マーケティング/マーケティング事例

なぜディズニーは15%もの値上げに踏み切るのか?(2ページ目)

ディズニーリゾートは2014年9月1日、平日午後6時から利用できる『アフター6パスポート』を15%値上げすることを発表しました。いまだかつてない大幅な値上げを実施する狙いはどこにあるのか?マーケティング理論の観点から読み解いていきましょう!

安部 徹也

執筆者:安部 徹也

マーケティング戦略を学ぶガイド

値上げを実施する際に注意すべき2つのポイントとは?

値上げは売上に大きな影響を与えるために慎重に判断しなければいけません。

一般的に値上げを成功に導くにはいくつかの注意点があります。価格は顧客が購買を決定する非常にデリケートな要因だけに、闇雲に自社の都合だけで値上げを実施すれば顧客離れが加速して業績に深刻な打撃を与えかねません。そこで、値上げをする際には、最低でも次の2点には細心の注意を払う必要があるでしょう。

1) ライバル企業との価格差

もしライバル企業が同じような商品を販売している場合は、ライバル企業との価格差に注意を払わなければいけません。特に全く同じ商品であれば、価格だけが顧客の商品を選択する判断材料になりかねません。そのような場合は、顧客とすれば1円でも安いお店で購入することは合理的な判断といえるでしょう。たとえば、ガソリンスタンドが隣り合わせで営業していれば同じガソリンですから1円でも安いスタンドで給油することは当然の消費行動といえるのです。

2) 価格の弾力性

価格を変更した際に、どのくらい売上が変わるかは商品の特徴に応じて変わってきます。たとえば、ディズニーリゾートのように生活するうえで必ずしも必要のない嗜好品は価格を変えると大幅に需要が変動します。安ければ多くの人が購入しますし、高ければ我慢して多くの人が購入を控えるようになるのです。

一方でお米などの生活必需品は人が生きていくうえで必要なものであり、価格を変動させてもあまり需要に大きな変化はみられません。

このように価格を変えた時にどのくらい需要に変動があるかを表したものは『価格の弾力性』と呼ばれています。

嗜好品のように必ずしも必要でない商品は価格を変化させると大きく需要に影響を与えるために「価格の弾力性が高い」ということができますし、逆に生活必需品は価格を変えても需要にあまり変化がないために「価格の弾力性が低い」ということができます。
価格の弾力性

価格の弾力性


以上、2つの注意すべきポイントをふまえて今回のディズニーランドの大幅な値上げを分析すると、ライバル企業がいないという意味では顧客が流出することはないかもしれませんが、生活必需品ではないので価格の弾力性が高く、来園を控える顧客もある程度は出てくる可能性も高いという予測もできるでしょう。

次のページでは今回のディズニーリゾートの大胆な値上げの狙いをマーケティング理論に基づいて推理していきます。次ページへどうぞ!
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