旧暦・和風月名は「霜月」……11月の伝統行事や暮らしの歳時記
11月の旧暦・和風月名は「霜月(しもつき)」。文字通り、霜が降る月という意の「霜降月(しもふりつき)」の略で「霜月」となりました。旧暦と新暦の差のみならず、今では地球温暖化で11月に霜が降りる地域も少なくなりましたが、徐々に冬の気配を感じる11月の行事・風物詩についてご紹介します。
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<目次>
11月3日【文化の日】
「自由と平和を愛し、文化をすすめる」ことを趣旨とした「文化の日」
文化の日には、さまざまな行事やイベントが行われています。代表的なものは、学問や芸術などの発展や向上にめざましい功績をあげた人に勲章が授与される「文化勲章」。授与式は11月3日に皇居において行われ、天皇陛下より直接授与されます。
また、文化の向上や発達に関し特に功績のあった人を顕彰する「文化功労者」も11月3日に発令され、後日、顕彰式が行われます。
美術館や博物館の中には、入館料を無料にしたり、いろいろなイベントを開催するところがたくさんあります。文化の日を中心に、さまざまなところで芸術祭や文化祭が開催され、各地に大規模な芸術祭があります。
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2024年は11月7日【立冬】
「立冬」から2月初旬の立春の前日までが暦のうえでは冬になります
2024年の立冬は、11月7日から11月21日です。毎年11月7日頃~11月21日頃にあたりますが、日付が固定されているわけではありません。また、立冬といっても、立冬に入る日を指す場合と、立冬(二十四節気の第19)から小雪(二十四節気の第20)までの約15日間をいう場合があります。
この時期になると、冬の使者「木枯らし」がやってきます。その名の通り、吹くたびに葉を落とし、まるで木を枯らしてしまうように見えることからそう呼ばれています。日々寒さが増すなかで、本格的な冬に向け準備を始める時期。衣類や寝具のみならず、暖房器具もそろそろ準備しておきたいですね。
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2024年は11月5日と17日と29日【酉の市】
酉の市は、新年の開運招福、商売繁盛を願うお祭りとして親しまれています
酉の市は日本各地の鷲神社(大鳥神社、大鷲神社、鷲神社=おおとりじんじゃ)の年中行事です。11月の酉の日ににぎやかな市がたつことから「酉の市」といい、「大酉祭」「お酉様」とも呼ばれています。縁起ものがたくさんついた縁起熊手が名物で、新年の開運招福、商売繁盛を願うお祭りとして親しまれています。
酉の市は江戸時代から続く行事で、その起源は、花又村(現在の東京都足立区)の大鷲神社にあるとされ、近隣の農民たちが、秋の収穫を祝って鷲大明神に鶏を奉納したのが始まりだといわれています。奉納された鶏は、祭りのあと浅草の浅草寺に運ばれ、観音堂で放たれたそうです。その後、開運招福、商売繁盛を願う祭りになり、正月を迎えるための最初の祭りとして定着しました。芭蕉の弟子である其角は、「春を待つ 事のはじめや 酉の市」と詠んでいます。
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2024年は11月7日【亥の子の日・こたつ開き】
「亥の子の日」とは、亥の月(旧暦10月)の最初の亥の日をさします。2024年の「亥の子の日」は11月7日です。西日本を中心に「亥の子まつり」という収穫祭や「亥の子祝い」をする風習があります。また、「亥の子の日」に火を入れると火事にならないといわれており、「こたつ開き」をする習わしがあります。亥は陰陽五行説で火を制する水にあたるため、亥の月亥の日から火を使い始めると火事にならないとされました。そこで、「亥の子の日」にこたつや囲炉裏などに火を入れるようになり、「こたつ開き」と呼ばれて親しまれました。今でも、茶の湯では「亥の子の日」に「炉開き」を行うところが多く、新茶を初めて使う「口切り」をして「亥の子餅」をいただきます。
この「こたつ開き」にならい、「亥の子の日」が暖房器具を出すひとつの目安になっています。実際に使用するのは気温などによりますが、この日にこたつ、ヒーター、ストーブなどの暖房器具を出して準備をしておけは、縁起もよくて安心です。
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2024年は11月10日【十日夜】
十日夜は、旧暦10月10日に行われる収穫祭
十日夜には、田の神様の化身とされているかかしにお供えものをしたり、かかしと一緒にお月見をしたりする「かかしあげ」の風習があります。また、わらを束ねた「わら鉄砲」や「わらづと」で子どもたちが地面を叩いて作物を荒らすモグラなどを追い払い、土地の神様を励ますなど、地域によってさまざまな行事があります。
十日夜は、稲刈りを終え田の神様を見送る行事でお月見がメインではないため、月齢に関係なく新暦の11月10日に実施する地方もありますが、昔から「十五夜」「十三夜」「十日夜」の3日間が晴れてお月見ができると縁起が良いとされています。
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11月15日【七五三】
「七五三」は、子どもの健やかな成長に対する強い思いから定着した行事
今でこそ「七五三」という一つの行事になっていますが、もともとは公家や武家で行われていた「髪置き」「袴着」「帯解き」という別々の儀式で、年齢・性別・日取りなどは時代や階層によってさまざまでした。古い記録としては、平安時代中期に皇太子が3歳で行った袴着があります。11月15日になった理由は諸説ありますが、江戸時代に徳川五代将軍・綱吉が、息子・徳松のお祝いを鬼宿日で縁起の良い11月15日に行ったことから定着したという説が有名です。
昔は医療も発達しておらず、乳幼児の生存率が低かったため、子どもの健やかな成長に対する強い思いがありました。「七つ前は神のうち」といわれ、7歳までは神様に守られているので何をしてもバチが当たらないが、魂が定まっていないためいつ死んでもおかしくないとされました。そこで、3歳・5歳・7歳という節目の年齢を迎えると、晴れ着を着せて神様に成長を感謝し、これからも健やかに育つよう祈願したのが七五三の由来です。7歳になると「神のうち」から神様をまつる側の氏子になり、社会の一員になったのです。
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2024年は11月22日【小雪】
小雪の頃は、まだ少しですが、山のほうでは雪が降ります
2024年の小雪は、11月22日から12月6日です。毎年11月22日頃~12月6日頃にあたりますが、日付が固定されているわけではありません。また、小雪といっても、小雪に入る日を指す場合と、小雪(二十四節気の第20)から大雪(二十四節気の第21)までの約15日間をいう場合があります。二十四節気では、小雪の前は冬の兆しがみえてくる頃の「立冬」で、小雪の次は、山の峰に雪がかぶり平地でも雪が降りだす頃の「大雪」となります。
この時期、昼間はそれほど冷えず、ときには春を思わせるような暖かな日になることがあります。このような日を「小春日和」と言います。小春とは春のことではなく、旧暦の10月(今の11月頃)をさし、初冬の穏やかで暖かい気候を春に例えて「小春日和」と呼ぶようになりました。
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11月23日【勤労感謝の日】
「勤労感謝の日」は、「新嘗祭(にいなめさい)」という祭祀に由来します
「勤労感謝の日」は、「新嘗祭(にいなめさい)」という祭祀に由来します。「新」は新穀、「嘗」は奉る、舌の上にのせて味をためすという意味で、「新嘗」はその年に収穫された新穀を神様に奉って恵に感謝し、口にすることを表しています。新嘗祭の歴史は古く、『日本書記』には飛鳥時代に行ったという記述があります。
現在でも、新嘗祭は宮中をはじめ全国の神社で行われており、五穀豊穣を祈願する祈年祭と相対する重要な祭祀とされています。新嘗祭は宮中恒例祭典の中の最も重要なものとされ、新天皇が即位の礼の後、初めて営まれる大規模な新嘗祭を「大嘗祭(だいじょうさい)」といいます。
古来、日本人は命を支える「食」を大事にし、神聖なものとしてきました。そして、祭事を通して天の恵みに感謝をささげてきました。農耕を営み、米を主食とする日本人が、新嘗祭を最も重要視したのも頷けることでしょう。
▷11月23日「勤労感謝の日」の由来・起源
11月の行事食・食べ物
七五三に欠かせない千歳飴は、江戸時代に始まったと言われています
酉の市は正月を迎えるための最初の祭りとして、縁起熊手のほかにも、八頭(里芋の一種)や黄金餅(粟餅)、切山椒という餅菓子などが人気です。
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●亥の子の日:亥の子餅
「亥の子の日」は亥が重なるので「玄猪(げんちょ)」とも呼ばれ、多産のイノシシにあやかり亥の子(猪の子)に見立てた「亥の子餅」(別名「玄猪」)を食べ、無病息災や子孫繁栄を祈願します。
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●七五三:千歳飴
七五三に欠かせない千歳飴は、江戸時代に浅草の飴売りが、子どものお宮参りのお土産として考案したのが始まりといわれています。昔は子どもが病気になることが多かったので、長生きできるよう長~く伸ばした飴を作り、千年飴、寿命飴として売り出しました。千歳飴の袋には、鶴亀、松竹梅、翁と媼など、長寿にまつわる縁起の良い絵柄が多くみられます。また、紅白の飴は年の数だけ袋に入れると良いとされています。
▷七五三の由来や年齢・衣装まで お祝いのしかた基礎知識
●ボジョレー・ヌーボー
日本でも人気のボジョレー・ヌーヴォーは、11月の第3木曜が解禁日。2024年は11月21日です。ボジョレー・ヌーヴォーとは、フランスのボジョレー地区でその年に収穫したぶどうを醸造した新酒ワイン。解禁日が決まっているので、世界中でフレッシュな味を求めて盛り上がります。
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