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ティーチャーズの歩みから探るブレンデッドの歴史2

1につづいてシリーズ2は、スコッチウイスキーが世界の酒となり、ブレンデッドが主役に躍り出た歴史的事件について述べてみる。

協力:サントリー
達磨 信

執筆者:達磨 信

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フランスのフィロキセラの害は「ティーチャーズ」発売年

ティーチャーズ ハイランドクリーム

ティーチャーズ ハイランドクリーム

連続式蒸溜機の発明、穀物法撤廃などの追い風が吹き、スコッチのグレーンウイスキーは大きな地位を獲得するようになる。さらには1860年にアンドリュー・アッシャーがモルトウイスキーとグレーンウイスキーを混和したブレンデッドウイスキーを開発して、スコッチの歴史は大きな転換点を迎えたことを前記事『ティーチャーズの歩みから探るブレンデッドの歴史1』で述べた。今回はその後について見つめてみる。
ブレンデッドウイスキー黎明期(れいめいき)の1863年に誕生したのが「ティーチャーズ ハイランドクリーム」である。1863はスコッチウイスキー業界にとって極めて重要な年として記憶されている。
フランスのローヌでこの年、ぶどうの木にフィロキセラという害虫が発見されるとたちまちフランスはもとよりスペイン、ポルトガルのぶどう栽培地に害が広がり、1870年代にはヨーロッパのかなりの地域に伝染病のように蔓延していった。ワイン、ブランデーは壊滅的な大打撃を被ったのである。
スコットランドの地酒が世界的な酒として大きく飛躍していくきっかけは、ワイン、ブランデーの枯渇がもたらした。ここからスコッチがヨーロッパ大陸に進出していく。19世紀末からはブレンドにより香味品質が安定し、まろやかな風味で飲みやすく、大量生産がきくブレンデッドウイスキーが主役の座を得ることになる。

他の人気ブランドよりも早くに誕生した「ティーチャーズ」

バランタインファイネスト

バランタインファイネスト

ただし「ティーチャーズ」以外に、日本でいま人気の高いブレンデッドスコッチのブランドの多くは、少し遅れて誕生している。
日本でブレンデッドスコッチのなかで最も人気の高いブランド「バランタイン」は、黎明期に誕生したといえるかもしれない。ジョージ・バランタインが1869年にエディンバラからグラスゴーに移り、本格的にブレンド事業を開始してから後に生まれたものであろう。
その他をみると「ホワイトホース」は1890年、「ジョニーウォーカー」が1908年、「シーバスリーガル」は1909年に誕生している。
1873年に岩倉具視使節団が持ち帰ったという伝聞があることで知られている「オールドパー」は、それが事実であるとすれば、おそらくブランドが誕生してすぐのことではなかろうか。わたしの記憶では1870年代はじめに誕生しているはずである。
前回記事で「ティーチャーズ」がブレンデッドの歴史とともに歩んできた、と述べたのはこうした発売年も物語っている。(シリーズ3へつづく)

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