冬は寒くて思わず家に閉じこもってしまいたくなることもありました。しかし、二十四節気の「立春」を境にして「雨水(うすい)」「啓蟄(けいちつ)」と季節は少しずつ春に向かって動き出し始めています。

「啓蟄」は冬ごもりをしていた虫が暖かくなって外に出てくる頃を意味します。暖かくなる頃を見計らって、今年は日本国内にある世界遺産を訪ねてみませんか?

今回は、名所・旧跡めぐりガイドがお勧めする「春先に訪ねてみたい日本の世界遺産」を2ヶ所ご紹介します。世界が認めた名所・旧跡ですので、どこも見応えのある場所ばかりですよ。
  • 1ページ …… 暑い夏を避けて訪れたい、沖縄の世界遺産
  • 2ページ …… 桜も楽しめる古都・奈良の世界遺産
  • 3ページ …… 沖縄・奈良の世界遺産へのアプローチ方法

暑い夏を避けて訪れたい、沖縄の世界遺産

今帰仁城跡(1)
世界遺産「琉球王国のグスク及び関連遺産群」の一つ、今帰仁城跡(2009年1月撮影)
春先に訪ねてみたい日本の世界遺産、最初にご紹介するのは沖縄より「琉球王国のグスク及び関連遺産群」です。

15世紀頃から沖縄本島や奄美諸島、八重山諸島を支配していた琉球王国。江戸時代の薩摩藩琉球出兵で薩摩藩の付庸国となった後、明治時代を迎えて沖縄県となるまでの450年間に渡って王政が敷かれていました。

沖縄本島の中には、琉球王国が残した史跡や琉球王国が成立する前に作られた城(グスク)がたくさん残っています。それらの中から9つの史跡が「琉球王国のグスク及び関連遺産群」として2000年に世界文化遺産として認定されました。

なぜ沖縄の世界遺産が春先にお勧めかと言うと、その理由は沖縄の気候。沖縄は亜熱帯に属しているので、初夏から秋にかけて名所・旧跡をめぐろうとすると強い日差しと暑さに備える対策が必須となりますが、春先であれば気温が20度を超すことはあるものの、まだ快適に名所・旧跡を巡ることができるからです。

今帰仁城跡(2)
今帰仁城跡へ入る石段。1月末から2月にかけて早咲きの桜も咲く(2009年1月撮影)
世界遺産に認定された9つの史跡は、沖縄本島内に幅広く点在しています。

もっとも北に位置するのが今帰仁村にある今帰仁(なきじん)城跡。琉球王国が一つに統一されるまで3つの国に分かれていた中の一つ、北山王の城(グスク)として作られたものです。

鹿児島以北の城とは異なり、沖縄の城はたくさんの石を積みあげた石壁を城壁としています。城壁は独特のカーブを描いて作られていて、他では見られない風景ですね。

首里城
琉球王国の宮殿である首里城は戦後に復元されたもの(2005年2月撮影)
9つの史跡のうち、城跡は今帰仁城跡の他に座喜味(ざきみ)城跡、勝連(かつれん)城跡、中城(なかぐすく)城跡と首里城跡の5つを占めます。

首里城跡については、戦後に再建された首里城正殿や城壁、それぞれの門は正確には世界遺産の範疇外となるのですが、当時の琉球王国の栄華をしのぶという点では見逃せない名所です。

園比屋武御嶽石門(そのひゃんうたき いしもん)
首里城の横にある園比屋武御嶽石門。琉球王国に関わり深い世界遺産の一つです(2005年2月撮影)
残り4つの史跡は、首里城の横にある園比屋武御嶽石門(そのひゃんうたき いしもん)、同じく首里城のそばにある玉陵(たまうどぅん)、那覇市内にある識名園(しきなえん)、そして南城市にある斎場御嶽(せーふぁうたき)。

御嶽(うたき)は、琉球において神様がいる神聖な所として現在も多くの信仰を集める場所であり、玉陵は琉球王朝の王墓ということもありますので、静かに拝観しましょう。

識名園
琉球王国の別邸だった識名園。ゆったりと歩いて楽しむ回遊庭園です(2009年1月撮影)
識名園は、首里城の南に位置し、琉球王朝が持っていた最大規模の別邸です。王家の保養や海外からのお客様を接待するのにも使われていたとのこと。

中は回遊式の庭園となっていて、ゆったりと池の周囲を歩きながら風情を楽しむ趣向が凝らされています。回遊式庭園は鹿児島以北の日本庭園でも良く見られますが、池に架けられている橋の形に沖縄独特の雰囲気が感じられますね。

最初にも書きましたが、9つの世界遺産は本島内に点在していますので、1日で全部めぐろうとするのは難しいです。島内観光に1日しか当てられないならポイントを絞り込んで、また全部まわろうと思った場合は、2~3日かけてゆっくりめぐると良いですね。