シングルモルトとコーヒーが融合したサステナブルな傑作
ザ・マッカラン ハーモニーコレクション インテンスアラビカ
ハーモニーコレクションとは革新的な技術と自然素材との融合を目的としており、“自然と調和した生活を送る”というブランドアイデンティティを具現化したものだ(ザ・マッカラン蒸溜所に関しては『ザ・マッカラン蒸溜所/美しい景観と斬新な蒸溜所建築』記事参照)。
昨年、第1弾「リッチ カカオ」が登場したが、“チョコレートとウイスキーの融合”をコンセプトにした作品であった。著名なパティシエとコラボレーションしたものだが、香味成分にカカオが使われている訳ではなく、「ザ・マッカラン」のお家芸であるシェリー樽熟成モルト原酒のなかからチョコレートのような香りを抱いた原酒を厳選してブレンドして誕生させた。
さらには、自然とのつながりとサステナビリティへのアプローチとして、ラベルやギフトボックス(化粧箱)はチョコレート製造のプロセスで廃材となるカカオの殻を使用してつくられたものだった。
では今回、第2弾はコーヒー。
「ザ・マッカラン ハーモニーコレクション インテンスアラビカ」(700ml・44%・¥35,000税別希望小売価格)である。
こちらはコーヒーのフレーバー、エチオピアのアラビカ豆からインスピレーションを受けて、コーヒー農家やバリスタをはじめとしたさまざまな専門家とコラボしている。とはいえ、コーヒー風味を実現させるためにコーヒー豆をスピリッツに浸漬したものをブレンドすることや、香料を用いることなどは一切していない。
最終的なフレーバー・プロファイルを達成するために、あくまでも「ザ・マッカラン」が所有するヨーロピアンオークとアメリカンオークのシェリー樽での多彩な熟成モルト原酒、つまり伝統のモルト原酒だけを厳選して香味創造したものだ(『ザ・マッカラントリプルカスク12年/味わい評価』記事参照)。またそうでなければ、「ザ・マッカラン」としてのプライドが許さない。
ラベルやギフトボックスも第1弾同様、コーヒー豆の殻を含むリサイクル素材でつくられている。
緑の茅葺風の屋根とガラス張りの側面。斬新なフォルムのザ・マッカラン蒸溜所
しなやかな甘さとコーヒー豆のロースト感で魅了
さて、気になる香味。わたしにはなかなかのインパクトがあった。強烈な尖った印象ではない。「ザ・マッカラン」のシェリー樽熟成モルトの深遠さをあらためて実感させられたのだ。ユニークではあるが、そんなワードで言い切ってしまえる香味感覚ではない。誰もがはじめて味わう香味のはずだ。しなやかながら鮮烈な印象を覚える人もいるはずだ。
シェリー樽熟成モルトが生む味わいとの認識があったとしても、シェリー、シェリーしたよく知っている香味とは違う。口中で「ザ・マッカラン」ならでは厚み、重層感、モルト原酒のポテンシャルの高さが伝わってくる。多彩なシェリー樽熟成モルトと高度なブレンドの技から創出されたものだと実感できる。
色は琥珀色ではあるが、よく見ると柔らかく温かみのある色調だ。エスプレッソの液面に浮かぶクリーミーな色、クレマのイメージである。
まず香り。なんとなくミルクコーヒー的な香りを感じる。それでも「ザ・マッカラン」のシェリー樽熟成モルトらしいスパイシーで甘くフルーティーな感覚もある。そこからさらにダークチョコレートというかカプチーノ的なニュアンスを探りだすこともできた。
味わいはリッチで複雑。わたしはベリー系の味わいにナッツやエスプレッソ的なほろ苦さを覚えたのだが、しなやかな甘さがあって心地よい。
フィニッシュがさらに心地よい。ほどよい甘さのなかに深く焙煎されたコーヒー豆の姿が浮かんでくるような、コーヒー好きが魅了されるロースト感が潜んだ余韻がある。この感覚を長く堪能できる。
わたしは試飲しながらとても楽しかった。こういう経験はそんなにはない。とても挑戦的であり、傑作であるといえよう。モルトウイスキーの香味世界がまた広がった。今後さらに挑戦的な作品が生まれてくることだろう。
バーでこのボトルを見つけたなら必ず試していただきたい。
「ザ・マッカラン ハーモニーコレクション インテンスアラビカ」
700ml・44%・¥35,000税別希望小売価格
色 琥珀色
香り ティラミス・カプチーノ・レーズン・アーモンド・バニラ
味わい エスプレッソ・ダークチョコレート・レーズン・ティラミス・
ブラックベリー・バニラ・ナッツ
余韻 バランスの取れた甘さ・深煎りコーヒーの長い余韻
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