聖徳太子建立のお寺、法隆寺【奈良】
関西地方には、6つの世界遺産が集まります。その中で最初に世界遺産に登録されたのは「法隆寺地域の仏教建造物」です。法隆寺は聖徳太子が建立したお寺で、五重塔や金堂で知られています。世界で一番古い木造建築物とされています。
また同じ斑鳩(いかるが)の地にある法起寺(ほっきじ、ほうきじ)も世界遺産に含まれており、こちらには三重塔があります。
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古き都の香りを残す「古都奈良の文化財」【奈良】
世界遺産「古都奈良の文化財」は、奈良市内にある東大寺、興福寺、春日大社、元興寺、薬師寺、唐招提寺(とうしょうだいじ)の各寺社と平城宮跡、春日山原始林の8つの史跡で構成されています。ほとんどの寺社が平城京として奈良に都が置かれた当時に建立され、1300年近くたった現在も残っているという非常に貴重な存在です。東大寺の大仏、春日大社の鹿と、訪れた人々の印象に残る風景が多く見られますね。
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紀伊半島を取り巻く山岳信仰に触れる「紀伊山地の霊場と参詣道」【奈良・和歌山・三重】
紀伊半島には、山岳信仰に基づく吉野・大峯、熊野三山、高野山の3つの霊場があり、霊場へ参詣するための道が古来より整備されてきました。霊場内にある多くの寺社とともに、霊場へ参詣する道を取り巻く自然景観が評価され、「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産に登録されています。
エリアが広大なため、一つずつ各地の霊場を訪ねていく形になりますが、桜の名所でも知られる吉野・金峯山寺、吉水神社(奈良県)、那智の滝を御神体に抱える熊野那智大社(和歌山県)、真言密教の聖地とされた高野山・金剛峯寺(和歌山県)など、見応えのある古刹ばかりですよ。
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平安の雅を感じる「古都京都の文化財」【京都・滋賀】
平安京が置かれてから、戦国時代が終わるまで約800年もの間、日本の中心であり続けた京都。多くの寺社が今も残る京都の街中にある古刹から、13のお寺(賀茂別雷神社(上賀茂神社)、清水寺、鹿苑寺(金閣寺)、慈照寺(銀閣寺)、高山寺、西芳寺(苔寺)、賀茂御祖神社(下鴨神社)、醍醐寺、教王護国寺(東寺)、天龍寺、西本願寺、仁和寺、龍安寺)と二条城、比叡山の延暦寺(滋賀県)、そして宇治にある平等院鳳凰堂と宇治上神社の17カ所が「古都京都の文化財」として世界遺産に登録されました。
清水の舞台を持つ清水寺、春の桜が美しい醍醐寺、10円玉のデザインでもおなじみの平等院鳳凰堂など、観光名所ばかりですね。近接している所も多いので、ゆっくり歩いて参詣するのがいいでしょう。
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古墳時代に築かれた前方後円墳が街の中に残る百舌鳥・古市古墳群【大阪】
古墳とは、飛鳥時代の前にあたる古墳時代、日本各地で位の高い人や時の権力者を埋葬するお墓として土を盛って築かれた墳墓(ふんぼ)のこと。大阪府内には、地図上でもはっきりその形が分かる日本最大の前方後円墳、大山陵(だいせんりょう)古墳(仁徳天皇陵)を含む百舌鳥(もず)古墳群と誉田山(こんだやま)古墳(応神天皇陵)を含む古市(ふるいち)古墳群があります。
日本が国としての形を築き上げていく中で現れた文化の一つであり、1600年以上経過した現在でも街の中で築造当時の状態をほぼ維持していることから、未来に引き継ぐべき遺産として2019年に世界文化遺産として登録されました。
いずれの古墳群も一般観光客が直接中を見学できるところはなく、遠くから望むしかありませんが、周辺の文化施設などで成り立ちなどを確認することが可能です。
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白鷺のごとく美しく輝く姫路城【兵庫】
兵庫県西部の姫路には、白鷺城という別名を持つ美しい城、姫路城があります。九州以北にある日本の城の中では唯一世界遺産に登録されています。江戸時代以前からの天守が残る城の中では一番規模が大きく、天守閣と小天守がつながる櫓なども当時のまま残っており、非常に貴重な城といえます。
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未来に語り継ぐ負の世界遺産、原爆ドーム【広島】
中国地方(山陽・山陰)には、4つの世界遺産が登録されています。広島市内にある世界遺産は原爆ドーム。広島県産業奨励館という洋館の建物でしたが、第2次世界大戦末期の原爆禍により、建物は残ったもののドームは鉄骨のみの姿に。人類が未来に語り継ぐべき負の世界遺産として、平和の尊さをこれからもずっと伝えていく場所となります。
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日本三景で唯一の世界遺産、宮島・嚴島神社【広島】
原爆ドームと同時期に世界遺産に登録された宮島・嚴島神社。海にせり出した朱塗りの社殿と干潮時以外は海の中に立つ大鳥居が印象に残ります。日本三景の中で唯一世界遺産に登録されている名所でもあります。
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世界を席巻した銀の産地を訪ねる石見銀山【島根】
山陰地方で初めて世界遺産に登録されたのは、石見銀山(いわみぎんざん)。戦国時代から江戸時代にかけてここで産出した銀は「石見銀」と呼ばれ、世界中に流通しました。鉱山開発の伝統的技術の跡と鉱山町の町並み、銀を港へ運ぶ時の道などが残っていることから「石見銀山遺跡とその文化的景観」として、世界遺産に登録されました。
鉱山跡の間歩(まぶ)の一部が見学可能で、鉱山町である大森地区の町並み散策も楽しめます。また銀を積み出した温泉津(ゆのつ)は静かな温泉地で、良質の温泉でのんびりすることも可能です。
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国宝8万点を誇る「海の正倉院」、宗像大社【福岡】
古事記、日本書紀にも名が残る宗像(むなかた)大社は、九州本島の辺津宮(へづぐう)、玄界灘に浮かぶ大島の中津宮(なかつぐう)、沖ノ島の沖津宮(おきつぐう)の3つの宮からなり、それぞれ天照大神の娘にあたる女神を奉ります。沖ノ島は神域として一般の人の立ち入りを禁じていたため、後にはるか昔に大陸と日本の間の文化交流を示す貴重な物品が大量に出土、8万点もの品が国宝に指定されたことから「海の正倉院」の別名を持ちます。
古代の文化交流を示す貴重な史跡であり、現代でも神域が守られていることから未来に継承すべき資産として2017年に「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」として世界文化遺産に登録されました。
沖ノ島は神域のため、中津宮にある沖津宮遥拝所からの参詣となりますが、中津宮、辺津宮は一般の人も参詣できます。
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明治時代の産業革命を支えた施設群「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」
明治時代、急速に発展した日本の産業近代化を支えた炭鉱や造船所、反射炉跡などが、100年以上経過した現在もなお残されていることが注目され、未来に残すべき遺産として2015年に世界文化遺産に登録されました。2014年までに登録された世界遺産とは異なり、鹿児島県の旧集成館や、熊本県の三角西港、長崎県の軍艦島(端島炭鉱跡)、三菱長崎造船所関連施設、福岡県の三池炭鉱、山口県の萩反射炉、松下村塾など広範囲に資産が点在しているのがこの世界遺産の特徴で、岩手県の橋野鉄鉱山・高炉跡や静岡県の韮山反射炉も資産に含まれます。
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キリシタン弾圧の歴史を今に伝える「長崎と天草地方の潜伏キリシタン遺産群」【長崎・熊本】
日本にキリスト教がもたらされた後、豊臣秀吉が発布した禁教令(バテレン追放令)。明治政府がキリスト教を解禁するまでの280年強もの長い間、キリシタン教徒は厳しい弾圧を避けようとして、周囲から隠れたり、幕府からの目の届きにくい離島に移住するなどの手段を取って、キリスト教の信仰を守り続けました。日本独自の歴史でもあるキリシタン弾圧の史実を示す建物などが現在も残っており、後世に伝えるべき遺産として2018年に文化遺産に登録されました。
大浦天主堂がある長崎市内や平戸、五島列島など長崎県内の広い範囲に世界遺産を構成する資産が散らばっており、﨑津天主堂がある天草の﨑津集落も資産に含まれています。
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大自然の営みを体感できる屋久島【鹿児島】
九州で初めて世界遺産に登録された場所は、屋久島。宮之浦岳を主峰として山岳が連座し、洋上アルプスと呼ばれ、島の5分の1が自然遺産のエリアとされています。樹齢7200年の縄文杉、樹齢3000年の紀元杉などの屋久杉、『もののけ姫』の舞台のモデルにもなった白谷雲水峡など大自然の営みを体感できるところばかりです。島の周囲にあるさまざまな滝巡りも楽しいですよ。
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手つかずの大自然の中、多数の固有種の動植物が生息する奄美・琉球【鹿児島・沖縄】
亜熱帯性気候に属する奄美大島や沖縄の島々には、緑豊かな手つかずの大自然が各地に残ります。アマミノクロウサギやイリオモテヤマネコなど他の場所では見られない固有種の動植物が多く生息しているのもこの地域の特徴。そんな貴重な環境を未来に残すべく、2021年に自然遺産へ登録されました。「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」の遺産名が示すとおり、奄美大島と徳之島、沖縄島北部と西表島が世界遺産の範囲。貴重な生き物たちが暮らす大自然の中に体を預けて身も心もリフレッシュするのに最適ですね。
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琉球王国の栄華をしのぶ「琉球王国のグスク及び関連遺産群」【沖縄】
沖縄からは、「琉球王国のグスク及び関連遺産群」が世界遺産として登録されています。グスクとは城のこと。九州以北の城とは全く趣が異なり、独特の石積みでカーブを描くように築かれた城壁が印象に残りますね。グスクのほかに琉球王国が残した史跡も世界遺産の範疇(はんちゅう)に入ります。
那覇周辺(首里城跡、園比屋武御嶽石門、玉陵、識名園)、本島南部(斎場御嶽)、本島中部(中城城跡、勝連城跡、座喜味城跡)、本島北部(今帰仁城址)と本島内に散らばっていますので、ゆっくり日数をかけて回るといいでしょう。
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暫定リストに記載された候補地にも注目したい
現在、世界遺産への登録を準備している国内の名所・旧跡は多数あります。文化遺産については文化庁が、自然遺産については環境省が世界遺産暫定リストに該当箇所を掲載した上で登録の準備を行い、ユネスコに対して登録を申請(推薦)するという手続きを取ります。最近は特に登録基準が厳しくなりましたが、2024年10月現在では新規3件、既存遺産の拡張1件が世界遺産暫定リストに掲載されています。
- 鶴岡八幡宮(神奈川県)他…「古都鎌倉の寺院・神社ほか」
- 彦根城(滋賀県)…(2023年 ユネスコへ事前評価申請、2024年10月イコモス評価結果受領、2025年10月以降に推薦書提出予定)
- 石舞台古墳(奈良県)他…「飛鳥・藤原の宮都とその関連遺産群」
- 柳之御所遺跡(岩手県)他…「平泉-仏国土(浄土)を表す建築庭園及び考古学的遺跡群」の拡張(構成資産追加)
<世界遺産暫定リストスポットの記事>
今回ご紹介した日本国内の世界遺産のうち、一部については詳しい記事にてご紹介しています。世界が認めた日本の名所・旧跡に足を運んでみて、その素晴らしさを体感してみてください。