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売れる本の書き方講座【連載3】(3ページ目)

「売れる本の書き方講座」第3回目です。今回の講義は、売れている本の共通点は?、どんなテーマを題材に書いたらよいのか、自分に書けるテーマを探すには?という核心部分をお伺いします。

執筆者:塚田 祐子

■□ 質議応答タイム □■


ガイド:
今回のお話は、正に出版マーケティング!という感じでとても興味深く伺いました。何をテーマにして、どう書くか、そこが難しいところです。そこで、いくつか質問をさせていただきます。

自分で書きたいと思うテーマの本が、既に出版されている場合は、やはりテーマを変えた方がいいでしょうか?
もし、売れているジャンルであれば、2番煎じというのもあるでしょうか。

大森:
テーマにもよります。研究書とか、本当に専門的な分野だと、なかなか難しいと思います。ただ、一般的なテーマなら気にする必要はないでしょう。

例えば、英語。ありとあらゆる種類の本が出ています。それでも新しいのが続々と出版され、中にはベストセラーになる本もあります。要はマーケットが広いものなら、いくらでも工夫ができる、という意味で、チャレンジしてください。中身は前に出た本と同じなのに、タイトルを変えただけで、売れ始めた、というケースはたくさん見てきました。

「二番煎じ」も悪くないですよ。でも、やるんだったら、「本家」が出てから、できる限り早くだすこと。ブームが消えないうちがチャンスです。かつてベストセラーになった「チーズはどこへ消えた?」と「バターはどこへ溶けた?」みたいな関係のものがそれにあたります。

ガイド:
最近「図解!」をキャッチにした本をよく見かけます。同じテーマでも、切り口を変えるとか、分かりやすく見せるとか、手法を変えれば企画として成立することもありますか?

大森:
もちろんそうです。実用に近いジャンルは「分かりやすく見せる」だけで、十分商品価値がでてきます。自分が読んで、どうも分かりにくい、ここを変えれば分かりやすくなる。そう感じたら、企画として成功する可能性は十分です。「○○がおもしろいほど身につく本」とか「○○がスラスラ分かる本」といったタイトルの本は結構売れています。

あらすじで味わう日本文学
これとは少し違いますが、最近「あらすじ本」がベストセラーになっています。「あらすじで味わう日本文学」(廣済堂出版)は「明治から1980年代まで100年間の日本文学の傑作92編が2日間で読める」というのがキャッチ、「売り」です。これが「日本文学概説」とか「概観」だったら、売れたでしょうか。たぶんノーでしょう。中身というより、アイデアの勝利です。切り口を変えるとか、分かりやすく見せるとか、これは非常に大事なコンテンツです。

ではそのヒントはどこにあるでしょうか。いろいろありますが、外国で売れたものを日本に導入するというやり方はまだまだ生きていると思います。実は「あらすじ本」もある書籍に、アメリカでこれと同じ本がベストセラーになったことが出ています。編集者がこれをヒントに、出版を提案したかどうかは分かりませんが、外国の「パクリ」が非常に多いのは確かです。

ガイド:
テーマを考える時のヒントをたくさんいただき、ありがとうございます! なんだか、色々アイディアを出せそうな気分になってきました。
また、タイトルを変えただけで売れ出すというお話は、考えさせられます。前回、売れる本の3要素のトップは“タイトル!”と伺ったことを思い出しました。

■連載のバックナンバー
第1回:出版企画は、誰がどのように立てているのか?
第2回:売れる本の3要素とは
第3回:何をテーマに書いたら売れる?
第4回:出版社は、どうやって書き手を見つけているのか
第5回:出版社への売込み方法
第6回:気になる印税、新人は何%?

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