ジャズ通を目指す! 初心者が押さえたい3つのポイント
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初心者からジャズ通を目指す!
今回は、周りから一目置かれるこだわりの「ジャズ通」になるために、ぜひ押さえて欲しい3つのこだわりポイントをご紹介いたします。
<目次>
1.お気に入りの楽器を決めよう
ジャズ(JAZZ)の聴き始めの頃は、何を聴いたらよいのか迷ってしまいます。多くの方が関連本やWEBなどの情報に頼って聴いているでしょう。それはそれで楽しいものですが、しばらくすると耳もこえてきて、いよいよ次のステップ「ジャズ通」へと行きたくなるものです。自分なりのこだわりのジャズ通を目指して、まず最初に、お気に入りの楽器を決める事から始めてみましょう。
こだわりといっても、いきなりドラムやベースなどリズム楽器からではなく、ここは無難にメロディ楽器から入りましょう。その方が、ジャズ好きが集まった場合でも、共通点が多くまわりとの話も弾むことでしょう。
まず、ピアノ、サックス、トランペット、ギター、ヴィブラフォンなど、ご自分の好みの楽器を決めてください。その上で、サックスだったら、「何となく同じに聴こえるアルトに比べて、テナーのほうが色々な人がいておもしろそうだな」とか、トロンボーンだったら、「バルブの人よりも、やはり難しいとされていて、しかも王道のスライドで極めたいな」などとこだわりのテーマも決めます。
さらには、金管楽器の花形、トランペットですと、オープン(そのままの状態で吹く事)かミュート(弱音器をつけて吹く事、金属的な音色に変わる)かでも違いが出ますし、似ている楽器でフリューゲルホーンやコルネットなどがあります。
「やわらかい音色のフリューゲルも良いけれど、明るい音色のコルネットが気になるな」といった風に感じたらOKです。コルネットにこだわって、色々なコルネットの入っているジャズを聴いていってください。
コルネットは柑橘系で言えばハッサクのような位置づけ。明るい中にも独特の渋みがあります。ジャズの黎明期には花形楽器でしたが、モダンになるにつれトランペットに取って代わられた不運な楽器とも言えます。そのあたりも、ジャズ通につうじる好みかもしれません。
モダン・ジャズにおいては代表的なコルネット奏者としては、超有名アルトサックス奏者キャノンボール・アダレイの弟、ナット・アダレイなどがおりますが、今回ご紹介するのはさらに渋いこちら!
トランペット・コルネット奏者ウェブスター・ヤング「フォー・レディ」より「ザ・レディ」
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For Lady
マイルス・デイヴィスにインスパイアされたウェブスターのミュートコルネットと有名テナー奏者レスター・ヤングにインスパイアされたテナー奏者のポール・クイニシェットが、品があってしかも少し寂しいビリー・ホリデイその人のようなテーマを、しっとりと奏でています。
2.お気に入りの曲を深く掘ろう
ジャズに限らず誰もが好きな曲は一、二曲はあるものです。あなたがジャズを聴いていく中で、必ずお気に入りの曲が現れてきます。そうしたら次に、そのお気に入りの曲を掘り下げてみましょう。ジャズでは、同じ曲でも演奏者によっては全く違う曲に聞こえたりします。そこが、ジャズの醍醐味です。ジャズ通になるためには、好きな曲を掘り下げて色々な演奏に触れて行くのが近道です。
最初に選ぶ曲は、ジャズメンオリジナルの難しい曲よりも、スタンダード曲の方が良いでしょう。しかも、単に旋律が美しいというだけではなく、蘊蓄や話題性を語れる「物語」(ストーリー)のある曲が狙い目です。
たとえば誰もが知っている有名な邦題が実は誤訳といわれる「ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ」(帰ってくれればうれしいわ)とか、男性歌手も多く歌っているのに、本当は女性が好きな男性の容姿をからかうという内容の「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」といった曲にまつわる「物語」を知っておくと会話が弾むこと請け合いです。
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次にご紹介するのはこちら!
ピアノ奏者クリス・アンダーソン「マイ・ロマンス」より「ソー・イン・ラヴ」
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MY ROMANCE + INVERTED IMAGE
日曜の21時から放映された、映画評論家の淀川長治氏の名解説で有名だった「日曜洋画劇場」のエンディングテーマと言ったらお分かりになるでしょう。かく言う私も、この曲を聴くと懐かしい思いでいっぱいになります。
1948年にコール・ポーターによって作られた、この情緒豊かな有名なテーマを、クリス・アンダーソンは、テレビで流れていた雰囲気とはまた違ったラテンタッチで、ドラマチックに演奏しています。
決して、テーマそのまま弾いているわけではありませんが、時折聴こえてくる断片だけでも、幼い頃の日曜の夜の風景が目に浮かんできます。テレビと映画解説の淀川長治氏の影響力の大きさには素直に感嘆してしまいます。
この曲の持つセンチメンタルな高貴さが、まだまだ外国が珍しかった当時の子供の心に(もしくは大人も含めて)、憧れのような感情を抱かせたのでしょう。普通のピアニストより少しだけミステリアスなクリス・アンダーソンと曲の相性もピッタリと言えます。
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3.お気に入りの裏名人をさがそう
ジャズ通を目指すあなたへご紹介する3つめのこだわりポイントは、お気に入りのミュージシャン(演奏者)をさがせ、ということです。これはおそらくは一番簡単なことでしょう。何となくという直感を信じ、好き・嫌いで判断すれば良いからです。最初は誰もが、皆に人気のミュージシャンから入ります。もちろんそれは決して悪いことではありませんが、ジャズ通になるためには、一歩進んで同じ傾向の裏名人も押さえたいものです。
たとえば、マイルス・デイヴィスならケニー・ドーハム、ズート・シムズならスパイク・ロビンソン、ナット・キング・コールのヴォーカルならばオスカー・ピーターソンもなかなか……と言った感じです。
チャーリー・パーカーやジョン・コルトレーンなど、影響力のあるミュージシャンならば、相当数のフォロワーや影響を受けた同傾向のミュージシャンがいます。
そして、それらのミュージシャンは実力的には本家と伯仲する場合も少なくありません。そういった裏名人とでも呼びたいミュージシャンをさがすのも、ジャズを好きになった喜びの一つです。今回ご紹介する、こだわりの裏名人はこちら!
トロンボーン奏者ベニー・グリーン「ソウル・スターリン」より「ソウル・スターリン」
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ソウル・スターリン
彼の演奏の出来が良いのは、当たり前ですが、今回の注目は二人参加しているテナーサックス奏者のジーン・アモンズとビリー・ルートです。
テナーサックス界で「ボス」と呼ばれたジーン・アモンズに対して、なかなかどうして一歩も譲らない貫録を見せるもう一人のサックス奏者、ビリー・ルートに着目してみましょう。
この「ソウル・スターリン」は、たとえるならばネオンでにぎわう華やかな都会の夜のひっそりとした裏通り。その地下の一室で行われたギャングの親分同士の会合のようなドスの利いた演奏です。
全編、立ち込めるタバコの紫煙、シングルモルトのビターな味わい、そしてむせ返るような男くさい演奏に終始します。一曲目の「ソウル・スターリン」を聴いてみましょう。のっけから、熱いトロンボーンのベニー親分からの、本日の議題です。
次のスキャット(ドゥビドゥビなどと聞こえる擬音のボーカル)はおそらくは賭場の上がりの状況報告かと思われます。それを聞いてベニー親分はギャング団の今後の見通しを語ります。
続いてロシアのギャング団の視察より戻ったジーン・ボス・アモンズによる音圧のあるぶ厚い威圧感のあるテナー登場です。「ボルガの舟歌」などを交えて、まだ若干旅行気分が抜けないようです。
ピアノソロに続いて、いよいよフィラデルフィア地区を縄張りにするテナーのボス、ビリー・ルートの登場です。居並ぶ凶暴なボスの半端じゃない存在感に負けじと、太い音と説得力のあるフレーズで堂々と渡り合います。
その彼こそが知る人ぞ知る、といいますか、知らない人の方が多い幻のテナー奏者ビリー・ルートその人なのです。
ビリー・ルートは、フィラデルフィアに生まれ、わずかな期間ニューヨークで活動、そのまますぐに、フィラデルフィアに戻ったために、栄えある裏名人の仲間入りをしたテナー、バリトン奏者です。実力は聴いて頂いた通りの折り紙つき。こういう裏名人が沢山いるからジャズ通は止められないのです。
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今回のまとめ
今回ご紹介した、目指せジャズ通! 3つのこだわりポイント- お気に入りの楽器を決めよう
- お気に入りの曲を深く掘ろう
- お気に入りの裏名人をさがそう
そして、あなただけのこだわりが見つかったら、ぜひ私に教えてください。
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