マンション管理/マンション管理・購入後の基礎知識と注意点

マンションの管理組合と管理規約

マンションの管理組合や管理規約について、購入を決める前に確認しておきたいことや知っておきたいことなど、主なポイントを簡単にまとめてみました。(2016年改訂版、初出:2004年3月)

執筆者:平野 雅之

【ガイドの不動産売買基礎講座 No.93】

前回の ≪物件見学における「マンション管理」の確認ポイント≫ では、主に中古マンションを見学する際の確認ポイントなどを説明しましたが、それ以外にも確認しておきたいことや知っておきたいことがいくつかあります。

今回はマンションの管理にかかわるポイントを簡単にまとめてみました。


管理の主体は区分所有者

前回の記事でも触れたとおり、マンション管理の主体はあくまでも区分所有者の全員であり、管理会社はそれをサポートする立場にすぎません。そのため、これからマンションを買おうとする人もマンション管理に積極的に参加する意識が必要です。

「仕事が忙しくてなかなか参加できない」という人も多いでしょうが、もし「時間はあるけれど参加したくない」「共同生活は苦手」などといった理由から区分所有者同士の活動に参加する意思をまったく持たないのなら、マンションの購入は考え直したほうがよいかもしれません。

マンションを購入して区分所有者になれば、自動的に管理組合の構成員となります。

管理組合では区分所有者の中から理事長と数人の理事(副理事長、会計担当など)を選任して、定期的な理事会や最低年1回の管理組合総会などを開催します。理事長や理事は1年~2年程度で交代し、数年~十数年のうちに全員が理事を経験するようになっていることが一般的です。


管理会社の種類は?

管理会社には、主にそのマンションを分譲した不動産会社の関連会社の場合と、独立系の場合があります。

どちらがよいとは一概にいえませんが、分譲会社に対するアフターサービスの依頼などでは関連会社のほうがスムーズであり、建物に関して紛争などが生じた場合には独立系のほうが区分所有者側の立場で交渉してくれる、などのメリットが一般的に挙げられています。


管理業務主任者とマンション管理士

近年の法改正で創設された国家資格に「管理業務主任者」と「マンション管理士」があります。管理業務主任者は管理会社の中におかれ、管理組合との業務委託契約における重要事項の説明をはじめ、管理会社内での業務などを行ないます。

それに対してマンション管理士は、管理会社とは独立して管理組合に対する運営や修繕などのアドバイスをする立場です。国土交通省による「標準管理規約」の改正(平成28年)で、マンション管理士などの第三者も管理組合の運営に直接、携わることができるようになりました。

難しいことの多い管理組合の運営において、マンション管理士の活用が期待されています。


中古マンション購入の前に管理規約を確認する

それぞれのマンションにおける生活のルールを定めた管理規約は、基本的に国土交通省の定める標準管理規約に準拠していることが多いものの、細かな内容はそれぞれのマンションの実態に合わせて修正されている場合があります。

とくに、ペットの飼育や各部屋の使用用途に関する規定、リフォームに関する規定などは念入りにチェックすることが欠かせません。

管理規約で禁止されたことをしている居住者が回りにいるようなら、管理組合がうまく運営されていない可能性もあるので注意が必要です。


管理費や修繕積立金を確認する

管理費修繕積立金は、それぞれの部屋の大きさに比例して毎月の負担額が決められているケースが多いでしょう。

管理費は部屋の専有面積1平方メートルあたり180~200円程度のところが多いようですが、管理の委託内容(事務管理業務、建物・設備管理業務、清掃業務、管理員業務など)によって異なるほか、全体の規模(総戸数)、階数(低層、中高層、超高層など)、立地エリアなどによる違いもあります。

できれば少しでも毎月の負担額を少なくしたいのが人情かもしれませんが、修繕積立金が安過ぎるマンションは注意しなければなりません。

建物を良好な状態で維持していくためには定期的な大規模修繕工事などが不可欠であり、十分な積立金がないとその実施すら困難になりかねず、ある程度の工事をするたびに特別徴収金が発生するケースもあるようです。

外壁工事のひとつをとっても、その実施には数千万円から建物の規模によって数億円単位の費用が必要であり、マンション全体の積立金総額も事前に確認しておきたいところです。


管理費などの口座はどうなっているのか?

数千万円あるいは数億円にのぼるような修繕積立金を着服したとして、管理組合の理事長や管理会社の社員が逮捕される事件も少なからず起きています。

着服などのトラブルを避けるためには、管理費や修繕積立金などの収納口座を管理組合の名義としたうえで、通帳を管理会社、印鑑を管理組合などと分けて保管することが一般的でしょう。

しかし、そのようになっていないマンションも存在します。中古マンションの購入を検討する段階で口座の管理形態まではチェックできないことも多いでしょうが、可能なかぎり確認しておきたいところです。


駐車場の権利はどうなっているか?

敷地内の駐車場が全戸数分備わっていない場合は、空きが出るたびに抽選なのか、それとも申込み順による順番待ちなのかを確認しておきましょう。

最近は少なくなりましたが、マンションによっては特定の部屋の区分所有者に駐車場の専用使用権が付随し、他の部屋の区分所有者は駐車場を使えない決まりになっている場合もあります。

もっとも、近年は都市部の駅近マンションなどで、逆に駐車場を借りる人が少なく余っている事例も増えつつあるようです。空き駐車場の増加は管理組合の運営を圧迫しかねないため、自分が利用する予定はない場合でも、その状況を確認しておくことが欠かせません。


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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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