マーケティング/マーケティング事例

激化!“甘くない”炭酸飲料の甘くない戦い(2ページ目)

今、炭酸飲料市場が熱い!無糖炭酸という新しいジャンルでヒットを飛ばしたキリンビバレッジの「NUDA」。その甘い果実の恩恵に与ろうと飲料各社が無糖炭酸市場に参入。果たして厳しい競争に勝ち残るのはどの企業か?

安部 徹也

執筆者:安部 徹也

マーケティング戦略を学ぶガイド

厳しい競争を勝ち抜くための戦略とは?

競争戦略
厳しい競争に勝ち残るには状況に応じたマーケティング戦略が重要
炭酸飲料市場では2大企業であるコカコーラ社とペプシ社が激しい競争を繰り広げており、コカコーラやペプシコーラなどの炭酸飲料が市場の大半を占めています。また、価格競争も激しく、トップ2に続く飲料メーカーでは同じ分野に新製品を投入しても上位2社を切り崩して売上を上げることは至難の業ですし、ましてや相当の利益を確保することはより難しい状況です。

ハーバード大学のマイケル・ポーター教授によれば業界内で競争を優位に進めるにはユニクロのように業界全体を対象として低コスト生産の仕組みを構築し競争優位を築く『コストリーダーシップ』やルイヴィトン、シャネル、エルメスなど業界全体で他社の真似できない商品を提供して競争を優位に進める『差別化』があります。また業界トップ企業に比べて経営資源に余裕のない企業はシャープが液晶技術に特化して『液晶と言えばシャープ』というブランドを確立したように、ある特定の分野に特化した『集中』戦略で競争を優位に進めることが可能になります。これら3つは競争を優位に進めるための基本戦略であり、企業は自社を取り巻く環境に応じて戦略を選択する必要があるというわけです。

『集中』こそが弱者にとっての競争に勝ち抜く有効な戦略

今回キリンビバレッジを始めとした飲料メーカーが採用した戦略は敢えて大きな市場でトップ2と真っ向勝負に挑むのではなく、無糖炭酸のような新しい市場を開拓し、そこで先陣を切ってブランドを築き上げて、おいしい果実を摘み取ろうという『集中』戦略だったのです。まだ、トップ企業が力を入れない小さな市場でトップシェアを確立すれば先行者利益を享受することができますし、市場が拡大した段階でトップ企業が参入してきても無糖炭酸市場では確固たる地位を確立しているので競争を優位に進めることができます。

このように同じ業界に勝ち目の無い企業がいる場合にはニッチ市場に集中的に経営資源を投下して、ブランドを確立し、先行者利益を獲得する戦略は業界3番手以降の企業が生き残る戦略として有効に機能します。

無糖炭酸という市場は果たして今後大きくなっていくのか?そしてこの新しい市場でまず初めにブランドを築くのはどの飲料メーカーか?暑い夏が終わるころにはこの熱い戦いの結果がある程度判明するのではないでしょうか。


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