2つの女性ホルモン
女性ホルモンには、「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と、「プロゲステロン(黄体ホルモン)」と呼ばれる2種類のホルモンがあります。この2つのホルモンには、異なった作用があります。「エストロゲン」は、「女性らしさ」をつかさどるホルモンで、「美人ホルモン」と呼ばれることもあります。エストロゲンの分泌が盛んになると、女性は女性らしい官能的な身体になり、肌のターンオーバーを正常化する作用があります。「プロゲステロン」は、妊娠するときに重要な働きをするホルモンです。身体に与える作用としては、皮脂の分泌量や細胞の水分量の調整にかかわっています。
この2つのホルモンは、生理周期によってその分泌量は変動しています。月経周期とは、「生理の始まった日から次の生理が始まる前日まで」のことを指します。人によって異なりますが、だいたい25日~38日で1サイクルになります。
生理周期と女性ホルモンの関係
生理周期とは、生理開始日から次の生理がスタートするまでの約28日間のことを言います。この周期の長さは、長すぎても短すぎても、ホルモンの乱れの原因になります。このサイクルの中で、女性の体の変化をみると、ホルモンの分泌によって(1)卵胞期(2)排卵期(3)黄体期(4)生理の4つに分類することができます。(1)卵胞期
生理から、排卵が起こるまでの時期を卵胞期といいます。脳下垂体から卵胞刺激ホルモンが分泌され、卵巣にある卵胞からエストロゲンが分泌され、子宮内膜が厚くなります。妊娠のための体の準備が整う期間です。
(2)妊娠のための排卵期
脳下垂体から分泌される卵胞刺激ホルモン、黄体ホルモンの両方が急激に増え、その作用によって発育した卵胞の卵胞壁が破れ、卵子が飛び出します。これを排卵といいます。生理の周期が28日なら、生理が始まってから14日目ぐらいに排卵が起こります。
(3)黄体期
排卵後から次の生理が始まるまでの期間を、黄体期といいます。排卵の終わった卵胞のことを「黄体」と呼びます。黄体は、プロゲステロン=黄体ホルモンを多量に分泌します。
(4)生理
妊娠しなければ生理が来ます。妊娠するとプロゲステロンとエストロゲン、ふたつのホルモンの分泌は続きますが、妊娠しなかったときは、両方とも分泌量がガクンと減ります。そして、増殖した子宮の内膜がはがれ落ちて、血液と一緒に子宮の外に排出されます。すなわち、生理が終わってから排卵までの間は「エストロゲン」が、排卵から次の生理までの間は「プロゲステロン」が、盛んに分泌されているということになります。
次は、これらの性ホルモンの働きについてみていきましょう。