季節の挨拶に何を書く? 10月上旬・中旬・下旬の時候の挨拶と結び文
時候の挨拶とは「拝啓」などに続く書き出しの言葉で、季節感をあらわす
時候の挨拶には、ビジネス・学校・お礼状・目上の方向けの「漢語調」と、プライベートの親しい友人知人向けのカジュアルな「口語調」があります。いつ使うのかがわかるよう、10月の上旬・中旬・下旬に分け、例文や結びの文、10月に使える季節の話題もご紹介します。
<目次>
手紙・書類・メール・お礼状で使う、挨拶文の書き方や構成
ビジネスや学校関係で出す文書・お礼状、プライベートな手紙などを書く場合、【前文】⇒【主文】⇒【末文】⇒【後付】で構成するのが基本です。基本をもとに、必要に応じて細かい要素を変えながら仕上げていきましょう。<構成>
- 【前文】……「拝啓」などの頭語 ⇒ 時候の挨拶 ⇒ 相手の安否や健康を気遣うことば ⇒ 自分の近況やお礼など
- 【主文】……いわゆる本文
- 【末文】……結びの挨拶。相手の健康や繁栄を祈ることば ⇒「敬具」などの結語
- 【後付】……日付 ⇒ 署名 ⇒ 宛名
「漢語調」「口語調」……時候の挨拶文は相手・場面に応じて選びたい
時候の挨拶には、短く簡潔に表した「漢語調」と話し言葉でやわらかな言いまわしの「口語調」がある
漢語調と口語調は、相手や場面に応じて使い分けます。一般的に、ビジネス文書や学校関係の文書などでは、かしこまった漢語調の表現が使われることが多く、文書の格を高めてくれます。
一方、パーソナルな文書では、より身近な口語調を使う方が多いです。また、ビジネスであっても、口語調を用いてやわらかにする場合もあります。
いずれにしても、ネガティブではなくポジティブなものがおすすめです。たとえば、葉が落ちる秋を寂し気だと捉えず、移ろう季節の風情に目を向けたほうが、心が和むでしょう。
10月の季節の挨拶/漢語調の時候の挨拶「ビジネス」編
秋風が吹き渡る季節を表す「金風の候」。「○○の候」は「○○の折」「○○のみぎり」に置き換えて使うこともできる
時候の挨拶は季節感が大切なため、目安となる時期ごとに紹介しますが、その年によって多少ずれることがあるので、実際の季節感を優先しながら選んでみてください。
また、「○○の候」は「○○の折」「○○のみぎり」に置き換えて使うこともできます。
■10月全般で使える「清秋の候」「金風の候」「夜長の候」
- 清秋(せいしゅう)の候=空が澄み清々しい秋を感じる頃となりました。
- 金風(きんんぷう)の候=秋風が吹き渡る季節となりました。
- 夜長(よなが)の候=秋の夜長の時季となりました。
「清秋の候、ますますご清栄のこととお慶び申しげます。」
■9月中旬~10月上旬の「秋涼の候」「仲秋の候」
- 秋涼(しゅうりょう)の候=夏が終わり秋の涼しさを感じる季節となりました。
- 仲秋(ちゅうしゅう)の候=秋も中ごろとなりました。※暦の上では、二十四節気の「白露」(9月7日頃~22日頃)と「秋分」(9月23日頃~10月7日頃)が「仲秋」
「秋涼の折、貴社におかれましてはますますご繁栄のこととお慶び申しげます。」
■9月下旬~10月中旬の「秋冷の候」「秋雨の候」
- 秋冷(しゅうれい)の候=秋も深まり肌寒くなってまいりました。
- 秋雨(しゅうう)の候=秋の長雨が降る時季となりました。
「秋冷の候、貴店ますますご隆盛のこととお慶び申しげます。」
■10月中旬~10月下旬の「紅葉の候」「秋麗の候」
- 紅葉(こうよう)の候=秋が深まり木々が紅葉する時季を迎えました。
- 秋麗(しゅうれい)の候=秋晴れの陽気が心地よい頃となりました。
「紅葉の折、○○様におかれましては、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。」
■10月中旬~11月上旬の「錦秋の候」「晩秋の候」
- 錦秋(きんしゅう)の候=紅葉が錦のように色鮮やかな頃となりました。
- 晩秋(ばんしゅう)の候=秋も終わりの頃となりました。※暦の上では、二十四節気の「寒露」(10月8日頃~22日頃)と「霜降」(10月23日頃~11月6日頃)が「晩秋」
「錦秋のみぎり、いつも格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。」
10月の季節の挨拶/口語調の結びの挨拶「ビジネス」編
結びの挨拶は、相手や趣旨によって変わります。ビジネスなどのフォーマルな文書でよく使われる、今後もよろしくとお願いする結びの挨拶と、相手の繁栄や健康を祈る結びの挨拶、10月に使える秋の結びの挨拶を例文で紹介します。■今後もよろしくとお願いする結びの挨拶
- 「今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。」
- 「引き続きご高配を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。」
- 「今後におきましても相変わらぬご厚誼(こうぎ)を賜りますよう お願い申し上げます。」
- 「これからも変わらぬご支援ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。」
- 「貴社のますますのご発展を心より祈念しております。」
- 「末筆ながら、一層のご隆盛を衷心よりお祈り申し上げます。」
- 「皆様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。」
- 「皆々様のご多祥を心よりお祈り申し上げます。」
- 「実りの秋、さらなるご繁栄をお祈りいたしております。」
- 「秋冷が日増しに加わってまいります。ご自愛専一にてお願い申し上げます。」
- 「秋冷の折から、健康には十分にご留意なされ、さらにご活躍されますことを祈念申し上げます。」
10月の季節の挨拶/口語調の時候の挨拶「プライベート」編
「金木犀の香りが漂う頃となりました」は、話し言葉でやわらかな口語調の時候の挨拶
■上記「ビジネス」編で紹介した漢語調の「○○の候」の意味を表す文は、口語調の時候の挨拶として使えます。
- 空が澄み清々しい秋を感じる頃となりました。
- 秋風が吹き渡る季節となりました。
- 秋の夜長の時季となりました。
- 夏が終わり秋の涼しさを感じる季節となりました。
- 秋も深まり肌寒くなってまいりました。
- 秋の長雨が降る時季となりました。
- 秋が深まり木々が紅葉する時季を迎えました。
- 秋晴れの陽気が心地よい頃となりました。
- 紅葉が錦のように色鮮やかな頃となりました。
■その他にも、秋の情景を綴って挨拶することができます。10月向きの時候の挨拶に、相手の安否や健康を気遣う言葉を加えた例文を幾つか紹介します。
- 「秋気さわやかな季節となりましたが、いかがお過ごしでしょうか。」
- 「虫の音に深まる秋を感じる頃となりましたが、お元気でいらっしゃいますか。」
- 「菊花の薫りゆかしいこの時季、お健やかにお過ごしのことと存じます。」
- 「秋晴れに鰯雲が流れる頃となりました。ご家族の皆様、お変わりなくお過ごしでしょうか。」
- 「金木犀の香りが漂う頃となりました。すっかりご無沙汰しておりますが、お元気でご活躍のことと存じます。」
- 「天高く馬肥ゆる秋、ますますご壮健のことと拝察いたします。」
- 「木々の色づきに秋の深まりを感じる頃となりましたが、皆様、いかがお過ごしでしょうか。」
- 「秋も日一日と深まり、夜長の頃となりました。その後、お変わりございませんでしょうか。」
10月の季節の挨拶/口語調の結びの挨拶「プライベート」編
プライベートで用いる結びの挨拶も、カジュアルな表現が好まれます。相手に合わせて挨拶の内容を考えてみると良いでしょう。自然を愛する人への結びの挨拶、相手の体調を気遣う結びの挨拶、趣味に関する結びの挨拶の例文を紹介します。参考にしてみてください。■自然を愛する人への結びの挨拶
- 「月が美しいこの時季、一緒に月見ができる日を心待ちにしております。」
- 「まもなくこちらも紅葉の見頃を迎えます。ご家族でぜひお立ち寄りください。」
- 「皆様お元気で、深まる秋を満喫されますことをお祈りしております。」
- 「時節柄、体調を崩しませんよう御身おいといください。」
- 「日ごとに秋が深まってまいります。どうぞお健やかにお過ごしください。」
- 「朝晩は冷え込みますので、くれぐれもご自愛ください。」
- 「灯火親しむ秋の夜長とはいえ、あまり夜更かしされませんように。」
- 「芸術の秋、また素敵な作品を拝見できるのを楽しみにしております。」
- 「実り多き秋になるといいですね。ますますお元気でご活躍ください。」
- 「収穫の秋、グルメには嬉しい季節ですね。存分に満喫なさってください。」
10月に使える季節の話題
むかご、栗、里芋、秋茄子、しめじ……秋の実りは取り入れやすい季節の話題です
■花や動植物・食べ物
紅葉、秋の七草(萩、桔梗、葛、藤袴、女郎花、尾花、撫子)、秋桜、金木犀、菊、紫式部、ななかまど、つわぶき、新米、松茸、しめじ、柿、栗、さつま芋、里芋、銀杏、むかご、葡萄、林檎、秋刀魚、秋鮭、秋鯖
■風物詩や行事・イベント
神無月、神在月、秋祭り、衣がえ、運動会、スポーツの日、稲刈り、十三夜(栗名月、豆名月)、紅葉狩り、きのこ狩り、果物狩り、芋掘り、栗拾い、恵比寿講、読書週間、ハロウィン
▷10月行事・歳時記|衣替え・十三夜・紅葉狩り・ハロウィン…風物詩や行事まとめ
■節気・時期
寒露、霜降、秋晴れ、鰯雲、鯖雲、鱗雲、秋雨、女心と秋の空、男心と秋の空、読書の秋、食欲の秋、実りの秋、スポーツの秋、行楽の秋、芸術の秋
■コロナや台風といった天災
コロナ禍、禍事、禍災、災禍、暴れ川、洪水、鉄砲水、山津波、風津波、高潮
オリジナルの挨拶を入れることも考えてみましょう
秋の夜長、あの人はどんなふうに過ごすのかしら……相手の顔を思い浮かべてみると、文章が浮かびます
- 「秋の夜長、今も変わらず推理小説を読みふけっているのでしょうか。」
- 「今年初めてのむかごご飯で、豊かな秋を味わいました。」
- 「日本酒の美味しい季節、そろそろ熱燗が恋しくなってきましたね。」
- 「お得意のゴルフの腕が鳴る季節になってきましたね。」
- 「栗を頬張るたびに一緒に栗拾いをしたことを思い出します。」