マーケティング/マーケティング事例

ロンドン~ローマの航空運賃が2円って本当?(3ページ目)

ロンドン~ローマ間の運賃を2円で提供する航空会社があります。「本当に2円なのか?」と調べてみると、そこには巧妙な仕掛けが……。運賃2円でも十分な利益を上げるマーケティング戦略の秘密に迫ります!

安部 徹也

執筆者:安部 徹也

マーケティング戦略を学ぶガイド

ロンドン―ローマ航空運賃2円のカラクリとは?

ライアンエアー運賃2円のカラクリ
航空運賃2円のカラクリにはこまごまとした手数料の存在が!
本当に0.01ポンドで購入できるのか、実際に確かめてみました。航空チケットの予約画面で次に進むとそこに出てきた金額は0.01ポンドではなく、税金及び手数料17.80ポンドが加算された17.81ポンド。トップページにも小さく謳っていますが、当初の提示価格は片道で税金および手数料が除かれた額なのです。サイトでは、税金及び手数料は17.80ポンドは超えないとなっていますので、最大の手数料がかかるようです。

他にも調査を進めていくと、さらにクレジットカード手数料がかかることが判明。その額は1.75ポンド。ですから0.01ポンドの航空運賃だと思ったものが最終的には19.56ポンド(約3912円)になるカラクリがあるのです。

預ける荷物は制限されていて、機内持ち込みは10kgまで、預け荷物は15kgまでで、これを超える分には1kgにつき5.5ポンド支払わなければいけません。長期の海外旅行だとすればこの基準を大幅に超えることも考えられますので、さらに料金は高くなる可能性もあるということになります。

運賃2円でも損をしない航空会社特有の事情とは?

とは言え、海外路線が片道で4000円以下と言うのは相変わらずの破格な値段です。これで儲けが出るのかと心配になってしまいます。常識的に考えてこの水準では儲けが出るはずがないので、そこには何かカラクリがあるはずです。そのカラクリを解く1つの鍵は、ガイド記事「缶コーヒーが1本10円激安自動販売機のカラクリ」で紹介したイールド・マネジメントにあります。航空会社は座席を空席にして飛行機を飛ばしてしまえば全く売上が立ちません。ですから1円(実際には約4000円ですが)でも売上が立つのであれば、席を埋めて運行したいという事情があるのです。

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