四国・香川で人気の「こんぴらさん」にお詣りしましょう
一時期大ブームを巻き起こしたさぬきうどん。今ではセルフのさぬきうどんのお店が日本各地にオープンして、気軽に本場の味を楽しむことができるようになりました。さて、さぬきうどんの「さぬき」(讃岐)とは四国・香川県の旧国名のことを指します。その香川県で誰でも知っている名所と言えば、長い石段が続くことで知られる金刀比羅宮です。
今回はたくさんの方から「こんぴらさん」と親しまれている金刀比羅宮に行ってみましょう。その歴史や参拝のポイント、アクセスや周辺の観光スポットをご紹介します。
<目次>
「こんぴらふねふね……」でおなじみの金刀比羅宮

金刀比羅宮の全景。右上の山が琴平山で、右中あたりに本宮が見えています。参拝する人は真ん中の下あたりから本宮までの高低差を石段で上ります。ちなみに奥社は本宮のさらに右上!(2005年5月撮影)
江戸時代には伊勢神宮へのお伊勢詣りに次いで金刀比羅宮への金毘羅詣り(こんぴらまいり)が人気を博したとのこと。香川の民謡『金毘羅船々』のフレーズ「こんぴらふねふね、追風(おいて)に帆かけてシュラシュシュシュ……」というのはご存じの方も多いでしょう。
その金刀比羅宮の本宮は琴平山の中腹にあり、そこまでの参道は石段が続きます。その数はなんと785段。さらにその奥にある奥社へ行くには合計1368段の石段を上ります。この石段を上るからこそ御利益がありそうですね。
ちなみに金刀比羅宮をお詣りすることに得られるご利益は、航海安全が良く知られていますが、祀られている神様の導きによって世の中の幸せ全てを膨らませるよう多岐にわたるそうです。まさに「しあわせさん、こんぴらさん」です。
趣きのある駅から表参道へ。本宮への最初の難関は一之坂の石段
金刀比羅宮へのアプローチは、JR土讃線の琴平駅か高松琴平電鉄(ことでん)の琴電琴平駅から。案内に従って10分ほど歩いて行くと金刀比羅宮への参道入口に到着。お店が立ち並ぶ表参道を歩いていくと、本宮までの785段の石段が目の前に現れます。 最初の100段程度は比較的石段の高さも低く、準備運動と言った感じでしょうか……。しかし一之坂鳥居を越えて一之坂に入ると坂の角度がきつくなり、石段を上がる人の息も荒くなっていきます。まさに参拝者にとってここが最初の難関です。 石段を上っていくには、老若男女問わず杖が有効。金刀比羅宮の参道を歩いていると、沿道の店の方から「杖を持って行きなさい」と数多く声をかけられます。実はこの貸し杖には、それぞれのお店ごとにわかる目印がついていて、参拝が終わったら杖を返すついでにお店に寄ってね、という意味を持ちます。そのため、杖を持たないまま石段を上ると、その都度まわりのお店から声を掛けられてしまいますので、そのつもりで(ガイドが若い頃の体験談)。
大門でほっと一息。でも先は長い……
一之坂から続く急な石段を250段ほど上がると、荘厳な雰囲気の大門が姿を現します。造られたのは1649年(慶安2年)頃で、讃岐の国の初代藩主である松平頼重が奉納したとのこと。 この大門から先が金刀比羅宮の境内となります。振り返ると琴平の街並みが下に見え、随分上ってきたんだなぁ……と実感できます。でも、ここはまだ365段目。本宮までは石段が半分以上残っていますので、頑張りましょう。桜馬場を通り抜けて、次の階段へ
大門をくぐって金刀比羅宮の境内に入ると桜馬場と呼ばれるストレートで平坦な道のりがしばらく続きます。名前のとおり桜のシーズンは桜の花が覆いつくすとのことなので、季節をあわせて訪れるのも良さそうですね。大門から向かって桜馬場の右側は文化ゾーンとしていくつかの書院や宝物館がありますので、時間がある方は参拝の帰路にでも寄ってみると良いですね。 桜馬場を歩いていくと、大きな桜馬場西詰銅鳥居が現れます。ここが桜馬場の終わりとなり、再び石段を上ることになります。本宮への道もいよいよ中盤戦にさしかかりますので、気合いを入れ直して石段を上りましょう。 この石段を上り始めて右側にすぐに目につくのが「こんぴら狗」と呼ばれる犬の像。様々な事情で金刀比羅宮まで行くことができない飼い主の代わりとして、犬が旅人と共に金毘羅詣りを代参し、帰ってくるということが行われており、この犬のことを「こんぴら狗」と呼ぶようになったとのこと。当時の金毘羅詣りの熱狂ぶりがわかりますね。
最後に控える難所、御前四段坂の石段
重要文化財に指定されている旭社が見えてくるとやっと600段強を上ったことになりますが、最後の最後に御前四段坂という手強い難所が待ちかまえています。首を大きく動かさないと先が見えないくらいの急坂なので気持ちがくじけそうになりますが、手前の本宮手水舎で手を清めた後、御前四段坂を上りましょう。133段先、目指す本宮はこの上にあります!
785段の石段を上りきり、金刀比羅宮・本宮に到着!
御前四段坂を上りきると、すぐ正面に本宮の社殿が現れます。785段の石段を無事上りきることができましたので、ゆったりとお詣りしましょう。本宮の建物は桧皮で葺いた大社関棟造りで、大物主神と崇徳天皇を祭神としています。本宮の向かって左側には御神馬の銅像があって、身代わり地蔵のごとく自分の体の中で悪いと思う所をさすると良くなるという言い伝えがあるとのこと。 お詣りが済んだ後は、本宮の横にある高台(展望台)に行ってみましょう。
本宮の標高は251メートルあり、周囲に視界を遮るものがないため、琴平と讃岐平野の街並みをダイナミックに眺めることができます。ひときわ目立つ富士山のような山は標高422メートルの飯野山。讃岐富士の別名がぴったりですね。
さらに583段の石段を上り、奥社へ
ここまで来たら、やはり一番奥の奥社まで行きたいもの。奥社へは本宮の高台横から参道が伸びています。石段の数は全部で583段ありますが、本宮までの石段と違い周囲の変化があまりないので、その分単調になりきつく感じるかも知れません。奥社も本宮と同じく最後に石段が連続していてくじけそうになりますが、上りきると真っ赤な社殿が出迎えてくれます。
奥社は厳魂神社(いずたまじんじゃ)の別名を持ち、厳魂彦命がご祭神です。合計1368段の石段を上り詰めた気持ちと共にゆっくりお詣りして下さい。 奥社の標高は421メートル、ここからは天候に恵まれると遠くは瀬戸大橋まで望むことができます。
下りはゆっくり気をつけて
さて上った後は当たり前ですが、下ることになります。石段は上りも大変ですが下りはもっと大変です。急いで下りようとすると膝が笑ってしまいますし、疲れからケガをする危険もありますので、時間をかけてゆっくり下りましょう。「幸せの黄色い御守り」や御朱印は本宮と奥社で授与して頂けます
ご利益絶大の金刀比羅宮ですが、御守は本宮の神札授与所と奥社の社務所にて授与して頂くことができます。
様々な御守がありますが、こんぴらさんならではのお守りとして「幸せの黄色い御守り」があります。また奥社では厳魂神社限定の「天狗御守」を授与して頂けます。
また御朱印も御守と同じ場所で頂くことができます。本宮と奥社でそれぞれ御朱印が頂けますので、金刀比羅宮参拝の際は奥社までお詣りできるように予定を組むといいですね。
参道入口周辺では温泉が湧き、日本最古の芝居小屋もあります
金刀比羅宮の参道入口周辺には温泉が湧き出ており、こんぴら温泉郷としてたくさんの旅館があります。旅館に泊まって参拝を済ませた後、温泉でのんびりすることもできますし、食事とセットの日帰り入浴プランを用意している旅館もありますので活用してみて下さい。また参道から少し離れた所には、江戸時代に造られた旧金毘羅大芝居「金丸座」があります。芝居小屋としては日本最古の建物であり、今でも現役で毎年春には「こんぴら歌舞伎」が催されます。公演がない時は中を見学できますので、金刀比羅宮に参詣した後で立ち寄ってみるのも良いでしょう。
「こんぴらさん」として親しまれている金刀比羅宮をご紹介してきましたがいかがだったでしょうか? 江戸時代の金毘羅詣りをしのんで、皆さんも石段を上って金刀比羅宮にぜひお詣りしてみて下さい。
四国・香川の金刀比羅宮へのアクセス・駐車場情報
地図:Googleマップアクセス:
<飛行機>
・高松空港から琴空(きんくう)バス 琴平行きに乗り約1時間。金刀比羅宮の参道へは琴参閣バス停が最寄りとなります。
<鉄道>
・山陽新幹線 岡山駅から高知方面に向かう特急「南風」に乗車し、琴平駅下車。琴平駅から金刀比羅宮 表参道まで徒歩約10分。
・首都圏方面からは寝台特急「サンライズ瀬戸」で坂出へ。JR土讃線へ直通する普通列車に乗り換えて琴平駅下車。なお行楽シーズンの土曜休日には「サンライズ瀬戸」が琴平まで延長運転することもあります。
・高松からは、高松築港駅より高松琴平電鉄(ことでん)に乗車して琴電琴平駅まで行くこともできます。
<高速バス>
・東京駅・バスタ新宿から琴平を結ぶ夜行高速バス(コトバスエクスプレス運行)でこんぴら参道口バス停下車。
<車・駐車場>
・山陽自動車道 倉敷ジャンクションより、瀬戸大橋(瀬戸中央自動車道)経由で高松自動車道 善通寺インターチェンジへ。善通寺インターチェンジからは国道319号線で琴平へ。参道入口周辺にいくつか駐車場があります。
【関連サイト】
- 金刀比羅宮
- こんぴら温泉郷(琴平町観光協会)
- 旧金毘羅大芝居「金丸座」(琴平町観光協会)
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