京都に新星フランス料理店「La Biographie…」誕生
「ラ ビオグラフィ…」の外観
京都の中心部と言っても、四条通から北へ、烏丸通から西へと離れるに従って観光客はまばらとなり、地元民が落ち着いて過ごせる京の街並みが残っていて、休日の散歩の度にホッとさせられるものです。南北に走る衣棚(ころものたな)通はそんな街並みですが、御池通と姉小路通に挟まれて、この9月初めにひっそりと出現したフレンチレストランがあります。その名は「La Biographie…」。
店名の「Biographie」とは「伝記」という意味を持ち、「ビオグラフィ」と読みます。
実はこの店、京都ブライトン・ホテルの「ヴィ・ザ・ヴィ(現在は閉店)」のシェフを長年務められていた滝本将博さんが独立して開店された店なのです。
シェフの想いが込められた店名です
四条通の方から衣棚通を上がっていくと、ともすれば気付かずに通り過ぎてしまいそうなベージュグレーのレンガの壁の元町家。派手な看板はなく、近づいてみるとその壁に、フランス語だけで控えめに「La Biographie…」と書かれているので、やっとここだとわかります。
緑のアクセントが気分を落ち着かせてくれます
間口は狭いが奥行きが長いのが京の町家の習い。この奥にどんなサプライズが待っているのか期待に胸膨らませてドアを開けると、ほの暗い店内にそこだけスポットライトで際立つ、ハスの葉が浮かぶ小さな水の庭が目に入ります。
メインダイニングの一角
小さな蓮に見とれながらその横から細い通路を抜けた先は、パッと視界が広がり、光が燦々と降り注ぐ坪庭をコの字型に取り囲むダイニングスペース。
現在はまだ使われていませんが、個室もあります
坪庭と言っても庭の半分を占めるのは水をたっぷりと湛えた、植物のためのプール。そして壁一面に掛かるのは京都の書家「甲斐玲子」さんの手になる書。水の庭と光と書とが相まって、町家とは思えぬ一味違う異次元空間が形作られており、どの席からも「水のある風景」が見えることに心が和むのです。
次ページでは、コース料理を御紹介します。