これまでと違う!? 「国バラ」変化の年
数あるガーデニングイベントの中でも最も多くの注目を集める国内最大規模の花イベント、「国際バラとガーデニングショウ(International Roses & Gardening Show 2017)」(※以降『国バラ』と省略)。イベント開催の前から、「今年は何だかいつもと違う?」と感じた方が多かったのではないでしょうか。その端緒は、今年のイベントポスターにありました。
これまでの、ふうわりとしたバラの香りの漂うようなイメージ画像主体のものではなく、ピンクの背景に一輪のバラと「バラ好き」というテキストのみという、何ともシンプルなもの。インパクトはありましたが、正直「どうしたの?」と感じずにはいられませんでした。
第19回国際バラとガーデニングショウ公式ガイドブックと会場案内図
最たるものとしては、これまでの国バラを牽引してきたガーデンデザイナー、吉谷桂子氏とケイ山田氏のガーデン展示が無くなったことです。両氏とも多くのファンを魅了してきただけに、その展示が無いことに対する寂しさは禁じえません。
「では2017年の国バラはつまらないの?」と尋ねられたら、「もちろん、そんなことはありません!」とお答えします。その理由を、ここから徐々にご紹介していきます!
「第19回国際バラとガーデニングショウ(International Roses & Gardening Show2017)
会場:メットライフドーム(旧 西武プリンスドーム)〒359-1196 埼玉県所沢市上山口2135
会期:2017年5月12日(金)~17日(水)
9:30~17:30(入場は終了の30分前まで)最終日17日は17:00終了
※詳細は公式ホームページをご覧ください。
http://www.bara21.jp/
ウェルカムガーデンでカナダを感じる
2017年の国バラ会場で一番大きな面積を占めたのは、マーク・チャップマン氏によるウェルカムガーデンです。「世界一美しい庭」とも評される、カナダ・ブッチャートガーデンのエッセンスを随所に取り入れたガーデンで、きれいに刈り込まれた芝、噴水のきらめき、コニファーの緑と草花のコントラストなど、素晴らしい庭に仕上がっていました。バラのタイムトンネル ~150年バラものがたり~
ウエルカムガーデンの奥には、モダンローズ150年の歴史をバラのトンネルで体感できるコーナー「バラのタイムトンネル」が控えています。ここは、これまでのショウでいう「ローズアベニュー」にあたるでしょうか。会期中は日替わりでバラのエキスパートたちによる解説も! という贅沢空間だったのですが、タイミング悪く規制時間に被ってしまい、帰宅後に画像チェックしたところトンネルの外側しか撮影できていなかったという、ガイドとしては何とも残念な結果で面目ありません。
世界のニューローズ ベスト10
こちらはバラの専門誌「NewRoses」編集長・玉置一裕氏が世界の主要ナーセリーの新品種を紹介するコーナーです。フランス・メイアンの「レヨン ドゥ ソレイユ」と、イタリア・バルニの「パオロ ペイローネ ジャルディニエレ」の二種がイエロー系だったほかは、ローズからピンク色のバラが占めていました。清廉-seiren- 志穂美悦子の花空間
昨年インスタレーション特別展示「階 ---きざはし---」で、国バラに鮮烈デビューした志穂美悦子氏。今年は「和の息吹く花の世界」をテーマに、「清廉-seiren-」と題した作品を作り上げました。この展示のため、ハンギングバスケットに初挑戦されたそうですが、すっと伸びた竹の上に乗せられた花籠は独特の世界感を漂わせていました。可愛い、美味しい!レミ・アン・ローズ
明るい色調のガーデンを展開するのは、斬新なアイディアと明るい人柄で人気の料理家・平野レミ氏と、昨年ガーデン部門大賞を受賞したアトリエナナ・小林裕子氏のコラボ。レミ氏の愛するシャンソン「ラヴィ・アン・ローズ」にちなんだキッチンガーデンは、その名も「レミ・アン・ローズ」!レミ氏のお料理と同じように、様々なアイディアが散りばめられています。バラとガーデニングコンテスト
毎年楽しみにしている方も多いコンテストも、本ショウの見どころの一つ。プロアマ問わず「ガーデン」、「ハンギングバスケット」、「バラ鉢植え」、「切り花」の4部門で競われたコンテストの中から、ガーデンとハンギングバスケットの出展作品をご紹介します。■ハンギングバスケット部門
街を彩る色彩豊かな、見る人を明るく楽しい気持ちにさせるような作品を募集。全172の応募作品の中から大賞に選ばれたのは、吊りタイプの作品「Shade Hanging Basket のすすめ」(喜多村 奈保子 氏・東京都)です。
■ガーデン部門
ガーデン部門は「ライフスタイルガーデン」をテーマに、「A・ホームガーデン:6.3m×3.6m=23平米」、「B・バルコニーガーデン:4.5m×2.4m=11平米」、「C・フロントガーデン2.7×1.8=5平米」の3カテゴリーで作品を募集。全83作品の頂点に輝いたのは、B部門の「もうひとつの未来」(mement・森+A-TECH DESIGN with RYU PLANTS NETWORK 川井 清美 氏・埼玉県)です。
もっとバラを楽しむ
ここまでご紹介した他にも、草月流家元・勅使河原茜氏による「世界最大のバラのいけばな」、人気のガーデンデザイナー浜本規子氏・有福創氏による「ライブガーデン」、「ガーデンをはじめよう~ガーデンのあるLIFEスタイル~」と題して、どんな場所でも、どんなライフスタイルでも楽しめる様々なガーデンスタイルの提案、そして買い物を楽しめるガーデンショップなど、今年も楽しめる企画が盛りだくさんでした。そんな中、本ショウで特筆すべきは多彩なワークショップです。これまでの「美しい庭を見る」というショウの形から、「参加する」というスタイルに変化したことを感じさせたのが、この数々のワークショップでした。
短いものは15分程度、時間が掛るものでも40分程度で作品を完成させて持ち帰ることができるワークショップは、とても魅力的な企画です。会期中は混雑必至かと思いますが、ガイドも会場が近ければ毎日通い詰めで参加したいものばかりでした。
第19回国バラスナップ集
ここからは、会場で撮影したスナップ集でお楽しみください!まずはハンギングバスケット部門の出展作品から、いくつかご紹介しましょう。次はガーデン部門のコンテスト出展作品から。
ここからはご家庭のガーデニングでも真似できそうなアイディアをご紹介!
さて、ここまで第19回目を迎えて大きく変化した国際バラとガーデニングショウの様子をご紹介してきましたが、いかがでしたでしょう。冒頭で述べたように大きなショウガーデンの展示こそ少なくなりましたが、ワークショップなど参加型の楽しみ方も生まれ、これからのショウがどのように展開されていくのか?という次への興味もまたあらためて感じました。
今回の国バラ取材で撮影した写真は360枚。その中からごく一部のご紹介とはなりましたが、少しでも会場の雰囲気を感じていただけたなら幸いです。
もっと写真を撮ってくれば良かったなぁと毎年同じ反省を繰り返していますが、2017年の国バラ記事のトリはこちら「レミ・アン・ローズ」の庭から……。
料理は食べてこそ、その美味しさや素晴らしさがわかるもの。ガーデニングも素敵な庭をただ見るだけでなく、まずは一鉢育ててみることからはじめてみてはいかがでしょう。
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