クリスマスウイスキー、グレンフィディック
最初に一般見学者を招き入れたグレンフィディック蒸溜所
また創業の経緯については、前回記事『グレンフィディック18年・21年(1/26新発売)』において述べているので、そちらをご覧いただきたい。
現在の活況に至るモルトウイスキー・カテゴリーを開拓したのはグレンフィディック創業のグラント一族である。シングルモルトウイスキーのカテゴリーを生む先駆けとなり、世界に向けて売り出した経緯については『グレンフィディック オリジナル日本新発売6/9』の記事をお読みいただきたいのだが、グラント家はさまざまな面で先駆者として知られる。
鄙びた良さのある蒸溜所敷地内
神の思し召しか、クリスマスの朝にニューメイクを生んだ家系は、ウイスキー・シーンの創出という役割を担ってきたのだ。だから、クリスマスには「グレンフィディック」を飲みなさい、とわたしはすすめている。「グレンフィディック」はクリスマスウイスキーとしてふさわしい。
ポテンシャルの高い酒質を生む理由
グレンフィディックの蒸溜室
ロビーデューと呼ばれる泉に湧く、柔らかくピュアな水を仕込みに使用しつづけている。麦芽はノンピーティッドに近い。かすかにピーティングされたもので強いピートの燻香をつけることはない。麦汁を得る糖化層は2基。発酵槽はダグラスファー(米松)の木桶発酵槽24基、ステンレス発酵槽8基。大規模である。
さらに発酵で得た醪(もろみ)を蒸溜するポットスチルは、初溜器10基(すべてストレート型)、再溜器18基(ランタン型9基・ボールのようなコブのあるバルジ型9基)もあり、蒸溜室に建ち並ぶ姿は壮観である。
グレンフィディック12年
糖化においては時間を惜しまず、そして丁寧にじっくりと濾過することでたっぷりと糖分を含んだ清澄な麦汁を得る。これが果実のような香り高い、華やかで伸びのいいリッチな酒質を生む要因となっている。
発酵においては酵母の増殖と死滅、そして熟成期間ともいえる乳酸発酵を促すことによりフルーティーでクリーンな酒質へと導く。
こうした時間をかけた醸造と小型ポットスチルによる直火蒸溜との相乗効果により、ポテンシャルの高いニューメイクを生み出している。
次ページでは「グレンフィディック」の樽熟成とグレンフィディック蒸溜所の職人たちについてお伝えする。(次ページへつづく)