営業のノウハウ/営業の商談・ヒアリング

お客さんが「お返し」したくなる関係を作るには(2ページ目)

最終的にお客さんから受注をいただくためには、友好的関係と信頼関係を築かねばなりません。少しずつそれらを積み上げていくために必要な法則を今回はお伝えします。

西野 浩輝

執筆者:西野 浩輝

営業ノウハウガイド

基礎編:小さな約束を守ることを繰り返す

先ほど例として出した電気量販店での接客場面では、一度の接客で「返報性の法則」が働き、テレビの購入に結びつきました。けれども実際には多くの営業場面では、「小さな約束を取りつけ、守ること」の繰り返しが大切になります。

例えば、お客さんがある情報について知りたがっていたとき、「その件についての資料でしたら当社にありますので、後日お送りいたしますね」と言って、さっそく翌日にはメールや郵便で送ります。しかし一回だけでは、まだあまり効果がありません。

こうした「小さな約束を取りつけ、守ること」が何度も繰り返されることによって、お客さんは徐々に「営業マンのAさんは、いつも自分のために役に立つ情報提供をしてくれているので、ありがたいな。何かお返ししなければ」という気持ちが高まっていきます。そして商品の購入に一歩、二歩と近づくわけです。

ただし言うまでもありませんが、お客さんが望んでいない約束を無理矢理取りつけて守ったとしても、お客さんとしてはありがた迷惑でしかありませんから、その点は注意が必要です。

また約束を取りつけるときにも、コツがあります。それは「この約束を履行するのは、結構大変なんですよ。でも私は、いつも頑張って約束を守っています」ということをさりげなくアピールすることです。

例えば、約束をするときに「今週中には資料を作成してお送りできそうだな」と思っても、「何とか頑張って、来週の前半にお届けするということでよろしいでしょうか」と言います。そして実際には今週中に送ります。するとお客さん心理としては、「営業マンのAさんは、忙しいはずなのにいつも頑張ってくれるな」という気持ちにますますさせられるわけです。

約束した期日よりも前に約束を果たすことは、こちらの頑張りを相手に感じてもらううえで、非常に効果的です。その分「返報性の法則」が働きやすくなるわけです。

ところが多くの営業マンは、逆の頑張り方をしてしまうんですね。例えば、「今週中に資料をお送りするのは、ちょっと厳しいな」と思っても、無理をして「何とか今週中にお送りします」と約束します。そして結局約束を守れず、お客さんからは「あの営業マンは自分のことを大切にしていないな」と思われてしまいます。「返報性の法則」が働かなくなってしまうわけです。

頑張っているのに、頑張りが報われない。多くの営業マンは、頑張りどころを間違えていると思います。
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