アンクルトリスが帰ってきた
トリス<エクストラ> |
<エクストラ>は700ml、40%、¥1,080。鏡板(両端の円盤部分)に杉材を使った樽で熟成させた稀少モルト原酒でドレスアップした、ハイボール用につくられた一瓶だ。ロックで飲めば杉材独特のスパイシーさが感じられるが、ソーダで割ると爽快な切れ味を愉しめる。
トリスハイボール缶は350ml、7%、¥160。レモン浸漬酒とレモン果汁を加えたゴクゴクいける飲み心地の良さがある。
発売前からトリスのハイボール酒場が登場して、すでにご存知の方、また飲まれた方もいらっしゃるかとは思う。またトリスの新CMもはじまりご覧になった方も多かろう。CMは女優の吉高由里子さんとアンクルトリス、そしてトリハイ(トリスハイボール)が絡む、明るくハイな作品だ。
トリハイの酒場で明るく飲もう
トリスハイボール缶 |
虚脱感に満ちた暗い世相、闇市では粗悪な酒がはびこっていた。そこにグレーンウイスキーの比率を高くし、市民にも手の届く価格の大衆酒トリスが発売される。白札(ホワイト)はお金が入った日に、角瓶は特別な日に飲む贅沢品だった。
1950年のトリスバー1号店(東京・池袋)からはじまったトリスバーの興隆は、世の中に光を放つ。進駐軍のラジオ放送から流れるテネシー・ワルツを聴きながら飲むトリハイが人々の心を潤し、明日への希望を抱かせ、やがては角瓶を飲めるようにと活力を与えた。同じ'50年に発売されたオールドは手の届かない存在だった。
トリスバー興隆期、1958年に登場したのがアンクルトリス。わたしと同い年である。この年は東京タワーが竣工、チキンラーメンが開発され、他のキャラクターではヤン坊マー坊が誕生している。
長島茂雄がデビュー、平成天皇ご夫妻が婚約発表、1万円札発行。国鉄ではブルートレイン、こだまが走りはじめた。クルマではスバル360、バイクはホンダスーパーカブ。テレビでは月光仮面。高度経済成長へ向けて急激に加速しはじめた年といえる。
この平成の世で元気があるのは、インスタント食品とバイクぐらいか。50年という年月は東京タワーからスカイツリーへと主役を移し、ブルートレインに終焉を迎えさせた。政治は混沌、検察は証拠隠滅疑惑。日本はどこへ行く。
そこへアンクルトリスの再登場。トリハイの酒場で皆が元気になり、また新しい日本へと生まれ変われたらいい。
とにかくトリハイを飲もう。きっと愉しいことが待っている。
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