二世帯住宅実例として、敷地も空間もとことん有効利用した二世帯住宅をご紹介します。敷地の使い方・建物の形状・庭や玄関アプローチの配置など、計算しつくされた完成度の高い設計となっています。今回は、設計を担当した、渋谷デザインオフィス・荒川さんに、設計のプロセスから、完成したプランニングの見所まで、解説してもらいました。ではご一読下さい。
 

基本方針は「空間を余白なくフル活用」

この実例は、子世帯からの要望で二世帯住宅を計画した娘夫婦同居です。家族構成は、リタイアされた親世帯ご夫婦と、ご夫婦+高校生のお子様3人家族の子世帯で、完全独立二世帯住宅をご希望でした。

40坪程度の敷地に独立二世帯住宅を計画する場合、アプローチやカーポート等の外部空間を確保しながら各世帯のボリュームをいかに確保するかが第一の課題となります。さらに、建替え前の家にもあった中庭がとられています。そこで、二世帯の空間割りは、できるだけ空間を確保できる上下分割とし、さらに「敷地は余白なく使う」という大きな方針をたてて、計画を進めていくことにしました。

 

設計プロセスをスケッチで公開!

それでは、設計段階で描くスケッチをご覧頂きながら、設計のプロセスをお伝えします。まずは、敷地の状況・周辺環境などを考慮しつつ、建物の配置と形状(平面・立体両方)を検討していきます。以下が実際のラフスケッチです。
 
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スケッチ(1)
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スケッチ(1)では、敷地に対しどのように建物を配置するのがベストかを検討しています。居住スペースの広さを確保するためにも、敷地を余白なく使うことが求められますので、カーポート・アプローチ・中庭なども含め、建物の配置とボリュームを決めていきます。南東側、南西側の道路によって開けた空間から日照と眺望を得られるような総2階L型のボリュームを基本に、南西側に1階のみのボリュームを付加して中庭を、北東側は2階をキャンチレバーとして1階のボリュームを削り、カーポートのスペースを確保しています。
 
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スケッチ(2)
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スケッチ(2)では、各スペースの詳細を詰めています。1階は中庭を中心とし、水平の広がりを持たせます。2階は、縦の広がりとして吹き抜けや勾配天井を利用し、家全体に立体的な広がり感を出すよう、イメージしていきます。あわせて、外を歩く人との視線の調整や、光の取り入れ方などもチェックしていきます。
 
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スケッチ(3)
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スケッチ(3)は、二世帯のつながりを平面上で検討したり、外観のイメージをラフに計画している段階です。このご家族は、完全独立二世帯を希望されており、内部での行き来は不要とのことでしたが、将来的な親世帯の加齢に配慮して、玄関ポーチを通って軒下で行き来ができる案を検討しています。

このように、ラフスケッチで設計の方針を詰めていき、気になる点や要となる部分の設計を具体的な形にします。これらを踏まえ、最終的な平面図に落とし込んでいくのです。