マーケティング/マーケティング事例

なぜディズニーは15%もの値上げに踏み切るのか?

ディズニーリゾートは2014年9月1日、平日午後6時から利用できる『アフター6パスポート』を15%値上げすることを発表しました。いまだかつてない大幅な値上げを実施する狙いはどこにあるのか?マーケティング理論の観点から読み解いていきましょう!

安部 徹也

執筆者:安部 徹也

マーケティング戦略を学ぶガイド

ディズニーリゾート、『アフター6パスポート』を9月1日から大幅値上げ

『アフター6パスポート』大幅値上げ

ディズニーリゾートは9月1日より『アフター6パスポート』を大幅に値上げする

ディズニーランドやディズニーシーから成るディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドは、2014年9月1日から平日の午後6時から利用できる『アフター6パスポート』を3400円から3900円に500円の値上げを実施します。

実に15%弱にも及ぶ大幅な値上げとなります。

ディズニーリゾートでは、2000年以降、消費税増税以外では3度の値上げが実施されてきましたが、一度で15%に達する値上げはこれが初めての試みであり、まさに異例の値上げに踏み切ったといっても過言ではないでしょう。

この値上げの背景には、夜間のイベントの魅力アップがあります。

ディズニーシーでは2011年4月28日から、およそ30億円を投資して『ファンタズミック!』と呼ばれる水上ショーを開始。また、ディズニーランドではおよそ20億円をかけて、シンデレラ城に3D映像が映し出されるプロジェクション・マッピング『ワンス・アポン・ア・タイム』を2014年5月29日からスタートさせるなど、夜間のイベントに対して多額の投資を続けてきたのです。

このディズニーリゾートの常に新たな価値を提供する活動が功を奏し、来園者数は増え続けて、昨年の開園30周年には初めて3千万人を突破。今年度に入っても4~6月期は、新アトラクションの効果などで過去最高の入場者数を記録するなど、30周年記念の反動減で人気は衰えるどころか益々ヒートアップしているのです。

この原因を探るべく、独自に顧客満足度調査を実施して顧客の生の声を聞いたところ、「夜間のパスポートにお得感があり割安だ」という反応が多く、値上げに対して受容の余地があると判断し、適正な価格を探るために今回大幅な値上げに踏み切ったのです。

次のページでは、値上げで顧客が流出するなど、価格戦略で失敗しないために注意すべき2つのポイントをお伝えしていきます。次ページへお進み下さい!
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