建物分離度別にみる、現状と希望の差は?
■建物分離度の現状と希望 |
資料提供:二世帯住宅研究所 |
ヨコ軸が現状、タテ軸に希望を配していますので、交点が『現状と希望が一致している率』となります。したがって、この数字が高いものは、現状の建物分離度に満足していることが多い、ということが言えます。では、建物分離度別の傾向について見ていきましょう。
まず、独立二世帯を見てみると、全般に現状と希望はよく一致しています。現状と希望のずれの中では、外部行来型の中に、内部行来型への希望者が約3割いるのが目立ちます。これは世帯間の協力・夜間の行き来など、実生活での利便性を求める層でしょう。
次に、共用二世帯。全体的に、現状と希望の一致が少なく、独立二世帯の希望者の方が多くなっています。特に浴室共用は、現状のままを希望する人は30%を切っています。敷地や予算の制約で、共用を考えることも多いと思いますが、夕食独立スタイルの住まい方の場合は計画段階で慎重に検討する必要があると言えるでしょう。
融合二世帯・単世帯の場合、現状と希望のずれは大きくありません。夕食融合スタイルの場合、生活の一部は一体化しているのですから独立二世帯のような建物分離度は不要なのです。各世帯で自立して行いたい「分けるべきもの」は何か、サブキッチンや洗濯機のあり方を考えてみる。これが住んでみて後悔しないプランニングに結びつくことでしょう。
プランニングの過程でいろいろと検討してみても、生活してみないとわからないこともあるかも知れません。2つあるものの片方をメインに使うことは簡単ですが、1つしかないものを共用するのは思わぬストレスになることがあります。以上のように、現状と希望を分析すると、計画段階より独立性が高い方が、満足度が高くなる傾向があるのはそのためでしょう。予算やスペースの制約はありますが、迷ったら分ける、というのが鉄則です。
二世帯住宅を計画する際は、両世帯それぞれが、どのような生活スタイルを希望しているのか、じっくり話し合い、しっかり見極めることが重要です。しかし、初めての二世帯同居であれば、何から話せば良いのか戸惑うこともあるでしょう。そこでまずは、お互い希望の「夕食スタイル」を話し合ってみてください。きっと、お互いの同居イメージが明確になり、理想の二世帯住宅が見えてくると思います。
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