「こんな風に楽器を演奏してみたい」

ジャズアルトサックスへの道!

ジャズアルトサックスへの道!

ジャズ(JAZZ)を聴いていると、誰もが一度はそう思った事があるはずです。でもすぐに、「無理無理、やったことないし、忙しくて時間も取れない」とあきらめていませんか。もちろん一流のプレイヤーになるには、才能とそこに至るまでに費やした努力と時間があってこそ。それが分かるから、余計に二の足を踏んでしまうものかもしれません。

ジャズを楽しむには「聴く」か「プレイする」かの二つです。ここはひとつ思い切って、ジャズ楽器を始めてみませんか。もちろん、いきなりジャズジャイアントを目指せとは言いません。入口を覗いてみるだけでも世界は広がります。大丈夫、誰もが小学校では、音楽の時間に歌を歌い楽器を演奏していたはず。その頃を思い出して、楽しめれば最高ですね。

今回は、ジャズの華「アルトサックス」です。もしあなたが、今まで楽器に全く縁がないところから始めるのならば、おススメする楽器がサックスです。なぜならば、サックスはジャズでは花形の楽器で、見た目もカッコイイし様になります。そして、何よりも初めての方に優しい楽器だからです。

サックスは、複雑なルックスの割には簡単に音が出ます。多くの方が、買ったその日に音を出す事が出来る楽器です。そして、運指(音階を押さえる指使い)が、比較的簡単です。誰もが、小学校の音楽の授業でやった「ソプラノリコーダー」通称たて笛とほとんど同じと言えば分かりやすいでしょうか。メロディが吹けて、とても入りやすいサックスをこの機会にぜひ始めてみてはいかがですか。

今回は何かと忙しいあなたでも始められる、楽器の選び方から、練習場所、曲の選び方、譜面までご紹介いたします。

<目次>  

ジャズアルトサックス入門1. 楽器選び

サックスを始めるのに、もしかしたら一番楽しいのが楽器選びかも知れません。管楽器専門店ならば、スタジオを持っていることが多いので、試奏できます。色々なメーカーの物を何本も並べて吹いていくのは、楽しいものです。

でも、最初はあまり自分の感覚は当てにならないと思った方が良いでしょう。良い楽器か悪い楽器かは、ある程度吹けるようになってから分かってくるもの。そこで、最初に買うものとしておススメするのがこちら!
 
YAMAHA スタンダードアルトサックス YAS-280

YAMAHA スタンダードアルトサックス YAS-280

ヤマハ YAS280
付属品:ケース(ASC-200EII)、マウスピース(AS-4C:リガチャー&キャップ付き)、ストラップ

もちろんセルマーなど、名器と言われるものが一番なのは当たり前ですが、お値段はそれなりに覚悟が要ります。もし、あなたが本気でサックスを始めようとお考えの場合は、最初から迷わずセルマーを買う事をお勧めします。

でも、まだそこまではとお考えでしたら、やはりこのヤマハが良いでしょう。また、これより安いものも色々なメーカーから出ていますが、そちらはあまりお勧めしません。その理由はこの後ご説明します。

この楽器をおススメする理由は3つあります。一つに、非常にバランスが良く、鳴りやすいという事が挙げられます。私も、ヤマハのアルトは一時期手にしていた事がありますが、とにかく明るめの音で上から下まで最初からカラッと鳴ってくれます。

二つ目は、もしあなたがサックスを続けて行きたいと考えるようになった場合に、必ずもっと良い楽器が欲しくなってきます。それは、1年後かも知れませんし、半年、3カ月、もしくは1週間後かも知れません。その時に、買い換えの下取りに出す場合に、この辺の価格帯の物でも比較的値段が崩れないと言う点です。

三つ目は、有名アルトサックス奏者フィル・ウッズが長年使っていた楽器からヤマハ(上級モデル)に変えたと言うエピソードがあるからです。

フィル・ウッズはいわゆるチャーリー・パーカー派と言われるアルトサックス奏者の中にあって、パーカーの存命中から親交があり、ある日ひどいバリトンを吹いていたパーカーを見て、走って自分の家に帰り持ってきた自分のアルトをパーカーに貸したという逸話や、未亡人になったパーカー夫人のチャンと再婚をしたという伝説的なモダン・ジャズのアルト奏者。そして80歳を超えても現役でプレイした第一人者です。(フィルは2015年9月29日に惜しまれながら亡くなりました)

その彼が長年に渡ってジャズ界を一緒に渡り歩き、彼の声とも言うべき存在だったサックスをヤマハに変えたというだけでも、あなたの最初の楽器にするのにふさわしいメーカーだと思いませんか。

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フィル・ウッズ「スリル・イズ・ゴーン」より「イット・ネバー・エンタード・マイ・マインド」

スリル・イズ・ゴーン

スリル・イズ・ゴーン


 
この 「イット・ネバー・エンタード・マイ・マインド」は、マイルス・デイヴィスの名演とはまた違った男っぽいムードの演奏です。この当時71歳のフィルのサックスは、とてもその年齢を感じさせないほど若々しく音が太く、艶やかでしかも凝縮しています。

いよいよ楽器を手にしたあなたが練習を始める、練習場所については次のページでご紹介します!

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ジャズアルトサックス入門2. 練習場所

さあ、楽器を手にしたらいよいよ練習ですね。でもこの練習が、忙しいあなたには結構問題です。いつどこでやったら良いの? と考え込んでしまってはいませんか。

初めのうちは公園など外での練習はおススメしません。周りが気になり集中できませんし、その周りに心ならずも迷惑を掛けてしまうことにも。私も、楽器を始めたばかりの頃に、公園での練習にガールフレンドを連れていったら、すぐにどこかに居なくなってしまい、次回連絡を取るのに相当苦労したという笑えない経験があります。

そこで、おススメする練習場所は、音楽用の貸しスタジオです。ためしにWEBで「東京 音楽 貸しスタジオ」と検索すれば、東京にお住まいの方は容易に沢山探せます。

また、大阪、福岡、仙台など東京の部分をご自分のお住まいの地区にすれば、東京以外の方もOKです。始めから音楽スタジオはちょっと、と思うかもしれませんが臆せず申し込みましょう。

気になる料金は、通常で申し込めば大体1時間2千円から3千円くらいです。やや費用がかかりますが、ご安心ください。多くの音楽スタジオが、前日の夜か、ぎりぎりに申し込めば半額くらいで借りられるようになっています。

特に個人練習の場合は、それ以下で使用できる場合が多くあります。運が良ければピアノやドラムなどが置いてある大きめの部屋で、値段を気にせず思い切って音を出す事が出来ます。ちょっと一休みの時には、ピアノにさわったりスティックなどを持って行けば、ドラムも叩いてみたりできます。

その上、貸し音楽スタジオは遅い時間までやっている事が多いので、忙しいあなたにピッタリ。空いていれば平日会社帰りや深夜でも、時間を気にせず練習できるのが良いですね。

また、もしあなたの家の近くに貸スタジオが無い場合は、カラオケボックスも練習できる場合があります。もちろんお店に相談してからですが、OKの場合は、好きな飲み物でも飲みながら、練習ができます。
 

「ジャズ・スタジオ2~ハリウッドから~」より「ローラ」

ジャズ・スタジオ2

ジャズ・スタジオ2

 
映画の都「ハリウッド」で、映画音楽などのスタジオミュージシャンとしての仕事が多かったメンバーによるジャズのセッションです。

普段は、奥方でピアノのロレイン・ゲラーとの共演が多いアルトサックス奏者ハーブ・ゲラーですが、ここでは、羽を伸ばしたのか、普段にはあまり感じられない艶っぽい音色でスタンダードの「ローラ」を奏でています。この滴る様な甘い音色にロレインが魅かれたのかもしれませんね。

次のページでは、いよいよテーマを奏でる曲選びについてです!

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ジャズアルトサックス入門3. 曲選び

曲選びも大いに悩むところですね。でもそれも楽しい悩み。あれも吹きたい、これも吹きたいと考えるだけでもワクワクするものです。

いきなりアドリブばりばりは無理なので、テーマが覚えやすく、比較的簡単で、しかもこれが重要ですがジャズっぽくカッコイイものを選びたいものです。そこで、おススメするのがこの曲!
 

マル・ウォルドロン「レフト・アローン」 ジャッキー・マクリーン

レフト・アローン +6

レフト・アローン +6

 
この曲は「キャバレー」というサックス奏者が主人公の小説でも取り上げられ、角川映画にもなったのでご存知の方もいるかもしれません。一頃テレビでも相当流れていた有名曲です。

有名歌手ビリー・ホリデイに捧げられた曲で、悲しげなテーマが特徴。ここでは、甘酸っぱい音色のジャッキー・マクリーンがほとんどテーマを崩す事無く吹ききっています。

この曲の良いところは、たとえ伴奏がなくてもサックス一人がテーマを吹くだけで、様になるというところです。最初に覚えて、披露するには格好の曲と言えます。これを目指して、頑張って練習してみましょう。
 
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ジャズアルトサックス入門4. 譜面

いよいよ練習するのに肝心の譜面はこちらをおススメします!
 
トップアーティスト達の ジャズアルトサックス アドリブ名演集

トップアーティスト達の ジャズアルトサックス アドリブ名演集


曲を選んだら、すぐにでもテーマを吹きたいところですね。でもこのテーマが結構難しい。ジャズの場合は、テーマ部分ですでにアドリブのようになっていたりするものも多く、どういう風に真似したら良いか迷うところですね。

もし、あなたがおススメの曲「レフト・アローン」から始めようと思った場合は、ジャッキー・マクリーンそっくりとはいかないまでも、曲として分かるようになるまで、頑張って練習してみましょう。出来ればメトロノームやCDに合わせて楽しんで下さい。

そして、ある程度納得が行くようになったら、次には少し背伸びして、違う名演に挑戦するのも「ジャズをプレイする」楽しみです。ご紹介した同じ譜面集に沢山その他のジャズの名演が載っています。そちらを順番に練習して行きましょう。

この譜面のシリーズは、何回も題名を変えて増刷されていますので、これが手に入りにくい場合は、出版社のドレミ楽譜出版社でWEB検索してみてください。同じ内容の譜面が思わぬ安価で手に入ることもあります。

さあ、「レフト・アローン」の次には、ぜひこれに挑戦してみてください。

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アートペッパー 「ミーツ・ザ・リズムセクション」よりユー・ドゥ・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ

アート・ペッパー・ミーツ・ザ・リズム・セクション+1

アート・ペッパー・ミーツ・ザ・リズム・セクション+1


アート・ペッパーはジャズのモダン期のアルトサックス奏者の中で、おそらく唯一人「チャーリー・パーカーは嫌いだ」と公言しているサックス奏者です。

自伝の中で、「チャーリー・パーカーは音がきたないから嫌い。ソニー・スティットはすごい」とか「スタン・ゲッツの音楽に感心した事は一度もない。ズート・シムズが素晴らしい」など大胆な発言をしていて驚かされます。

そのペッパーが、マイルス・デイヴィスのサイドメン達との録音で、緊張で最初からビビっていたと告白した録音です。そのビビりを良い意味での緊張感に変え、ペッパーはメロディアスでかつ大胆なすごい演奏をしています。

晩年は入れ墨など入れて強面のペッパーですが、若い頃は超ハンサムで、恋愛関係も相当に派手だったご様子。でも実は、とてもシャイな人なのかもしれませんね。

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最後に、サックス上達のコツを一つお教えします

最近ではスマートフォンの普及により、それ1台で音楽が再生や録音もできるようになっています。今回お教えするサックス上達のコツは、この録音するという事です。

サックスは口でくわえて、息を吹き込んで、リードを鳴らして音にしています。自分の鳴っている音は、口から伝わる振動も一緒に聴いてしまっているために、想像と微妙に違うのが特徴です。

自分の音を録音して聴いてみれば、思っているよりも、ぶっきらぼうなのに驚くはずです。録音した音が、曲として聴くことが出来るか? そこが上達へのコツです。

最近では、サックス教室なども増えてきています。もし、時間が取れるようでしたら、そちらに通われるのも良いかもしれません。趣味の仲間が増えるのは、あなたの生活の幅を広げてくれるでしょう。

サックスのプロとしての現役を離れてから20年は経ちましたが、今も私は、週に1回くらいはサックスを練習しています。趣味としてこれほどサイコーなものはありません。もし、音楽スタジオで私を見かけたら声をかけてくださいね。その時は、熱くサックスを語りましょう。

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