素敵な香味のシングルグレーン
WHISKY SHOP W.オリジナル シングルグレーンウイスキー
ただし、大阪にあるウイスキー専門店「WHISKY SHOP W.」のみで取り扱われる数量限定製品である。
その名も「WHISKY SHOP W. オリジナル シングルグレーンウイスキー」。
1,500本限定、アルコール度数48%、300ml、¥3,150。
驚くほど素敵な香味のシングルグレーンである。
トップノート(最初の香り立ち)はモルトウイスキーほどの強い個性はないもの、極めて優しくしなやかな甘い蜜のような感覚がある。グレーンウイスキーであることを知らされないでテイスティングしたならば、香りにしっかりとした熟成感が感じられ、上質なブレンデッドだと勘違いしてもおかしくないだろう。
口当たりはとてもなめらか。ところが軽快さの中に、複雑味というか重層感があり、原料由来のとうもろこしのふくよかな甘みだけでなく、蜂蜜のようなトロリとした甘さも感じられるのだ。その甘い余韻が心地よく、そして長い。
ウイスキー新世界の予感
知多蒸溜所ではタイプの異なるグレーンウイスキーをつくり分けているが、よく大まかに述べられるクリーン、ミディアム、ヘビーといったタイプのものを厳選してつくりあげたとしても、こういう香味が生まれるだろうかと不思議でしょうがなかった。長期熟成ものが使われているということはわかるが、最初にストレートで味わってみて、後味にほのかなチョコレートなような感覚に加え、わずかに独特の苦味を捉えたからだった。先日、製品開発者であるサントリーの福與伸二チーフブレンダーとお話する機会があり、質問をぶつけてみたら、なんとも楽しい気持ちになる答えが返ってきた。
「なめらかで、飲みやすいクリーンタイプが主体ですが、アメリカンオーク樽での長期熟成グレーンとシェリー樽での長期熟成グレーンを少量使って、あの香味を生み出しました」
アメリカンオーク、つまりホワイトオークでの長期熟成グレーンは理解できる。響17年、21年、30年といったプレミアムブレンデッドが存在している訳だから理解できる。嬉しかったのはスパニッシュオークのシェリー樽熟成のほうだ。あのほかなチョコレートのような苦味はシェリー樽熟成由来のものだったに違いない。
そんなことよりも、グレーンウイスキーをシェリー樽で寝かせるという試みがあった、ということが嬉しい。こういう挑戦的な試みによって、また新しい香味の世界が生まれてくるかもしれない。ブレンデッドウイスキーの世界がさらに深遠になるかもしれない。またシングルモルトだけでなく、シングルグレーンを味わうという新たな愉しみが広がっていくかもしれない。
ウイスキーはまだまだ革新をつづける。このシングルグレーンにはそんな期待感がある。
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