遮音イメージ
二世帯には単世帯にはない遮音上の配慮が必要です。そこで今回は、上下階の遮音について取り上げてみましょう。
「親子両世帯を分ける知恵、つなぐ知恵」の2回目は、上下階の遮音について取り上げます。

二世帯住宅には単世帯住宅にはない遮音上の配慮が必要になります。世帯間のプライバシーを保つためには、話している内容やしている行為が伝わらないことが求められるからです。そこで二つの世帯のスペースを上下階に分けるのは、独立性を高めとても合理的です。では、詳しく説明していきましょう。


1.床の遮音性は壁より良い

二世帯の分け方
1つの建物を、上下で2つの世帯に分ける方が、各世帯の領域がはっきりし、肉体的にも心理的にも独立性を高く保てます。
独立性を保つために上下階で分けるのが合理的な理由として、各世帯の領域がはっきりすること、つまり「階段で二階に上がる」ことが、肉体的にも心理的にも同じ階の移動よりハードルが高いことがまず挙げられます。実際にヘーベルハウスの二世帯では独立二世帯や共用二世帯のほとんどが上下階で世帯を分ける構成になっています。

また、遮音という観点でも上下階で世帯を分けるのは、同じ階で分けるよりも有利です。一般論として遮音性は、「重く」、「丈夫」で、「中空部分が大きい」ほど優れていますが、多くの場合床は壁よりも重く、丈夫で厚いからです。壁の厚みは10cm余りのものがほとんどですが、上階床から下階天井まで戸建て住宅では30~50cmあるのが普通です。隣の部屋の話し声がある程度聞こえることはよくありますが、下の階の話し声はなかなか聞き取れるものではありません。


2.足音の遮音対策

床が壁に比べて唯一不利なのは足音の遮音対策が必要なことです。壁が叩かれることは普通ありませんが、人が歩く床は常に足から衝撃を受けています。従って二世帯住宅の床には多くの足音遮音対策が施されています。

基本的には二世帯住宅の床には、通常より重く、丈夫なものが使われています。木造の床であれば合板を厚くし、さらに鉛シートのような重いものを敷く例が多く見られます。へーベルハウスの床の材料であるALC(軽量気泡コンクリート)もよく使われています。

しかし、遮音のために重くするということは建物の構造体に負担を掛けます。床を支える柱が増えるのに加え、地震で揺れた時受ける力は重さに比例するため、その分余計に耐力壁が必要になります。従って単純に重くすることはできないので最小限の重さで最大限の効果を発揮できる構成が選ばれます。

そのため、多くの場合は足音の衝撃を吸収する工夫も併用されています。例えば現在のへーベルハウスの床構成では、床材の下に足音の衝撃を吸収するクッション層があり、躯体のへーベルや鉄骨に衝撃が伝わりにくくなっています。へーベル版はコンクリートと比べれば軽量ですが、木材と同程度の比重(0.6)で10cmの厚さがあり、モルタルの重量が付加されて、振動しにくくなっています。さらに、鉄骨に伝わった衝撃音が下階に伝わりにくくするために、天井との間に防振ゴムや吸音材が入っています。二世帯住宅一般の床構成は多様で性能も様々ですが、足音の衝撃を吸収した上で、可能な限り重く丈夫な床として振動しにくくし、振動したとしても下階天井に伝わらないような構成、という考え方は床の遮音に共通の条件といえるでしょう。
遮音床
上下階の生活音の遮断には、床の遮音性が必要。上の図は、二世帯住宅に適した「床構成」と「考え方」