起業・会社設立のノウハウ/起業・独立開業の準備

起業時に出資してくれる人がいるときの注意点

起業するときに出資してくれるという話、ありますよね。ただ、出資の受け入れ方によっては、議決権や創業融資の面で影響が出る可能性があります。事前に検討しておくべきことも知っておきましょう。

中野 裕哲

執筆者:中野 裕哲

起業・独立のノウハウガイド

「出資してくれるという人がいます。受け入れたほうがいいですか?」、「出資を受け入れるとどんな影響がありますか?」。こんな起業相談を受けることが多々あります。出資してくれる人がいるなんて、素晴らしいことですよね。あなたのビジネスが成功すると確信し、人間的にも全幅の信頼を寄せてもらっているのですから。起業家として本当に幸せなことです。ただ、一方で、ビジネスとして考えたときには、冷静に検討しておくべきポイントがあります。起業時に出資してもらうと、どのような影響があるか、事前に知っておきましょう。

議決権割合への影響

まずはじめに考えておかなければならないのは議決権の問題です。議決権とは、株主が会社の経営方針に対して決議する権利。通常は1株につき1つの議決権があり、保有割合が高くなるほど会社経営に強い影響力を持つことになります。 

株主総会の議決権割合(株式会社の場合)

株主総会の議決権割合(株式会社の場合)


社長としては、出資総額の過半数あるいは2/3以上を確保すれば、自分以外の株主からの予期せぬ議決を防止でき、安定的な状態をつくることができます。

逆に、自分以外の誰かまたは自分以外の複数の株主が結託して過半数以上の出資割合を押さえてしまうことは、実質的には経営権を持たなくなることを意味します。「雇われ社長」の立場、もしくはいつ解任されてもおかしくない不安定な立場ともいえます。起業家といえるかどうかも微妙になるので、これをよしとするかどうかは人生観とも関係するといえるでしょう。また、たとえ少額だとしても誰かにお金を出してもらうということは非常に気を使います。この点もよく考慮しましょう。

創業融資への影響

出資を受け入れるときには十分な検討を

出資を受け入れるときには十分な検討を

出資の受入れ方によっては、創業融資を受けづらくなることもあります。例えば、世話になっている取引先の社長さんが、出資をしてくれるというようなケースです。この場合

、注意が必要なのは影響度の濃さです。全体に占める出資割合がかなりの割合だったり、業務を行う場所など多くの援助をしてもらったりするようだと、グループ会社の立ち上げをしたという見方もできます。その場合、「創業」には当たらないと判断され、創業融資ではなく、お金を出してくれた社長さんのグループ会社としての借入枠を使って融資という位置づけになる可能性もあるのです。

具体的に何%以下の出資以下だったら創業で、何%以上だったらグループ会社だという明確な基準はありません。全ての要素を見て、総合的に判断をされます。

事前に十分な検討を

このように、第三者に出資をしてもらうということは経営的に大きな影響を与える可能性があります。上記以外にも補助金や助成金なども面で影響を及ぼす可能性があります。出資してくれるという人が現れた場合、素人判断だけでいろいろなことを決定していくのは危険です。議決権や創業融資の面での影響は大丈夫かなども含め、一度、専門家に相談しておきましょう。

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