世界遺産/アジアの世界遺産

福建の土楼/中国(5ページ目)

森と畑が広がる深い渓谷に突如姿を現す直径70m、6階建ての巨大な建造物、客家土楼。個々の土楼が驚異的であるうえに、自然には不似合いな円形・楕円形・正方形・長方形・六角形といった幾何学図形が連なる様は感動的なほどに神秘的だ。近年中国では万里の長城や紫禁城に匹敵する人工建造物として人気は急上昇中! 今回はそんな中国の世界遺産「福建の土楼」を紹介する。

長谷川 大

執筆者:長谷川 大

世界遺産ガイド

「福建の土楼」への道

南渓土楼群

棚田と森が美しい南渓土楼群。この写真の中だけでも20近い土楼が確認できる

■エアー&ツアー情報
洪坑土楼群・九盛楼

1階でニワトリを放し飼いしている洪坑土楼群・九盛楼

土楼への起点となる龍岩は、アモイ(厦門)の北西130km、福州の南西250km、広州の北東450kmほどの位置にある。空港はあるが便数が少ないので、アモイや福州からバスや電車で訪れるのが一般的だ。アモイは成田、福州は関西などから直行便が出ているほか、各地からさまざまな経由便がある。格安航空券で4万円前後、ツアーは6万円前後から。

アモイには土楼を訪ねる現地ツアーもあるので、時間がない人は日帰りツアーなどに参加してもよいだろう。龍岩ではなく永定を利用してもよいが、バス・電車ともに龍岩より便が少ない。

 

■土楼の訪ね方
南渓土楼群・環極楼

南渓土楼群・環極楼

世界遺産に登録されている土楼群はそれぞれ離れているため、すべてを訪ねるのは難しい。たくさんの土楼を訪ねるのであれば、龍岩や永定、永定土楼民俗文化村でバイクタクシーや車をチャーターするのが現実的だ。

龍岩のバスターミナルから永定土楼民俗文化村行きのバスが出ており、文化村付近には多数のホテルがある。

本文中で文化村からの直線距離を示しているが、山中なので移動距離は直線距離の数倍になるうえ、スピードも出せないので想像以上に時間がかかる。すべて回る場合、少なくとも4~5日は必要になるだろう。

 

■周辺の世界遺産
田螺坑土楼群の文昌楼

田螺坑土楼群の文昌楼。極端な楕円形がユニークだ

北300kmの位置に「武夷山」があり、さらに150km北に「三清山国立公園」がある。龍岩から武夷山に長距離バスが出ている。

西550kmほどには「マカオ歴史地区」があり、さらに西100kmほどに「開平の望楼群と村落」がある。開平の望楼は福建の土楼と同様、華僑・華人が建てた歴史を持つが、その形がまったく違うところがおもしろい。龍岩からだと、バスで龍岩→広州→開平とつないで行ける。

 

「福建の土楼」のベストシーズン

初渓土楼群・集慶楼

初渓土楼群・集慶楼。二重の同心円の中に設けられた祖廟が神々しい

龍岩の夏の平均最高気温は33度、平均最低気温は23度、冬は17度と7度ほど。夏は東京と同等で、冬は東京より7~8度ほど暖かい。

福建省は中国でも雨が多い地方で、特に4~6月は東京でもっとも雨が多い9~10月の1.5倍近い降水量となる。また、8月前後は台風シーズンでもある。雨が比較的少ないのは冬で、10~1月は天気のよい日が多い。

世界遺産基本データ&リンク

南渓土楼群・衍香楼

個人的にもっとも好きな土楼のひとつ、南渓土楼群・衍香楼

南渓土楼群・環極楼の屋根部

南渓土楼群・環極楼の屋根部

【世界遺産基本データ】
登録名称:福建の土楼
Fujian Tulou
国名:中国
登録年と登録基準:2008年、文化遺産(iii)(iv)(v)

【関連サイト】
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