「知多」ベースのスタンダードカクテルは煌めくように輝く
サントリーウイスキー知多
9月に発売されたシングルグレーンウイスキーの「サントリーウイスキー知多」が人気である。製品の詳細は『サントリーウイスキー知多/グレーン9月1日新発売』の記事をお読みいただければ有り難い。
「知多」の飲み方としては、ソーダ割“風香るハイボール”が好評のようだ。しかしながら今回はスタンダードカクテルのベースとして優れたスピリッツ的活躍をすることをお伝えする。
かつての記事『ブレンデッドはボルドーワインの魅力』の2ページ目後半、“グレーンがブレンデッドにつやを生む”で述べたように、これまでグレーンウイスキーはモルトウイスキーとのブレンドで重要な役割を担ってきた。しかしながらシングルグレーン「知多」はブレンデッド素材としてではなくスタンダードウイスキーとして香味設計されたもので、ストレートで飲んでもスーッと口中を心地よく滑っていく。
特長的なのは、その穏やかで透き通ったしなやかな特性はカクテル素材として見事な役回りを演じて魅了する点だ。ミックスする材料の香味を崩すことなく寄り添い、うまく調和して、まろやかでとても伸びやかな味わいに仕上がる。高品質グレーンならではの醍醐味である。
「知多」をカクテルベースにしてみると、ブレンデッドウイスキーにおいて、主張の強いモルトウイスキーをしなやかにするグレーンウイスキーの特質を理解できるのではなかろうか。これまでグレーンウイスキーをカクテル素材として語るなんてことはまったくなかった。ウイスキーベースのカクテルに、「知多」が大活躍する日がきても不思議ではない。
まあ、ウンチクなんぞはどうでもいい。「知多」カクテルは単純に美味い。
おすすめのカクテルをいくつか紹介しよう。行きつけのバーの親しいバーテンダーに頼んで、是非とも試していただきたい。煌めくような輝き、シルキーな舌触りに仕上がる。ほとんどがウイスキーの風味を強く主張することなく、ふんわりと柔らかな味わいである。皆さん気に入っていただけると思う。
マンハッタン
本来はライウイスキーがベースだ。カナディアンクラブをベースにすることも多い。「知多ベースだからチタハッタンと呼ぶのか」と友人が言ったので笑ったが、口にした友人は思わず唸った。
レシピはウイスキー3、スイートベルモット1の3対1であるが、「知多」がベースの場合は4対1の比率をおすすめする。スイートベルモットを「知多」が柔らかく包み込んで、ふくらみのある味わいになる。
『マンハッタン』のベースをスコッチウイスキーに変えると大昔の義賊の名で『ロブ・ロイ』となる。ではジャパニーズのウイスキーの場合はなんと呼ぶか。
『石川五右衛門』とかになるのだろうか。わたしは「響」をベースにすることがあるが、そのときは親しいバーテンダーには『竜馬』と告げている。
知多 4/5
スイートベルモット 1/5
アンゴスチュラビターズ 1dash
ステアしてカクテルグラスに注ぎ、マラスキーノチェリーを飾り、レモンピールを絞りかける。
次ページでは知多ベースのカクテルをさらに紹介する。すべて美味しい。(次ページへつづく)