですが、50万円支払った人もいれば、20万円や30万円だけを振り込んだ人もいるということでしょうか。

脅迫の手紙に「浮気の証拠」と書かれてあっても、事実がなければ「なんのことだ? 冗談かいやがらせか」と、手紙を捨ててしまうでしょう。もしくは、浮気の事実がなくても、明らかに脅迫ですから、警察に届け出るべきことです。

身に覚えがある人は

問題は、「実際に浮気の事実がある」人たちです。送りつけられた人の内2、3割の人が支払ったことになります。中には事実であっても、「ばからしい、やるならやってみろ」と無視した人も、また事実はないのにも関わらずトラブルを恐れて支払った人もいるかもしれません。

しかし、いずれも社会的地位がありそうな人物に送りつけているわけで、お金を持っている、ということも容易に想像されますから、下手なトラブルになるよりは…と数十万円でも見も知らぬ相手に支払ってしまったのでしょう。

「お金で片が付く」と思ったのでしょうか。ところが、仮に事実であったとして、また脅迫してきた人物を知っていたとしても、「一度金を支払ってしまえば、いずれまた要求される」という懸念もあるのです。

今回はたまたま、犯人(44歳無職男性)が捕まったので、それ以上要求されることはありませんが、一度支払ってしまえば味をしめて再度、金銭を要求してくることも考えられたのです。

たった1通の手紙で、見知らぬ人に現金50万円を支払うなど、金銭感覚の違いか、気が動転していたのか、いや気が動転しても50万円を支払うというのは、金銭的余裕があるとでもいうのでしょうか。家庭に波風が立つことを思えば安かったのでしょうか? 

50万円ではなく、それよりも低い金額を振り込んだ人は「今はこれしかない、とりあえずこれで」というつもりだったのでしょうか。


2p.弱味につけ込む悪事