フランスのフィロキセラの害は「ティーチャーズ」発売年
ティーチャーズ ハイランドクリーム
ブレンデッドウイスキー黎明期(れいめいき)の1863年に誕生したのが「ティーチャーズ ハイランドクリーム」である。1863はスコッチウイスキー業界にとって極めて重要な年として記憶されている。
フランスのローヌでこの年、ぶどうの木にフィロキセラという害虫が発見されるとたちまちフランスはもとよりスペイン、ポルトガルのぶどう栽培地に害が広がり、1870年代にはヨーロッパのかなりの地域に伝染病のように蔓延していった。ワイン、ブランデーは壊滅的な大打撃を被ったのである。
スコットランドの地酒が世界的な酒として大きく飛躍していくきっかけは、ワイン、ブランデーの枯渇がもたらした。ここからスコッチがヨーロッパ大陸に進出していく。19世紀末からはブレンドにより香味品質が安定し、まろやかな風味で飲みやすく、大量生産がきくブレンデッドウイスキーが主役の座を得ることになる。
他の人気ブランドよりも早くに誕生した「ティーチャーズ」
バランタインファイネスト
日本でブレンデッドスコッチのなかで最も人気の高いブランド「バランタイン」は、黎明期に誕生したといえるかもしれない。ジョージ・バランタインが1869年にエディンバラからグラスゴーに移り、本格的にブレンド事業を開始してから後に生まれたものであろう。
その他をみると「ホワイトホース」は1890年、「ジョニーウォーカー」が1908年、「シーバスリーガル」は1909年に誕生している。
1873年に岩倉具視使節団が持ち帰ったという伝聞があることで知られている「オールドパー」は、それが事実であるとすれば、おそらくブランドが誕生してすぐのことではなかろうか。わたしの記憶では1870年代はじめに誕生しているはずである。
前回記事で「ティーチャーズ」がブレンデッドの歴史とともに歩んできた、と述べたのはこうした発売年も物語っている。(シリーズ3へつづく)
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