【特集取材】
“人が資源”の新組織形態、LLPの活用事例[1]
異なる専門分野のプロ4名が集結して、LLP「VanillaMan」を設立


フリーランス・エンジニアを支援する「首都圏コンピュータ技術者協同組合」を、2年前に取材した時のことです。組合の仕組みを知って、個人型の協同組合は、これからの日本で、“会社組織に代わる次世代型の企業形態”になっていくのでは、と思いました。その時、組合の方から、近々もっと良い組合のシステムが日本に導入される、ということを伺いました。それが、昨年8月に施行された、LLP(Limited Liability Partnership)、有限責任事業組合です。

個人で仕事をするフリーランスが、チームやプロジェクトを立ち上げ、連携・協力して仕事をする際の組織形態として、LLPをいかに活用して、どのような成果を得られるか。事例をご紹介しながら、フリーランスの共同化を考えていきたいと思います。

スタートは、気の合う仲間の集まりだった

ご紹介するのは、デジタルハリウッド大学大学院の院生4人で、今年3月に設立した、有限責任事業組合Vanilla Man(バニラマン)です。大学院から誕生した日本初のLLPです。代表の渡部嘉巳さんに、組織づくりや運営、業務内容についてお伺いしました。

渡部さんは、Web業界で活躍するビジネスプロデューサー。既に、ご自身で事業を運営しています。大学院に入学した目的は、さらに大きな事業展開を図るために、ビジネスの作り方を学ぶことでした。そして、大学院の学び場には、起業家やWebプロデューサー・ディレクター、プロのクリエイターが集まっていました。

■LLP立上げまでの経緯
<環 境>
デジハリの大学院には、120名に及ぶ院生が在籍。日々、自分たちのアイディアを持ち寄り、興味を持ったメンバーで仮設的なチームを作り、プランニングのブラッシュアップを行う。そうしたことが活発に行われ、学院内のあちこちで、新しいプロジェクトが立ち上がっていた。

<経 緯>
・1年をかけて、学内のプロジェクトの殆んどに参加。
・渡部さん自身も、自分のアイディアでプロジェクトをいくつか立ち上げる。
・しかし、それらの9割は、具体的なカタチにならなかった。
・それらの経験から、プロジェクトの推進には、しっかりとした組織が必要だと分かる。
・そのタイミングで、大学院の講義でLLPのことを知り、興味を持つ。
・気が合って、“このメンバーが集まったら強い!”と思う仲間でLLPを作り、ビジネスアイディアの中から最優先事項を事業化。

■Vanilla Manのメンバー紹介
渡部嘉巳さん 渡部嘉巳(わたなべ よしみ)・ビジネスプロデューサー
デジタルハリウッド大学大学院 デジタルコンテンツ研究科 修士課程修了。1998年より建築・IT・農業など、計5社のベンチャー企業にて主に経営企画・Web企画業務に従事。2002年、Eコマース事業を行う Business Creative Machineを設立。2004年、Webショップ、Hot Storeをプロデュース、同社の取締役に就任。2006年、有限責任事業組合Vanilla Man設立。
専門分野:ビジネスプロデュース及びWebマーケティング
許斐慎之介さん 許斐慎之介(このみ しんのすけ)・マーケットリサーチャー
東京学芸大学教育学部卒業。大学在学中から、インターネットに携わり、個人でサイト構築・運営・物販などを行う。2005年デジタルハリウッド大学大学院入学。アクセサリーブランド8Rinesのプランニングを手がけ、マネークリップを制作。
専門分野:SEM、SEO、アフィリエイト、ドロップシッピング。
東漸洋輔さん 東漸洋輔(とうぜん ようすけ)・システムアーキテクト
2003年、長野工業高等専門学校電子情報工学科卒業。現在デジタルハリウッド大学大学院に在学中。2005年、国立情報学研究所にて NetCommonsプロジェクトに従事。デジタルハリウッド大学助手。
専門分野:Webアプリケーションシステムの設計・構築。
土屋周防さん 土屋周防(つちや すおう)・CGデザイナー
武蔵工業大学建築学部卒業。現在デジタルハリウッド大学大学院に在籍。フリーランスのCGデザイナーとして活動。建築プレゼン用3DCG、PV、DVD、MusicClip、映画の3DC・モーショングラフィック、Webサイトのデザイン、雑誌用DTPなどの制作を行う。
専門分野:2D・3Dを含め、DTP、DTV、Web全てのジャンルに精通。


“プロフェッショナルが集まっても、それだけでは、プロジェクトは成功しない。”と渡部さん。続きは、次ページへ>>