コーチング/コーチング基本知識

コーチングの基本を知ろう! 4 相手を映し出す「鏡」になろう

「コーチングの基本を知ろう!」シリーズの4回目は「鏡になる」をキーワードに、コーチとしての基本のあり方・スキルを紹介します。あなたが「鏡」になって相手を映し出すだけで、相手は勝手に気づき始めます。

宇都出 雅巳

執筆者:宇都出 雅巳

コーチング・マネジメントガイド


《CONTENTS》●自分の本当の姿を知れば、人は変わり始める(1P目)●姿勢、動作をただ真似るのではなく……(1P目)●相手の言葉も鏡に映していく(2P目)●なんとなく感じたことを返すだけで……(2P目)

自分の本当の姿を知れば、人は変わり始める

鏡で自分の姿を見ると……
「ダイエットしようと思うなら、まず全身が映る鏡を買いなさい」

「そろそろダイエットしなきゃ」と思って、いろいろなダイエット法を調べて試しても、なかなか長続きしないものです。実はダイエット法に走る前にまず必要なのは、「全身が映る鏡を買うこと」。つまり、自分としっかり向き合って、現状を把握することです。

「太った」とわかっているつもりでも、ちゃんと鏡を見ていないと、本当にはわかっていないものです。自分の現状をまざまざと見せつけられることで、ダイエットしようという気持ちも本気になります。ダイエット中も、自分の姿の変化を知ることで、さらにやる気がでてきます。自分の姿をしっかり鏡に映して見るだけで、無意識のうえでダイエットをしはじめ、やせていくこともあるぐらいです。

このことは、「お金を貯める」ことでも同じです。基本は「お金を貯めたいのなら、まずは毎日のお金の出入りを記録する」こと。きちんとお金の出入りを記録するだけで、無駄なお金の使い方が減ってきます。そして、コーチングでも同じです。

「コーチとはクライアントの鏡になること」
それでは、具体的にはどうすれば「鏡」になれるのでしょう?

姿勢、動作をただ真似るのではなく……

「鏡になる」ときいて、「ああ、“ミラーリング”のことかな?」と思われた読者がいるかもしれません。“ミラーリング”とは、相手の姿勢や動作を真似ることで相手の潜在意識レベルに働きかけ、相手と同調する状態を作り出す技法です。

例えば、相手が鼻に手をやったら、自分も同じように鼻に手をやる。相手が手を上下に動かしたら、自分も手、もしくは指を上下に動かす。まさしく、相手の姿が鏡に映ったかのように、相手の動作や姿勢を真似るのです。コーチング本でも、最初に相手との関係を築く技法としてよく紹介されています。

しかし、これは「鏡になる」目的とズレています。「鏡になる」目的は相手に自分自身の状態を知らせることですが、“ミラーリング”は相手に気づかれないように密かに行うからです。私自身は“ミラーリング”をコーチングで使うことをお勧めしていません。なぜなら、これはコーチがクライアントを操作することにつながり、相手の抵抗を生んだり、信頼関係を壊す可能性があるからです。相手の話を理解しようという気持ちから、結果として自然と相手と同じ動作を取るのは全く問題ありませんが……。

「鏡になる」ためには、密かにやる必要はありません。堂々と相手の姿勢や動作を真似てみてください。そして、「姿勢が変わりましたね。背筋がビシッと伸びましたよ」とか、「こんなふうに手を動かしていますが、何かをつかもうとしているんでしょうか」などと、相手に伝えてみましょう。人は無意識に動作や姿勢を取っているものです。あなたに自分の姿を見せられ、伝えられることで、「確かにそうですね」「そうそう、そういう感じなんです」といったように、相手は伝え返すだけでいろいろと気づいていきます。

鏡に映し出すのは姿勢・動作だけではありません。 次ページへ>>
 
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