その1、循環コード 
マイルス・デイヴィス  「バグス・グルーヴ」より 「オレオ」

Bag's Groove

      Bag's Groove

循環コードは、もともとアメリカの有名作曲家ジョージ・ガーシュインが作曲した「アイ・ガット・リズム」という曲のコード進行の事を言います。アイ・ガット・リズムのコード進行なので「リズムチェンジ」とも呼ばれています。

ジャズ(JAZZ)においては、このコード進行をもとに沢山の曲が書かれており、その中でも代表的なものと言えるのが、有名サックス奏者ソニー・ロリンズが作曲した「オレオ」です。

循環コードはAA’BA’形式の三十ニ小節で出来ており、それぞれが八小節で、Bの部分はサビと呼ばれる部分になります。マイルス・デイヴィスによるこの曲の初演では、AとA’の部分にはピアノが入りませんので、Bのサビの部分八小節のバッキングから覚えるのも良いかもしれません。

その2、Fブルース 
マイルス・デイヴィス 「バグス・グルーヴ」より 「バグス・グルーヴ」

同じマイルスのアルバム「バグス・グルーヴ」にはタイトルになっているFのブルース「バグス・グルーヴ」が入っています。こちらは、ヴィブラフォン奏者のミルト・ジャクソンのオリジナル曲です。

題名のバグスは、ミルト・ジャクソンの目の下の特徴的なクマ(バグスというそうです)からきています。グルーヴは乗りと言った感じでしょうか。ミルト・ジャクソン特有のうねるようなノリという意味の彼の代表的な曲です。

この曲のコード進行のFのブルースとは、十二小節のブルース進行(コード進行の形式)に沿った曲の事で、調性がF(ドレミで言うところのファ)から始まる音階で成り立っている曲と言う事です。

つまり、ブルースは十二種類あるという事ですが(ドから始めて半音も含めて十二音階)、ジャズでは頻繁に使われるのがこのFかもしくはCのブルースになります。

ここにサックス奏者がバンドにいるとB♭やE♭のブルースが入ったり、ロックミュージシャンが多いとAのブルースだったりします。これらを覚えておくと、セッションでは何とか一緒に演奏が出来るという事になります。

このマイルス・デイヴィスの「バグス・グルーブ」にはニテイク演奏が収められています。ここでのピアニストは有名ピアノ奏者のセロニアス・モンクですが、マイルスのソロではバッキングをまったく入れていないために、録音当時にマイルスとモンクの間に何かあったのではないかとされる「ケンカセッション」と言われていた有名な演奏です。

この「ケンカセッション」の真相は、マイルスの自伝によると、ケンカではなくて、「俺の後ろでは弾かないでくれ」と頼んだとあります。良い意味でも悪い意味でも癖のある特徴的なモンクのピアノなので、マイルスにしてみれば純粋に音楽的に合わないと感じたのでしょう。

事実、マイルスのソロとモンクのソロでは、同じ曲とは思えないほど両者のイメージの違いがはっきり出ています。マイルスがリーダーのセッションとはいえ、作曲者でもあるミルト・ジャクソンが、あくの強い二人に挟まれ、やや影が薄くなってしまった感があります。

でも、そのあたりがジャズの面白いところでもあります。他人のもの(曲)でもいかに、自分の色に染められるのかが、演奏者の資質を決める重要なファクターだからです。そういった意味でも、かみ合わないマイルスとモンクが一緒にやるには、これしかなかったのかなと思わせる演奏です。

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その3、枯葉  
ジーン・アモンズ&ソニー・スティット 「ボステナーズ/ディグ・ヒム」より 「枯葉」

BLUES UP & DOWN - BOSS TENORS & DIG HIM

BLUES UP & DOWN - BOSS TENORS & DIG HIM


枯葉はジャズの生まれたアメリカの曲ではなく、フランスのシャンソンです。世界的に有名な曲ですが、ジャズでも頻繁に取り上げられることが多い曲です。その傾向は日本では顕著で、非常にポピュラーなジャズの曲とされており、特に大学のジャズ研では、定番になっている曲と言えます。

かく言う私も、大学のジャズ研に入った時に、一番最初にFのブルースと枯葉を先輩から課題曲として与えられたという思い出があります。

この曲もマイルスの演奏が決定版と言われています。サイドメンだったジュリアン・キャノンボール・アダレイのセッションにゲスト参加したもので、そちらはもちろん素晴らしいですが、ここでは、あえて違うミュージシャンのCDをご紹介します。

発売当時はニ枚の違うアルバムに分けられていた演奏ですが、CDになって一枚に収められたものです。ここでは、一日違いの枯葉をニテイク聴くことが出来ます。この一日違いのメンバーも同じニつの演奏が、アレンジが全く違っている所がジャズの面白いところでもあります。二人のサックス奏者のアドリブも、ニ回とも同じではないあたりが、ジャズの粋と醍醐味と言えます。

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その4、マイナーブルース  
ジョン・コルトレーン 「ジャイアント・ステップス」より 「ミスターP.C.」

ジャイアント・ステップス

ジャイアント・ステップス

マイナーブルースも、セッションでは頻繁に演奏されるコード進行です。ここでは、絶頂期にあったコルトレーンの全力投球のCマイナーブルース(Cの調性のマイナーブルース進行)を聴く事が出来ます。

題名の「ミスターP.C.」のP.C.とは、メンバーのベース奏者ポール・チェンバースの事です。コルトレーンにとってはポール・チェンバースはマイルスのバンドで一緒にプレイした仲間。彼への親しみとリスペクトを感じる名演です。

ご紹介したこの譜面集には、その他にも三拍子あり(SOMEDAY MY PRINCE WILL COME、いつか王子様が)ボサノヴァあり(THE GIRL FROM IPANEMA、イパネマの娘)、これを勉強すれば一通りのジャズを演奏できる事になるので、頑張って練習しましょう!

次のページでは、弾き語りのススメをお送りします!

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