名所・旧跡

姫路城の見学のコツ!見どころや歴史、混雑の回避術

日本を代表する城の一つ、姫路城。堂々とした風格を持ち、美しい造形を誇る天守閣を含めて江戸時代の城郭が現在に残ることから、日本で初めての世界文化遺産にも登録されています。平成の大修繕を終えて、さらに美しくなった姫路城の見どころとアクセス方法をご紹介します。ライトアップや桜もあわせて紹介しています。

村田 博之

執筆者:村田 博之

名所・旧跡ガイド

日本で初めての世界文化遺産に登録された姫路城

姫路城 観光

白鷺城とも呼ばれる美しい白塗りの城、姫路城(2018年7月撮影)

日本を代表する城の一つ、姫路城。堂々とした堂々とした風格を持ち、美しい造形を誇る天守閣が人気を集めており、世界文化遺産にも登録されています。

今回は平成の大修繕も終えてさらに美しくなった姫路城の魅力とアクセス方法などについてご紹介します。

<目次>

白鷺城と呼ばれる美しい白塗りの城、姫路城の歴史や築城主・城主



姫路城Yahoo! 地図情報)は、兵庫県西部の姫路市にある城です。

姫路城の歴史は、戦国時代を越えて遠く鎌倉時代の終わりまでさかのぼります。鎌倉幕府打倒に向けて後醍醐天皇が挙兵した元弘の乱に参戦すべく、播磨(はりま)を治めていた武将・赤松則村(あかまつ のりむら)が姫山に砦を築いたのが最初で、室町時代に入ってから赤松則村の次男・赤松貞範(さだのり)が城を築きました。

その後戦国時代に入り、赤松氏重臣の小寺氏、そして小寺氏家臣の黒田重隆(くろだ しげたか)に引き継がれます。黒田重隆の孫が後に織田信長・羽柴秀吉に仕える黒田孝高(よしたか、黒田官兵衛)です。

戦国時代の混乱の中で播磨を平定した羽柴秀吉に黒田官兵衛が姫路城を献上という形で引き継ぎ、関ケ原の戦いの後は初代姫路藩主の池田輝政(いけだ てるまさ)が1609年まで8年の歳月を掛けて改修を行いました。
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「世界遺産 姫路城」の石碑と姫路城。1993年に日本で初めての文化遺産として世界遺産に登録されました(2018年7月撮影)

現在残る姫路城の天守閣は池田輝政が施した改修により造られたもの。大天守と3つの小天守が連なる巨大な城は戦乱に巻き込まれることなく、そして明治の廃城令による取り壊しや戦災にも遭わなかったため、現代まで雄大な姿を残すことができました。

日本の城としての特徴がしっかり残っていること、天守閣の規模とその美しさなどが評価され、1993年に日本で最初の世界文化遺産として登録されています。

江戸時代から残る現存天守12城の一つとして、城としての姿を維持するために大規模な修理がたびたび行われています。直近では2009年から2015年にかけて行われた平成の大修理によって、白鷺城の別名のとおり、白さが際立つ美しい姿が再び見られるようになりました。

姫路城観光の見どころ! まずは入城口まで、美しい城の姿をたっぷり楽しむ

姫路駅キャッスルビューから望む姫路城

JR姫路駅北口(姫路城口)のキャッスルビューから眺める姫路城(2018年7月撮影)

それでは姫路城を見学しましょう。

姫路城の最寄り駅はJR姫路駅ですが、高架化工事によりリニューアルが行われ、2013年に眺望デッキ(キャッスルビュー)が設けられました。これから向かう姫路城の姿が、駅を出てすぐ望むことが可能となっています。
姫路城 観光

姫路駅と姫路城周辺をまわる姫路城ループバス。他に神姫バスの一般路線バスでも姫路城大手門前まで行くことが可能です(2018年7月撮影)

姫路駅から姫路城へは歩いて20分ほどの距離。姫路城がある姫路公園の入口までは路線バスも走っています。
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桜門橋と姫路城。右手の木々の中に大手門があります(2018年7月撮影)

姫路城へは姫路公園の入口にかかる桜門橋を渡って大手門をくぐります。桜門橋は2007年に復元された橋で、ここからさっそく天守閣を望むことができます。
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姫路城の玄関となる大手門。1937年に再建された門です(2018年7月撮影)

大手門は1937年に再建されました。この門をくぐると、石垣を含めた姫路城の天守閣が見えてきます。
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大手門をくぐった先から望む姫路城。「世界遺産 姫路城」の石碑もあり、絶好の記念撮影スポットです(2018年7月撮影)

大手門をくぐった先は、三の丸広場。姫路城の存在とその大きさを実感できる絶好の記念撮影スポットです。
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姫路城の入城口。ここから先、天守閣までは有料エリアとなります(2018年7月撮影)

ここから芝生を横目に左手へ歩いていくと、有料エリアの入口となる姫路城の入城口に到着します。
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入城口に向かう道から眺める姫路城(2018年7月撮影)

入城口までの道から眺める姫路城も角度が変わって違った表情を見せてくれるので、お気に入りの場所を探してみて下さい。

いよいよ天守閣へ。いくつもの門をくぐり、複雑に入り組んだ道を登る

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姫路城・菱の門(ひしのもん)。姫路城で一番大きな門です(2018年7月撮影)

入城口で入城券を購入し、いよいよ姫路城に登城します。

姫路城は山城として姫山の上に大天守が造られていることから、天守閣内の上り下りを含めて70メートル近い高低差を移動します。さらに石段や坂が続きますので、必ず歩きやすい靴を履いていきましょう。

登城を始めて、最初に現れる重厚な門は菱の門。姫路城に現存する門では一番大きな門です。
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三国堀から見上げる姫路城の天守閣。ここも絶好の写真スポットの一つです(2018年7月撮影)

菱の門をくぐった先が三国堀。天守閣をさらに間近に見上げられるポイントです。

姫路城にはたくさんの門があり、通る順番にあわせて「いろは順」の文字が振られています。菱の門から見て、正面に見える「いの門」をくぐると天守閣へ向かうルートとなります。
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「はの門」へ登っていく坂から望む姫路城天守閣。『暴れん坊将軍』のロケで良く登場した箇所とのこと(2018年7月撮影)

「ろの門」をくぐって石段を上がり、西の丸へ向かう道の分岐を右手に曲がります。

ちなみに二の丸に入る「はの門」へ登っていく坂は、テレビドラマ『暴れん坊将軍』のロケで良く登場した箇所とのこと。
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「にの門」をくぐると、乾小天守と西小天守、大天守が連なる姿を間近で見ることができます(2018年7月撮影)

二の丸から「にの門」をくぐれば、目の前に乾小天守、西小天守と大天守が連なる姿が現れます。他の城では見られない建物の並びは要注目ですね。
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天守閣への入口。この先で靴を脱いで天守閣へ登ります(2018年7月撮影)

「ほの門」「水の三門」をくぐって、やっと天守閣の入口に到着しました。ここで靴を脱いで、天守閣の中へ入ります。
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大天守の各階に設けられた説明版。その階の見どころが良くわかります(2018年7月撮影)

大天守は五重七層の構造。天守閣の入口が地下1階となり、ここから一つずつ登っていきます。

現存天守ですので、天守閣内の上下の移動は昔ながらの急角度の階段のみ。また上の階では上り下りを共用していますので、譲りつつ移動しましょう。

各階にその階の構造と見どころを示す説明板がありますので、見ながら進んでいくと登城をより楽しめます。
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姫路城大天守から姫路駅方面を望む(2018年7月撮影)

大天守の一番上からは山城だけに眺めは抜群。360度の眺望を楽しむことができます。
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姫路城大天守から西の丸の百間廊下を望む(2018年7月撮影)

大天守から姫路公園や西の丸の長い建物などを見下ろしていると、改めて姫路城の大きさを実感できます。大天守からの眺めを満喫できたら、足元に気をつけてゆっくり下りましょう。

間近から眺める天守閣の迫力に驚く

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備前丸から望む姫路城大天守と西小天守。石垣のカーブと大小の天守閣の美しさが目を惹きます(2018年7月撮影)

姫路城天守閣への登城ルートは、時計回りに設定されています。天守閣から出てくると、南側にある広々とした場所に出ます。

ここは備前丸と呼ばれる場所。初代姫路藩主、池田輝政の住居がここにありました。美しい大天守を間近で真正面に見ることができる撮影必至のポイントですね。
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姫路城の城内にあるお菊井戸。怪談「播州皿屋敷」に登場するお菊が投げ込まれた井戸と言われています(2018年7月撮影)

備前丸から案内に従ってゆっくりと降りて行きます。途中に見えてくるのがお菊井戸。怪談「播州皿屋敷」に登場するお菊が投げ込まれたと言われる井戸です。
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「ぬの門」をくぐった先の二ノ丸から望む姫路城の天守閣(2018年7月撮影)

二の丸で美しい石垣を見ながら「るの門」をくぐると、三国堀から菱の門へ戻ってきます。

千姫ゆかりの西の丸にも立ち寄りたい

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西の丸・百間廊下の入口(2018年7月撮影)

菱の門から入城口に戻ることもできますが、時間があれば右手に進んで西の丸へも足を伸ばしましょう。

西の丸は、池田氏から姫路藩を引き継いだ本多忠政の息子、本多忠刻に嫁いだ徳川秀忠の娘、千姫の化粧料(持参金)により整備された建物。千姫と侍女がここに暮らしていました。

建物の特徴は櫓と櫓の間をつなぐ百間廊下と呼ばれる長い廊下。靴を脱いで中を見学することができます。
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西の丸近くから望む姫路城天守閣。大天守と乾小天守、西小天守の大きさが違うことが良くわかります(2018年7月撮影)

もちろん西の丸からも大天守、小天守を望むことができます。角度が違うだけで印象が大きく変わることが良くわかりますね。

西の丸からは、来た道を戻って菱の門経由で入城口に戻ってくることができます。
 

姫路城見学の所要時間と混雑対策

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姫路城の鳥観図(明治初期)と姫路城天守閣(2018年7月撮影)

たくさんの城郭建造物が残る姫路城。山城ということで高低差も大きいため、見学にはそれなりの時間が必要です。入城口から天守閣までの往復だけで約2時間は必要です。西の丸まで足を伸ばす場合は合計3時間くらいの見学時間を見込んでおくと良いでしょう。
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入城者が集中した時は、安全確保のため、入城口での入城券購入や天守閣の入口で規制されることがあります。(2010年4月3日撮影)
※ちなみに、この時は「いの門」から天守閣の上に行くまで2時間半もかかりました……

世界文化遺産に登録されてから四半世紀が過ぎ、国内外からたくさんの方が訪れる人気観光地のため、入城口での入城券購入にも長い行列ができます(特に春の桜の時期)。

1時間以上並ぶこともあり、開城時間(GW~夏季は17時まで、その他の期間は16時まで)を踏まえて、遅い時間に行くと入城が規制されることもありますので、登城を考えている場合は早めの時間に訪れることをお薦めします。

入城できた場合でも、混雑期は天守閣内の安全確保のため、天守閣の入口などで長い行列となることがありますので、時間に余裕を持った計画を立てましょう。混雑を少しでも避けたい人は姫路城便覧のWebサイトでは、当日の来城状況と混雑予想を掲載していますので、事前に確認しておくといいですね。
 

桜で埋め尽くされる春の姫路城は必見!

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姫路城天守閣と桜。姫路城が最も賑わう季節の一つが春です(2010年4月3日撮影)

いつも多くの観光客が訪れる姫路城で、もっとも賑わう季節が春。姫路城がある姫路公園に植えられている桜が開花し、姫路城天守閣との美しいコラボレーションが楽しめることから「日本さくらの名所 100選」にも選ばれています。
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二の丸から望む姫路城天守閣と桜(2010年4月3日撮影)

桜の種類はソメイヨシノとしだれ桜。およそ1000本もの桜が咲き誇ります。桜の見頃は例年4月上旬ですが、その年の気候によって前後しますので、桜の開花情報を確認して下さい。
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西の丸と桜を姫路城大天守から見下ろす。春ならではの素敵な風景です(2010年4月3日撮影)

様々なアングルで桜と姫路城の組み合わせが楽しめますが、天守閣に登ると姫路公園全体で桜が咲いているさまを見ることができます。

前述しましたが、桜の時期は大変な混雑となりますので、たっぷり時間を取って訪れることをお薦めします。
 

姫路城のライトアップは毎日実施、近くで見ることもできます

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ライトアップされた姫路城を桜門橋から望む(2018年7月撮影)

姫路城は毎日日没から午前0時までライトアップしています(特別なイベントでライトアップをお休みすることはあります)。
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姫路公園内でライトアップされた姫路城を望む(2018年7月撮影)

秋・冬は暖色系の光、春・夏は白い光でライトアップされ、天守閣から周囲の櫓まで広範囲に照らします。
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ライトアップされた姫路城を間近で望む(2018年7月撮影)

夜間は天守閣への登城はできませんが、姫路公園は常時開放されているため、ライトアップされている姫路城を間近で見ることが可能です。ただし公園内は足元が暗いので十分に気をつけて見てみて下さい。

姫路城の全貌が望める場所、あります!

イーグレ姫路

複合文化施設「イーグレ姫路」(2018年7月撮影)

西の丸まで含めるととっても広い姫路城。姫路公園の中に入ってしまうと、天守閣は間近に見えますが、城の全貌を望むのは無理。しかし少し離れた場所なら、姫路城の全貌を見ることができる所があります。

姫路城の全貌を見るのに最適なのが、大手門前の道路から1本姫路駅寄りの道沿いにある複合文化施設「イーグレ姫路」です。
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イーグレ姫路の展望台から望む姫路城(2018年7月撮影)

"イーグレ"とは姫路城の別名である白鷺のこと。ここには姫路市関連の施設や飲食店、駐車場があり、屋上(5階相当)には展望台が設けられています。高い視点から姫路城の全貌が望めて、お薦めです。
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イーグレ姫路の展望台から姫路城のライトアップを望む(2018年7月撮影)

展望台は21時まで開放されているため、ライトアップされている姫路城を望むこともできます。まさに絶景ですね。
イーグレ キャッスル・ミレでの食事

イーグレ キャッスル・ミレでは、姫路城を見ながら食事ができます(2018年7月撮影)

また「イーグレ姫路」の4階にある展望レストランでは、姫路城の全貌を見ながら和食のコース料理を頂くこともできます。夜の帳が下りていく姫路城を見ながらおいしい料理を食べられるので、旅の思い出作りにはぴったりですね。


日本で初めて世界文化遺産に登録された城、姫路城をご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。姫路には姫路城の他、西国三十三箇所霊場の一つで映画『ラストサムライ』や大河ドラマ『軍師官兵衛』などのロケが行われた書写山圓教寺など多くの見どころがありますので、ゆっくり時間を取って訪れてみて下さい。
 

姫路城へのアクセス、入城料、駐車場情報

地図:Yahoo! 地図情報
観覧可能日:
<姫路城の城内>1月1日~12月28日,12月31日
<姫路公園>姫路城がある姫路公園には、特に制限なく入ることができます。
入城料:
18才以上 1000円
小学生~高校生まで 800円
小学生未満 無料
アクセス:
JR姫路駅北口(姫路城口)

姫路城の最寄り駅、JR姫路駅。北口の2階に設けられた眺望デッキ(キャッスルビュー)からは、姫路城を真正面に望むことができます(2018年7月撮影)

<鉄道>
・山陽新幹線 姫路駅から、徒歩約20分。
 または姫路駅北口バスターミナル6番~10番ポールから発車する神姫バスに乗車し、姫路城大手門前バス停下車。姫路城周辺をまわるレトロな雰囲気の姫路城ループバスも利用できます。

<高速バス>
・バスタ新宿、渋谷駅から姫路駅を結ぶ夜行高速バス(神姫バス、京王バスの共同運行)が運行されています。

<飛行機>
・伊丹空港、関西空港から空港リムジンバスで姫路駅へ。神戸空港からはポートライナーで三宮駅へ行き、JR西日本 山陽線で姫路駅へ。姫路駅から先は<鉄道>のルートと同じ。

<車>
・山陽道 山陽姫路東インターチェンジを出て、姫路城への案内に従う。花田西交差点を右折して国道372号線へ進み、壱丁町交差点を右折して進むと大手門前への道に入ります。
駐車場は大手門駐車場、姫山駐車場、大手前公園地下駐車場、イーグレ地下駐車場など複数あり、姫路城に近い所から早めに満車となります。姫路城便覧のWebサイトに駐車場の場所と最新の混雑状況が記載されているため、参考にして下さい。

【関連サイト】 「関西の名所」に、「名所・旧跡」ガイドで関西地方の名所・旧跡を紹介した記事の一覧をまとめてあります。
「日本の世界遺産」に、「名所・旧跡」ガイドで日本国内の世界遺産を紹介した記事の一覧をまとめてあります。
「桜の名所」に、「名所・旧跡」ガイドで桜の名所・旧跡を紹介した記事の一覧をまとめてあります。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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