ウイスキー本来の味を知ろう
山崎12年水割と炙りトロサーモン
では、スコットランドでは飲まないのか、といえば、まったくとは言えない。古いイギリスの文献によれば、すでに1820年代のスコットランドで「ウイスキー&ウォーター」という言葉が使われていたようで、ということはそれ以前から飲まれていたということだ。
またスコットランドのバーやパブにはカウンター脇に水のサーバーを置いてあるところも多い。勝手に割ってちょうだい、ということである。
水割をわたしがすすめる理由のひとつに、アイリッシュやスコティッシュといったウイスキーの国の人々とわたしたちジャパニーズの肉体の違いがある。日本人は彼らほど強いアルコールへの耐性がない。とくにウイスキーの味わいに慣れないうちは、水割やソーダ割から入っていったほうが無難なのだ。
水割のよさは自分で濃さを調整できること。そしてどんどん濃くしていけば、ウイスキーの持っている本来の味わいに近づいていく。ロックで味わい、最終的にはストレートにたどり着く。
料理とのマリアージュに最高
ザ・マッカラン12年水割とベーコンステーキ(料理撮影/川田雅宏)
まずおすすめは柔らかいブレンデッドウイスキーからはじめてみるといい。シングルモルトじゃ駄目か、という人もいるだろう。もちろんシングルモルトも水で割っていい。駄目なんてことはない。とくに料理とともにウイスキーを味わうとき、ストレートでグビグビとは飲めないでしょう。チビリチビリに清酒を飲むような感覚になる。するとね、料理と合う、合わないが明確に表れる。ところが水割にすると、個性が強過ぎるシングルモルトでもなかなかにいけるのだ。
ウイスキーを飲みたいのだが、なんだか強いし、ハイボールばかりじゃつまんないし、という人によく出会う。そういう人にわたしは水割をすすめている。邪道でもなんでもない。
水割から少しずつウイスキーの味わいに慣れ親しめばいい。やがてもっと濃くしたくなり、またいろんな銘柄、味わいの違いを知りたくなる。ついにはストレート。さらにはシングルモルトの香りの世界へ導かれていく。
冷えたミネラルウォーターがあるならば、氷なしでもいい。またウイスキーも水も常温で氷なし、という人もいる。ひと口に水割といっても、これじゃなきゃいけない、というものはない。
かつて書いた『ウイスキーの飲み方[入門篇]』の記事を一読いただいて、自分のスタイルを見つけていただきたい。
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