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ウイスキー&バー/ウイスキー、おススメのこの一瓶

カネマラ/スモーキーなアイリッシュシングルモルト

スモーキーフレーバーの香味はボウモアやラフロイグといったスコッチのアイラモルトで知られ、とくにこの2ブランドは世界的な人気を誇っている。でもスモーキー・アイリッシュ「カネマラ」も素晴らしい。

協力:サントリー
達磨 信

執筆者:達磨 信

ウイスキー&バーガイド

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アイリッシュウイスキーの革命児

クーリー蒸溜所

クーリー蒸溜所

スモーキーな香味といえばスコッチのアイラモルトが世界中で高い人気を誇っている。2014年の記事においてはそのアイラモルトの中から「ボウモアデビルズカスク/日本限定600本発売」にはじまり、「ラフロイグセレクトカスク新発売6/24」、そして「ボウモアスモールバッチ6/24新発売」とつづけて紹介した。今年最後の記事は再びスモーキーなシングルモルトを紹介する。ただしアイラモルトではなく、またスコッチでもない。「カネマラ」というなんとアイリッシュウイスキーにおいて、現在唯一のピーテッドシングルモルトを紹介する。
一般にアイリッシュウイスキーといえば未発芽の大麦と麦芽の両方を原料に使用し、3回蒸溜をおこなうことが知られている。多くは軽快で繊細な甘みのスムーズな飲み口を特長としている。
ところがこの「カネマラ」はかつて記事で紹介したボウモアやラフロイグと同じようにピート(泥炭)を焚いて麦芽乾燥させ、初溜、再溜の2回蒸溜というアイリッシュでは稀なシングルモルトである。これまでのアイリッシュウイスキーにはないユニークな香味に虜になる人は多い。

クーリー蒸溜所の蒸溜器

クーリー蒸溜所の蒸溜器

製造しているのはクーリー蒸溜所。アイルランド共和国の首都ダブリンから北へ約67マイル、車で1時間半程度の距離の街ダンドーク近郊に位置する。そこは北アイルランドとの国境間近の地であり、目の前のアイリッシュ海を船で渡ればブリテン島のリバプールへ着く。
クーリー社は1987年、クーリー半島にあった国営のアルコール製造工場をジョン・リーディング氏が買収し設立。1989年に蒸溜がはじまったまだ新しい蒸溜所だ。クーリー山のスリーヴ・ナ・クロークに湧く見事な軟水を仕込み水に使用し、“アイリッシュの革命児”とさえ呼ばれるほどさまざまな試みをしている。「カネマラ」の他にシングルモルト「ターコネル」やブレンデッド「キルベガン」などを製造している。
また貯蔵熟成においては、一部原酒をアイルランド中部に位置するキルベガン蒸溜所でおこなっている。首都ダブリンから西へ車で1時間30分の場所にタラモアという街があるが、そこから北へ10キロほどのところにある小さな村がキルベガンだ。
キルベガン蒸溜所の貯蔵庫

キルベガン蒸溜所の貯蔵庫

キルベガン蒸溜所の前身は、特定されている蒸溜所のなかで記録に残っている最古の蒸溜所であるブルスナ蒸溜所(1757年創業、1958年閉鎖)であり、クーリー社が2007年から小規模ながら蒸溜を再開した。そして貯蔵庫として博物館としても機能させている。
ブレンデッドの「キルベガン」はブルスナ蒸溜所時代の代表ブランドを復活させたものである。
では次ページで、「カネマラ」の製品特性について語ってみる。(次ページへつづく)

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