季節の挨拶に何を書く? 11月上旬・中旬・下旬の時候の挨拶と結び文
時候の挨拶とは「拝啓」などに続く書き出しの言葉で、季節感をあらわす
時候の挨拶には、ビジネスシーンや学校関係で出す文書、お礼状や目上の方向けの「漢語調」と、プライベートの親しい友人・知人向けのカジュアルな「口語調」があります。いつ使うのかがわかるよう、11月の上旬・中旬・下旬に分け、例文や結びの文、11月に使える季節の話題もご紹介します。
<目次>
手紙・書類・メール・お礼状で使う、挨拶文の書き方や構成
ビジネスや学校関係で出す文書・お礼状、プライベートな手紙などを書く場合、【前文】⇒【主文】⇒【末文】⇒【後付】で構成するのが基本です。基本をもとに、必要に応じて細かい要素を変えながら仕上げていきましょう。<構成>
- 【前文】……「拝啓」などの頭語 ⇒ 時候の挨拶 ⇒ 相手の安否や健康を気遣うことば ⇒ 自分の近況やお礼など
- 【主文】……いわゆる本文
- 【末文】……結びの挨拶。相手の健康や繁栄を祈ることば ⇒「敬具」などの結語
- 【後付】……日付 ⇒ 署名 ⇒ 宛名
「漢語調」「口語調」……時候の挨拶文は相手・場面に応じて選びたい
時候の挨拶には、短く簡潔に表した「漢語調」と話し言葉でやわらかな言いまわしの「口語調」がある
漢語調と口語調は、相手や場面に応じて使い分けます。一般的に、ビジネス文書や学校関係の文書などでは、かしこまった漢語調の表現が使われることが多く、文書の格を高めてくれます。一方、パーソナルな文書では、より身近な口語調を使う方が多いです。また、ビジネスであっても、口語調を用いてやわらかにする場合もあります。
いずれにしても、ネガティブではなくポジティブなものがおすすめです。
11月の季節の挨拶/漢語調の時候の挨拶「ビジネス」編
大気が冷たくなり寒さが深まってきた時期を表す「深冷の候」。「○○の候」は「○○の折」「○○のみぎり」に置き換えて使うこともできる
また、「○○の候」は「○○の折」「○○のみぎり」に置き換えて使うこともできます。
■11月全般で使える「向寒の候」「深冷の候」「落ち葉の候」
- 向寒(こうかん)の候=日増しに寒くなってまいりました。
- 深冷(しんれい)の候=大気が冷たくなり寒さが深まってまいりました。
- 落ち葉の候=落ち葉の季節となりました。
- 霜寒(そうかん)の候=霜が降りるほど寒さが増してまいりました。
「向寒の候、ますますご清栄のこととお慶び申しげます。」
■10月中旬~11月上旬の「夜寒の候」「暮秋の候」「晩秋の候」
- 夜寒(よさむ)の候=秋が深まり、夜の寒さが強まってまいりました。
- 暮秋(ぼしゅう)の候=秋も暮れる頃となりました。
- 晩秋(ばんしゅう)の候=秋も終わりの頃となりました。
※暦の上では、二十四節気の「寒露」(10月8日頃~22日頃)と「霜降」(10月23日頃~11月6日頃)が「晩秋」です。 - 菊花(きっか)の候=菊の花の香り高い季節となりました。
- 初霜(はつしも)の候=初霜が降りる頃となりました。
「暮秋のみぎり、貴社におかれましてはますますご繁栄のこととお慶び申しげます。」
■11月上旬~11月中旬の「立冬の候」「冷雨の候」
- 立冬(りっとう)の候=暦の上では冬となりました。
※「立冬」は二十四節気のひとつで、11月7日頃~21日頃。 - 冷雨(れいう)の候=冷たい雨が降り続く時期となりました。
「立冬の折、貴店ますますご隆盛のこととお慶び申しげます。」
■11月中旬~11月下旬の「初冬の候」「孟冬の候」
- 初冬(しょとう)の候=冬の初めの時期となりました。※暦の上では、二十四節気の「立冬」(11月7日頃~21日頃)と「小雪」(11月22日頃~12月6日頃)が「初冬」です。
- 孟冬(もうとう)の候=冬の初めの時期となりました。
「初冬の候、○○様におかれましては、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。」
■11月下旬~12月上旬の「小雪の候」 「 初雪の候」
- 小雪(しょうせつ)の候=小雪の頃となりました。
※「小雪」は二十四節気のひとつで、11月22日頃~12月6日頃。 - 初雪の候=初雪の頃となりました
「小雪のみぎり、いつも格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。」
11月の季節の挨拶/口語調の結びの挨拶「ビジネス」編
結びの挨拶は、相手や趣旨によって変わります。ビジネスなどのフォーマルな文書でよく使われる、今後もよろしくとお願いする結びの挨拶と、相手の繁栄や健康を祈る結びの挨拶、11月に使える結びの挨拶を例文で紹介します。■今後もよろしくとお願いする結びの挨拶
- 「今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。」
- 「引き続きご高配を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。」
- 「今後におきましても相変わらぬご厚誼(こうぎ)を賜りますよう お願い申し上げます。」
- 「これからも変わらぬご支援ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。」
■相手の繁栄や健康を祈る結びの挨拶
- 「貴社のますますのご発展を心より祈念しております。」
- 「末筆ながら、一層のご隆盛を衷心よりお祈り申し上げます。」
- 「皆様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。」
- 「皆々様のご多祥を心よりお祈り申し上げます。」
■11月ならではの結びの挨拶
- 「日一日と寒さが募ってまいります。ご自愛専一にお過ごしください。」
- 「今年は例年になく寒い冬になるとのこと。末筆ながらご自愛のほどをお祈りいたします。」
- 「向寒のみぎり、健康には十分にご留意なされ、さらにご活躍されますことを祈念申し上げます。」
- 「繁忙となる年末に向け、ご自愛ご発展のほどお念じ申し上げます。」
11月の季節の挨拶/口語調の時候の挨拶「プライベート」編
「街路のいちょうもすっかり黄金色に色づきました」は、話し言葉でやわらかな口語調の時候の挨拶
■上記「ビジネス」編で紹介した漢語調の「○○の候」の意味を表す文は、口語調の時候の挨拶として使えます。
- 落ち葉舞い散る季節となりました。
- 日毎に寒気加わる時節となりました。
- 冬の息吹を感じる頃となりました。
- 菊の花の香り高い季節となりました。
- 初雪の便りが届く頃となりました 。
■その他にも、この時期の情景を綴って挨拶することができます。
- 暦のうえでは冬となりましたが、ここ数日は穏やかな小春日和が続いております。
- 気がつけば日脚もめっきり短くなり、冬の訪れを感じております。
- 木々の葉も見事に色づく季節となりました。
- 街路のいちょうもすっかり黄金色に色づきました。
- あでやかな錦秋の時期も過ぎ、いよいよ冬の到来となりました。
- 木枯らしが意に染みる今日この頃。
- 落ち葉舞い散り冬の到来を身近に感じる頃となりました。
- 草木の露も霜へと変わり、冬の気配がいよいよ濃くなってまいりました。
- 七五三の晴れ着姿を見かける時期となりました。
- ひだまりの恋しい季節となりました。
- おこたが恋しい季節となりました。
11月の季節の挨拶/口語調の結びの挨拶「プライベート」編
プライベートで用いる結びの挨拶も、カジュアルな表現が好まれます。相手に合わせて挨拶の内容を考えてみると良いでしょう。 例文を紹介しますので、参考にしてみてください。- 「季節の変わり目、くれぐれもご自愛ください。」
- 「朝晩の寒さにはどうぞご用心くださいませ。」
- 「寒さに向かう折、体調を崩しませんよう御身おいといください。」
- 「これから寒さに向かいますので、どうぞお健やかにお過ごしください。」
- 「日毎寒さがつのりますので、お風邪など召されませんよう気をつけてお過ごしください。」
- 「今年はひときわ寒いようなので、どうかご自愛専一にお過ごしください。」
- 「寒がりのあなたのこと、どうぞお体には気をつけてください。」
- 「寒さが身にしみ温泉が恋しくなりましたら、お供いたしますのでご連絡ください。」
- 「夜長のつれづれにとりとめのないことを書き連ね、失礼いたしました。」
11月に使える季節の話題
山茶花、椿、銀杏など……植物は取り入れやすい季節の話題です
■花や動植物・食べ物
山茶花、椿、菊、八手、烏瓜、山帰来、水仙、つわぶき、いちょう、落ち葉、ぎんなん、牡蠣、ゆり根、自然薯、林檎、みかん、きんき、かわはぎ、平目、毛蟹、おでん、鍋、焼きいも、亥の子餅、ボジョレーヌーボー
■風物詩や行事・イベント
文化の日、文化勲章、文化祭、七五三、千歳飴、酉の市、縁起熊手、十日夜、勤労感謝の日、新嘗祭、亥の子の日、こたつ開き、ボジョレーヌーボー解禁日
▷11月行事・歳時記|文化の日・酉の市・七五三…風物詩や行事まとめ
■節気・時期
立冬、小雪、落ち葉、木枯らし、小春日和、時雨
オリジナルの挨拶を入れることも考えてみましょう
日毎寒さがつのるこの時期、あの人はどんなふうに過ごすのかしら……相手の顔を思い浮かべてみると、文章が浮かびます
- 「石焼き芋の呼び声に、胸躍らせる時期となりましたね。」
- 「こたつを出すと、一緒に鍋を囲んだ学生時代を思い出します。」
- 「熱燗で一杯が恋しい頃となりました。」
- 「雪化粧した山を眺めながら、この冬のスキープランを立てていることでしょう。」
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