第一位 超有名テナーサックス奏者、スタン・ゲッツ 「ザ・ドルフィン」より
「タイム・フォー・ラブ」

ザ・ドルフィン

ザ・ドルフィン

いよいよこの「恋愛シーンにピッタリな定番ジャズ・JAZZベスト7」も第一位の登場です。

曲は「いそしぎ」などのヒット曲を多く書いている作曲家ジョニー・マンデルの「タイム・フォー・ラブ」。このCDでは、二曲目に入っているバラードです。演奏するのは、超有名テナーサックス奏者、スタン・ゲッツ

前奏も無く、曲はゲッツのテナーサックスから始まります。ピアノが絡む最初のフレーズから、周りの世界は二人だけのものに変わります。

ここでのゲッツのテナーサックスは、得意のビブラート(音を伸ばす時にふるえる様に音程を上下させる方法)を駆使して、魅力的なテーマをさらにしっとりと歌い上げて行きます。

それにしてもスタン・ゲッツほど恋愛シーンにピッタリのジャズミュージシャンはいません。6歳からニューヨークのブロンクスで育ち、16歳から有名トロンボーン奏者ジャック・ティーガーデン楽団でプロ活動に入りました。都会っ子で早熟な白せきの美少年、ゲッツ。それに、「リリカル」と表現されたあのやさしい音色です。当時の仲間の証言にもあるように、さぞかし女性にもてた事でしょう。

そんな、粋なゲッツだからこそ、洗練された大人の恋を表現できると言えます。恋愛シーンでは真面目なだけではすぐに飽きられてしまいます。ハラハラさせるくらい、もしくはちょっと悪いのではと思わせるくらいの余裕が、むしろ人間的な幅となり恋愛をさらに情熱的なものに変えるのです。

そういった意味ではゲッツのテナーはまさにプレイボーイのテナー。ゴリ押し一辺倒ではなく、引く事や駆け引きにもたけた大人のテナーです。しかも、普段は高い音域を使って、男の優しさをさらっと見せる事にもためらいません。そして、場面によっては躊躇なく突き放すクールなところにさらに魅力を感じてしまうのです。

テーマの部分の1:40のところでは、高いところからテナーサックスの一番低い音まで流れる様に、しかも力強く鳴らして見せます。ここがプレイボーイテナー、ゲッツの真髄。すぐに、高い音でやさしく撫でるようにテーマに戻るのが心憎いばかりです。

曲を切々と吹き終え、そのゲッツの後には、ピアノのルー・レヴィのソロが続きます。このピアノソロも素晴らしいですが、ゲッツはというと、観客の拍手を背に浴びながら、おそらくはグランドピアノの中からウイスキーグラスを取り出しグッと一気にあおり、後ろを向いたままでタバコに火をつけたのではないでしょうか。そんな冷たい姿にも、観客の目は釘づけだったはずです。

恋愛シーンでは、たとえ周りの人すべてを敵に回しても、目の前の相手の心に火をつける事が出来ればOKです。今回ご紹介したCDが、少しでもあなたの恋愛のお手伝いが出来る事を祈っています。

さあ、それでは私も恋を探しに出かけてきますね。また次回お会いしましょう。

Amazon



※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。