部下を動かす方法! 行動しないのは本当に「やる気」の問題なのか
すぐに動けないには理由がある
- 口ばかりで実際には行動しない
- 返事はいいが行動が伴わない
- いつも納期に間に合わない
- いつまでも経っても行動を起こさない
そんなときには思わず「やる気はあるのか!」と言いたくなるかもしれませんが、実はここに重要なヒントがあります。
ここで立場を変えて、自分自身についても考えてみましょう。私たちは日々さまざまな行動を求められています。
例えば、
- 日々の業務
- 上司や顧客から依頼された新たな仕事
- スキルアップのための勉強
- 自分から提案や宣言した新しい取り組み
そんな中、「実際に行動するとき」と「行動しないとき」、もしくは「すぐに行動するとき」と「なかなか行動しないとき」があるはずです。行動が起きるか起きないか、それを分けているのは本当に「やる気」の問題だけでしょうか?
私の答えはNOです。
もちろん「やる気」も1つの要因ではありますが、実際に行動するかしないかを左右する理由は他にもあるのです。今回はそうした「理由」に迫ってみましょう。
ヴィジュアライズさせる
最も大きな理由の1つは、ヴィジュアライズできているかどうかです。例えば、「何とか時間を捻出して英語を勉強しよう」と思い立ったとします。このとき、
- では実際にどんな時間帯にどこでするのか
- 一人でするのか、誰か仲間を作ってするのか
- どんな教材やツールを使うのか
- 勉強が続いたら自分はどんな風に変化するのか
そこで、部下が何かをすると宣言したり、仕事を任せたとき、相手の「やります!」という言葉を聞いて安心するのではなく、もう少し会話を続けてみて下さい。
例えば、
「具体的にはどんな風にはじめる?」
「どんな風に時間を確保できる?」
「うまくいかせるためにどんな工夫ができる?」
「例えば、誰の協力があるとうまくいく?」
「どんなことが最も障害になるか?」
など聞いてみることです。
このとき注意することは、「チェックではない」ということです。
興味を持って、その人が実際に動いているイメージを共有する感覚で会話を進めてみてください。
意味を付加する
十分に情報を共有する
もしここで
- その会議が会社にとってどんなインパクトがあるのか
- そこで使われる資料にどのようなことが期待されるのか
- なぜそれをその人に依頼するのか
人は意味を求める存在です。ですから、行動の「意味」を付加したり、明らかにすることで行動が起こる可能性が高まります。
部下の業務について、
- 今行っている業務や役割がその人の将来やキャリアにどのように役に立てられるか
- その目標を達成することで何を手にすることができるか
- その業務が誰にどんなインパクトを与えることができるか
こうした関わりは、特に、意に沿わない異動にあったり、なかなか希望の仕事につけない部下や、地道な業務より華々しいプロジェクトなどをしたいと思っている新人などを目の前の業務や行動に集中させたり、モチベートさせたいときにも有効です。
俯瞰し、リスクマネジメントさせる
そのことに対してのイメージややる気、意味づけが十分でも、他の業務との兼ね合いからできないこともあります。そのことが懸念される場合には、テーマとなっていることだけでなく、仕事全体のバランスや優先順位、おかれている状況などについても俯瞰し、そのなかで実現するにはどのような取り組みが必要かを考えさせる、または話し合うことが必要です。
また、やる気満々で「よーしやるぞ!」と取りかかったはいいがいざ始めてみると
- 関係者の協力が得られない
- 思いもよらなかった障害が出てくる
- 思いの外時間がかかる
- 思っていたようには進まない
- もっと重要なこと、緊急なことが出てきて優先順位が下がる
そうした事態をなるべく回避するためにも、事前に考えられる障害やリスクを考え、備えさせる関わりも有効でしょう。
マイルストーンをつくる
マイルストーンで目標を区分けする
「途中でこのことについてもう一度話そう。1週間後に報告の場をつくるのはどうか」
「もし何か困ったことが出てきたらいつでも声をかけて。」(と言いつつ、実際には上司からの声がけも必要)
というようにマイルストーンとなる場や節目をつくりながら、刻々と変わる状況に対応し、行動を後押しし続ける根気も上司には求められます。
言い訳からもヒントを拾え!
「すみません、他の仕事が忙しくて…」「なかなか手がつけられなくて」
部下の言い訳は聞いていて気分のいいものではないかもしれません。しかし、この言い訳は行動を阻害する要因のヒントの宝庫です。
「言い訳はいい!」
「とにかく行動しろ!」
と思う(言う!)前に、少し部下の背景に興味を持って会話を続けてみて下さい。
「どうした? 何が問題(障害)だった?」
「どうすれば(何があれば)進められそう?」
「実行するために必要なサポートはある?」
このような会話を通して学習や成長を促す関わりをすることで、部下の行動パターンや仕事のくせを上司であるあなたも、そして本人も知ることができ、部下の「次の行動」を後押しすることができます。結果として部下の自走する能力を高めることもできるのです。
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