スモーキーレベルの異なる、スモーキー4
スモーキー4
先日、スコッチのハイランドモルト「アードモア レガシー」が発売され、スモーキーな香味世界がより多彩になった。今回はアイリッシュ「カネマラ」ノンエイジ、スコッチ・ハイランドモルト「アードモア レガシー」、スコッチ・アイラモルト「ラフロイグ セレクト」「ボウモア スモールバッチ」の地域の異なる4製品、スモーキー4の香味特性を紹介する。
飲み比べて、楽しんでみてはいかがだろう。同じスモーキーモルトであっても個性は大きく異なることがわかるはずだ。尚、新発売されたばかりの「アードモア レガシー」に関しては『アードモア レガシー/スモーキーハイランドモルト登場』を参照いただきたい。
スモーキーフレーバーはピートの燻煙により麦芽に付着した化合物によるもの。主としてフェノール類。この濃度や比率、その他の香気成分の違いによってスモーキーさ(スモーキーレベル)は異なってくる。また同程度のフェノール値であっても、アイラ島とハイランドといったピート採掘地の植生環境の違い、発酵や蒸溜の細かな違い、熟成樽種の違いなどでそれぞれのブランドの香味特性は大きく異なる。
スモーキーさを抱きながらも甘美さやスパイシーさなど、複雑で重層的な、豊かなフレーバーを感じ取ることができる。
ちなみに4製品のスモーキーレベルを比較すると、「アードモア レガシー」はレベル2、「カネマラ」レベル3、「ラフロイグ セレクト」レベル5、「ボウモア スモールバッチ」レベル4となる。
では、まずスモーキーさが穏やかな「アードモア レガシー」から。スモーキーレベルやフェノール値を飲み比べの参考にしていただきたい。
ライトリーピーテッドの爽やかスモーキーフレーバー
アードモア レガシー
● スモーキーレベル2
● 麦芽フェノール値:12~14ppm
ノンピーテッド麦芽の原酒も使用していることでフェノール値よりも柔らかく、ライトで爽やかなスモーキーさに仕上がっている。
甘く輝くような高揚感のある味わい。ハイランドの気候風土がもたらす要素が凝縮されたような香味。優しいフレーバーはピーテッドとノンピーテッドの麦芽の2種を使った絶妙なバランスから生まれている。ハイボールがおすすめ。
色 明るい黄金色
香り シナモン・キャラメル・はちみつ・繊細なピート香
味 クリーミーなバニラ・スパイス
フィニッシュ シルクのような後味が長くつづく
ボディ ライトミディアム
700ml・40%・¥3,000(税別)
スモーキーに大地が薫る、スムース&スパイシー
カネマラ
● スモーキーレベル3
● フェノール値:約14ppm
草や土の大地を想わせるドライな感覚の中に、フルーティーなフレッシュさもある。フェノール値以上のスモーキーさを感じさせる。
フレッシュな4年熟成モルト、フルーティーな華やぎのある6年熟成、バーボン樽由来のバニラの甘みを抱いた8年熟成。これらの原酒をブレンド。スモーキーさとともにフルーティーな香りが際立つ。チョコレートのような甘さもある。複雑ながらスムース。飲み方はロック、ハイボールがおすすめ。
色 かすかに緑がかったゴールド
香り スモーキー・新鮮なフルーツ
味わい はちみつ・バニラ・チョコレート
フィニッシュ ドライだが涼やかなスパイシーさが心地よい
ボディ ライトミディアム
700ml・40%・¥4,200(税別)
次のページでは「ラフロイグ セレクト」「ボウモア スモールバッチ」のスモーキーレベル、フェノール値、そして香味特性を紹介する。(次ページへつづく)