円熟の極み、ザ・スモーキー・アイラ
ラフロイグ15年
この「ラフロイグ15年」は30年前の「15年」誕生時レシピを再現・復刻したもので、1st.フィルバーボン樽と2nd.フィルバーボン樽の2タイプの熟成モルトをブレンド(ヴァッティング)している。香味はとても素晴らしい。円熟を極めたスモーキー&スウィートで魅了する。甘くジューシーさあふれる豊潤なまでのコクが印象的だ。
スモーキーモルトに関しては記事『スモーキーなシングルモルトを飲み比べてみよう』をお読みいただきたいのだが、一応「ラフロイグ」について簡単に触れておく。
ラフロイグは海藻や潮の香、薬品を想わせるヨード様とも表現される強烈な主張があり、“アイラモルトの王”と呼ばれ、ザ・スモーキー・アイラ、ザ・スモーキーモルトとも評されるシングルモルトである。
“好きになるか、嫌いになるか”のフレーズで知られるが、実際には“誰もが好きなる”好漢だとわたしは言いたい。たしかにウイスキー入門者にとっては手強い香味だろう。でも、ウイスキーを飲みこなしていくうちに辿り着く味わい、一度は虜になるモルトウイスキーなのだ。
アイラモルトの中でも世界No.1の販売数量を誇っていることがその証。とくに「10年」のスモーキーフレーバーを愛する人たちが世界中にたくさんいる。
ただ、21世紀に入ってからのシングルモルトブームで「10年」ばかりが個性的なスター扱いされてしまっているため、長期熟成による甘くジューシーさあふれる「ラフロイグ」の存在を語られることが少ない。またバーボン樽熟成だけでなく、2014年記事『ラフロイグセレクトカスク新発売6/24』の「ラフロイグセレクト」のようにシェリー樽、バーボン樽熟成モルトをブレンドした製品もあり、香味の幅は広い。
わたしは大昔にシェリー樽長期熟成の「ラフロイグ」をいくつか飲む機会に恵まれたのだが、まったくの別物であり、驚愕の甘美さ、奥深い美味しさだった。バーボン樽熟成10年の味わいはぶっ飛んでしまい、ラフロイグモルトの持つ深遠な力強さを思い知らされた経験がある。
3月29日発売の「ラフロイグ15年」はその原酒のポテンシャルの高さを物語るものだ。アイラモルトの王、威風堂々としたシングルモルトである。(ボトル撮影・小寺浩之)
LAPHROAIG 15 Years Old
700ml・43%・¥11,000(税別)
スモーキーでスウィート。「ラフロイグ」ならではのピーティーさ、潮の香の感覚はそのままに、15年超の長期熟成により強く深く、重層的な複雑さを抱いた円熟味のある香味が特長。
1st.フィルバーボン樽熟成モルトはスモーキーさとバニラ様の甘みを抱き、2nd.フィルバーボン樽熟成モルトはミントやフルーツのフレッシュな香りを育む。そのブレンドがスモーキーさに甘くフルーティーな豊潤さ、コクを抱かせた。
色 スパークリングゴールド
香り グレープフルーツ・ミント・バニラ様が溶け込んだ甘いピート香
味 磯の感覚のソルティさ・熟した果物様のコク・柑橘系の酸味と微かな渋味
フィニッシュ 円熟味のある柔らかいスモーキーな余韻が長くつづく
関連記事
カネマラ/スモーキーなアイリッシュシングルモルトスモーキーなシングルモルトを飲み比べてみよう
ラフロイグセレクトカスク新発売6/24
ボウモアスモールバッチ6/24新発売