マンション管理って何なの?
日本に分譲マンションが登場して、およそ50年。マイホームといえば、ひと昔前まで誰もが一戸建てを想像したものですが、現在では主要な居住形態としてすっかり定着し、その数およそ500万戸弱。10世帯に1世帯(全国平均)がマンション暮らしをするまでになりました。ところが、いざ生活を始めてみると、多くの方が一戸建てにはないマンション生活の難しさを実感しています。同じ建物内に壁ひとつ隔てて、年齢も仕事も生活観も異なる人々が「共同生活」を送るわけですから、当然といえば当然です。摩擦がない方が、かえって不自然かも知れません。

しかし、我慢しながら日常生活を送るのでは、一体、何のためにマンションを手に入れたのか分からなくなってしまいます。改めて、「マンション管理の重要性」を問いただす時期に来ているといえるでしょう。

そこで今回、シリーズで「マンション管理の基礎講座」を開講することといたしました。「面倒くさい」「よく分からない」と、マンション管理から逃げたい気持ちは分かりますが、半面、すでにマンションにお住まいの皆さんは、管理の重要性も十分認識しているものと察します。マンションで生活する以上、マンション管理を無視することはできないのです。そこで、記念すべき第一回目として「マンション管理って何なの?」か、一緒に考えてみたいと思います。

管理の「質」がマンション価値を左右する


今、「資産価値」の落ちないマンションが注目を集めています。不動産の鑑定評価が収益還元を基礎とする評価手法に変わったことで、「貸せる」「売れる」といったリセール・バリューのあるマンションが人気となっているからです。「割高」「割安」などという表現で、マンションの価値を評価しているビジネス雑誌を見かけた方も多いと思います。「利回りこそが、マンションのすべて」と言わんばかりの様相です。

しかし、資産価値とは、こうしたキャッシュフロー重視の収益価格による評価結果だけでは決まりません。今、申し上げたように「リセール・バリュー」がその1つであることは否定しませんが、マンションの資産価値はそれだけではないはずです。「行き届いたマンション管理」も資産価値に含まれなければならないのです。つまり、管理が行き届いているかどうかで、マンションの資産価値は大きく変化するのです。

マンション管理は「三位一体」によって形成される


では、原点に立ち返り「マンション管理」とはそもそも何なのでしょうか?「管理が行き届いている」とは、簡単にいえば「そこに住んでいる人にとっても、建物本体にとっても“きもちいい環境”である」=「ストレスを感じない」ことです。ノウハウ本を見ると、「ゴミ置場や駐輪場が整理整頓されているかどうか?外壁や廊下が汚れていないかどうかをチェックすることで、マンション管理のレベルが分かる」などと書いてありますが、それは目で見た印象が『きれいである』ことが重要な意味を持つからです。

しかし、“見た目”のきれいさだけがマンション管理ではありません。「ペット飼育に関する規定が明確になっている」「リフォームのためのルールが出来上がっている」、さらに、「消防設備やライフラインの点検が定期に行われている」「長期修繕計画があり、修繕積立金が毎月、予定通りに蓄えられている」「理事会が機能している」……… 居住者同士のコミュニティーとしての『ソフト面』、躯体(くたい)や設備などの『ハード面』、そして、忘れてならない管理費や修繕積立金など『マネー面(会計面)』の3つの側面が三位一体となってはじめて良好な住環境が形成されるのです。そして、この3面をコントロールすることこそが「管理」なのです。企業経営において「ヒト」「モノ」「金」が重要視されるように、マンション管理でも『ソフト面』『ハード面』『マネー面』それぞれが有機的に機能することが欠かせないのです。


やや抽象的な文章展開のため、読者によっては逆に「マンション管理は難しい」という印象を与えてしまったかも知れません。しかし、マンション管理の主体は居住者全員です。逃げることも隠れることもできません。「忙しい」と敬遠せず、積極的に関心を持つことから始めてください。居住者の意識改革こそが、マンション管理の第一歩となるのです。


【シリーズ】マンション管理の基礎講座
#1 マンション管理って何なの?(本コラム)
#2 管理組合の仕組みを知ろう
#3 管理会社との上手な付き合い方
#4 管理規約って何?その重要性を知る

【シリーズ】管理組合のマネープラン
1.マンション管理運営に影を落とす財政問題
2.企業の「思惑」で決まる修繕積立金の“裏”事情
3.「無知・無関心」による管理費の“不正”流用
4.修繕計画を自社の「売上表」と見る管理会社
5.管理組合と管理会社の「格差」を埋めろ!!
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