目標を自分のものとして捉えさせる
一方的に目標を提供するより、目標設定の過程に相手を関わらせることは、主体性を刺激するスタート地点ですが、明確な目標設定したからといって、相手がそのとおり動くわけではありません。確実に目標達成するには、その人の内面の価値に一致しているかがポイントとなります。前述に「人の役に立ちたい」というのは願望であると紹介しましたが、この中には、その人の価値観が見え隠れします。それは「相手の力を発揮させること」かもしれませんし、「自分のリソースを提供すること」「人に影響を与えること」だったりする可能性があります。
目標に対して「自分に意味がある」「自分が選んでいる」という意識を持つことは、自発的な行動を生むエネルギーとなります。そのために、1つの目標だけに注目するのだけでなく、他に持っている目標に目を向けながら同時に、その目標の先にあるヴィジョンとどうつながっているかを意識させることです。
「この目標を達成したら、あなたはどう成長するか」「それはあなたが目指している姿とどう関係するか」「あなたの価値観とこれはどう関連するか」などについて、常に会話をすることです。そのプロセスで、目標はただ達成するための的ではなく、自己成長するための通過点となります。
目標達成に必要な能力は何か?
能力が向上すれば、成績も伸びる |
「いつまでに達成するのか?」
「それに取り組むために次に何をする?」
「後何が必要なの?」
気をつけなければならないのは、これではアクションプランをその人の代わりに作ってあげているだけです。受ける側は追い詰められているだけで、そこには何の創造性もありません。
目標達成に必要な知識、スキル、ツールを備えさせる、ということは、その人の「能力を上げること」に関係します。すなわち、コーチする際は、相手の能力の向上を扱うのです。ですから、次の問いかけからはじめてみてください。
「あなたが目標達成する上で必要な能力は何か?」
それは、関係を結ぶ能力か? 説得力を持って伝える能力か? 調整する能力か? 提案する能力か? 人に影響する能力か?
どんな能力が必要なのかについて考え、その能力を向上するために、具体的に何から取り組む必要があるかをリストアップしてみることです。
するとただがむしゃらに目標に突き進むのではなく、具体的にどのように人と接し、日常的に何に取り組んでいけばいいかが明確になります。たとえば、関係を結ぶ能力を高めることが必要ならば
- 毎日挨拶する
- わからないことがあったらすぐに聞く
- 相手に大事だと思う情報はすぐに提供する
人は基本的に成長することを望んでいます。そして、成長の実感は生きていく上での大きなモチベーションとなります。目標設定することは、それを実現させるためのツールです。
的確な目標設定とそれを効果的にコーチすることは人の成長を後押しすることになります。
■お勧めの本
「主体的に動く~『オズの魔法使い』に学ぶ組織づくり」ロジャー・コナーズ他著 伊藤守監訳 ディスカヴァー
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