会議中の沈黙や攻撃的な発言は自分を守るため
活発な会話がないと、会議は時間の無駄になる
しかし、なかには沈黙の中で時間がすぎてしまったり、一部の人の発言のみで終わってしまうケースも少なくありません。あなたの参加する会議で次のようなことはないでしょうか?
- 会議で配布された資料を追う報告会になっている
- すでに知っていることについて再認識、再確認する場になっている
- 会議の主催者(多くの場合上司)だけが話しており、他の人は同意するだけである
- 意見を述べてもつぶされて、ほかに何も言えなくなっている
- 会議の目的が不明確で、どんな発言が求められているのかがわからない
意見を交わし議論することは、人それぞれの価値観、物の考え方や捉え方に関係しています。つまり、あり方そのものに関わることなので、極端なところ身の安全にも関わる行為なのです。相手を否定したり反対意見を言うことは、その人の存在を否定することになりかねません。テレビの討論番組などで、頭から火を噴くような勢いで反論しているのを見ることがありますが、あれは討論というより、否定に対する拒絶反応のようなものでしょう。
会議で発言させる5つのコツ
会議では、参加者一人ひとりのリソースを有効活用することが優先されます。進行役の大切な役割は、意見を主張させるよりは、その人が持っているリソースを存分にアウトプットさせることです。そのために大切なのは「相手に語らせる」ことを意識することです。人は「経験」というストーリーを持っています。その人しか知らないこと、その人だけが経験していることに宝が隠れている可能性があります。進行役は、できる限り参加者が語りやすいように働きかけることが必要です。語らせるには次のことに取り組むといいでしょう。
1.参加者同士の安心感を作り出す
もっとも緊張するのは、知らない環境や知らない情報に触れるとき。そのために参加者同士が居心地悪くならない工夫をしましょう。会議の冒頭に1、2分程度会議で何を達成したいかについて話し合うと、お互いの参加の目的や意図がわかって安心します。
2.参加者1人ひとりの強みや専門性からの発言を促す
「Aさんは、開発の初期から携わっていましたからその観点から聞かせてください」
「セールスの現場からBさんが感じていることは何ですか?」
など、その人が持っている経験やリソースを指定して、経験知から話してもらうようにします。体験に基づく事実に話を促すと、語りやすくなります。
3.お互いの貢献を承認する
人の役に立ったり褒められるのは、誰にとってもうれしいこと。会議での発言がいかに役立ったかを本人に伝えると、さらに発言を促しやすくなります。
「Cさんが先ほど言っていたように」
「Dさんが指摘したのは大事なポイントで……」
など名前を呼んで承認すると、意欲が高まります。
4.会話を続ける質問を用意する
「その背景についてもう少し聞かせてください」
「その点も少し詳しく話していただけますか?」
「それはどういうことなんでしょうか?」
など、相手がさらに話し続けられるような質問を用意しておくこと。話のはじめの部分のほとんどは、その人の「考え」です。しかし、その考えに至った背景には経験があり、価値ある知恵が存在します。そこにアクセスするまで、話し続けさせることです。
5.沈黙を恐れない
思いもよらない側面から質問されたり予想もしなかったことに触れると、人は考え始めます。進行役が沈黙を怖がってその瞬間を邪魔してしまうと、価値ある瞬間が失われる可能性があります。進行役は多くを語らせ情報を収集しながら、誰も触れていない箇所や視点をチェックし、指摘しましょう。問いかけに相手が沈黙したら、「考えている」というグッド・サイン。そのときはじっと我慢し、相手が話し出すまで待つことです。
会議でメンバーに発言させるには、最後に全員から感想を聞くこと
必ずしも、会議の参加者がみな同等に発言するわけではありません。話すことで情報処理する人がいれば、沈黙して内容を組み立てて整理する人もいます。従って会議が終わったら必ず最後に、感想を一言ずつ聞くことです。会議の中でずっと黙っていた人が多くの気づきや発見をしていた、というケースも珍しくありません。最後に全員で共有して終わらせることは重要です。会議に大切なのは、安心して自由に話せる環境。進行役は、参加者一人ひとりに働きかけるつもりで取り組むと、会議の成果はぐんと上がるでしょう。
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