アルバータウイスキーの大きな特長
アルバータダークバッチ
その「アルバータプレミアム」と5月17日同時新発売されるのが「アルバータ ダークバッチ」。続々と個性的なウイスキーが登場してきてなんとも楽しい。
しかしながら香味特長をご紹介する前に、「アルバータ ダークバッチ」という製品はとても大胆なブレンデッドウイスキーのためカナディアンウイスキーの製法上の特長をお伝えしておかなければならない。
ライウイスキー91%、バーボン「オールドグランダッド」8%、シェリー酒1%という比率のとてもユニークなブレンドから誕生しているからだ。
「カナディアンクラブ」(C.C.)の記事でも語っているが(2ページ目関連記事参照)、カナディアンウイスキーの特長としてフレーバリングウイスキーとベースウイスキーの2タイプがある。フレーバリングはジャパニーズやスコッチのモルトウイスキー、ベースはグレーンウイスキーと捉えるとわかりやすい。
●フレーバリングウイスキー
アルバータ蒸溜所では穀類原料にライ麦を100%使用している点で、他のカナディアンウイスキー蒸溜所とは一線を画している。そのため香味特性も異なる。
独自のアルバータの製法は後述するが、一般的に知られたカナディアンウイスキーのフレーバリングウイスキーは以下のようにつくられている。
通常はライ麦、トウモロコシ、ライ麦麦芽、大麦麦芽を原料に連続式蒸溜機で蒸溜後、さらに単式蒸溜器あるいは1塔式連続蒸溜機で蒸溜する。ライ麦の香味が生かされた特有のスパイシーでオイリーな香味を特長としている。
●ベースウイスキー
主にトウモロコシを原料に連続式蒸溜機で蒸溜。ライトでクセがなく、ニュートラルスピリッツに近い。
このベースウイスキーに関してもアルバータ蒸溜所は穀類原料にライ麦を100%使用する。
9.09%まで、他のスピリッツやワインの添加OK
上記フレーバリングとベースの2タイプをブレンドするのがカナディアンブレンデッドウイスキーで、カナディアンのほとんどがこのブレンデッドである。オーク樽熟成は通常3~4年(法定義では小樽に最低3年)。フレーバリングウイスキーの原料からわかるようにカナディアンウイスキーにはライ麦の風味が心地よくそよぐ。ブレンド比率はフレーバリングが10~30%、ベースが70~90%が一般的。
さらにカナディアンウイスキーならではの大きな特長がある。ブレンドにおいて9.09%までカナダ産以外のスピリッツやワインを加えることが法的に許されている。多くはバーボンウイスキーだが、フルーツブランデーやフォーティファイドワインを添加することもある。
そんな中、前回記事で紹介した「アルバータ プレミアム」は、フレーバリングウイスキーもベースウイスキーも原料穀類にライ麦だけを使用してつくられる唯一のシングルライウイスキーである。
そして「アルバータ ダークバッチ」はカナディアンブレンデッドのユニークさを物語る製品であり、ライウイスキーに少量のバーボンウイスキーとシェリー酒を添加した個性的な香味のものである。
ではそのユニークな香味特性を次ページで紹介しよう。(次ページへつづく)