「立場が上のほうが偉い」は反発を生む

コーチング,年上部下

年上部下の能力を発揮させるには、管理型よりコーチ型が有益

年功序列制度が崩れ、成果主義が組織に導入されてきたいま、「年上の部下」を持ったり、「年下の上司」がついたりして、どう接したらいいかわからないという声が聞こえることがあります。また、ITなどの技術系の領域では、必ずしも先輩が持っている技術や知識のほうが優れているとはいえません。若手が持つ知識や技術の方が高いこともあるので、ますますやりにくくなります。

そのような状況で、自分より年上の部下を活かす能力が求められることもあるでしょう。しかし、成果主義の欧米と違って、日本ではまだ年功序列制度が根強く、「立場が上のほうが偉い。年が下であっても上司の指示には従うべき」という取り組みは反発を生みます。年が若い上司に対し、年上部下が抵抗なく仕事をするのも、なかなか難しいものです。

指示命令による管理型より、相手の自発性に働きかけるコーチ型のマネジメントは、年上部下を持つマネージャーにとって有効なアプローチです。ここで、年上部下に活用できるコーチ的マネジメントを見ていきましょう。

最初に「居場所」を作る

最初に、年上部下のマネジメントに失敗したという例をご紹介しましょう。

その年上部下は、ある管理業務に長い間携わっており、経験的にも精通していました。しかし、新たに任命された年下上司は、今までとは違った新しい取り組みを導入し、その方法で進めるように指示しました。最初のうちは言われたとおりに修正していた部下も、少しするとまた元の取り組みに戻っていました。

理由は、新しい取り組み方を指導されることによって、年上部下が今までの自分の取り組みが否定されたと思ったのです。年下上司も遠慮して繰り返し注意することを怠っているうちに、部下はますます今までのやり方に固執していきました。次第に双方のコミュニケーションがとりづらい関係へと発展。部下は孤立し、上司は目標を達成できないという悪いサイクルにはいっていったのです。

このようなケースは年上部下に限らないことですが、特に年上部下との関係性で大事なのは、「自分は尊重されている」「ここに居場所がある」という実感。この場合は、今までのやり方が否定されたわけですから、自分自身のアイデンティティも否定されたような気持ちになったも同然です。

安心感があれば人の話や意見にも耳を傾けます。しかし、その基盤がなければ自分の立場が危うくなるわけですから、保身のために頑固になります。ですから、日々、「そこにいても大丈夫」というメッセージを伝えることが重要な取り組みとなります。

「ちょっと教えていただけますか」
「ぜひ○○さんの経験を聞かせて欲しいのですけど」
「この新しい取り組みについて、○○さんのお知恵を借りたいんですけれども」

など、その人が必要とされている、という実感を作ることも、コーチ型マネージャーの大事な取り組みです。それでは、居場所を作る方法について、他にどんなものがあるかを見ていきましょう。