営業のノウハウ/営業の商談・ヒアリング

【連載】説得と交渉の営業心理学 第8回 連合による心理操作(2ページ目)

私たちは良いニュースを知らせる人を好きになり、悪いニュースを知らせる人を嫌いになる。あるものと別のものを、無意識のうちに結びつける「連合の原理」とは・・・。

執筆者:鹿俣 之信

仕組まれた広告

テレビCMには、好感度の高い俳優、人気のスポーツ選手、売れっ子のアイドル、流行のキャラクターなどが登場する。これも商品と関連がないことが多い。例えば、アイドルとアイスクリームに関連性はないし、スポーツ選手とパソコンにも関連性はない。

なぜ広告主たちは、商品と関連のない有名人をCMに起用するのだろうか。実はこの手のCMは、商品と有名人のあいだに関連性があろうがなかろうが、商品のイメージをアップさせることが分かっているのである。広告主の目的は、有名人の好ましいイメージを商品と結びつけ、意図的に商品イメージを作り上げることなのである。

美味しい食事は快楽

政治の世界では、立派な会議室があるにもかかわらず、高級なレストランや料亭で会合を開くことが多い。会議室での交渉では通らないようなことも、食事をしながらだとあっさり通ることが少なくない。政治家たちは、気難しい相手との会談や重要な交渉ごとは、美味しい食事をしながら行なうほうが上手くいくことを、経験的に知っている(あるいは戦略的に利用している)のである。

美味しいものを食べるというのは「快楽」である。その快楽は、食事中のさまざまな記憶と結びつく。その結果、食事を共にした人々や、そのときに交わした会話までもが、よい印象を残すのである。このように、美味しい食事を利用して好感度を高める手法は「ランチョン・テクニック」と呼ばれている。

イメージを操作する

「連合の原理」は応用範囲の広い心理法則である。なにしろ全く関係のないもの同士でも結びつけることができるのだ。「連合の原理」を利用することで、私たちはイメージを操作できるようになる。

例えば、自分の印象を良くしたければ、好ましいイメージを持つものと自分を結び付けるようにすればよい。自分に自信がない人が、高級ブランドの服や時計や車で自分を装飾するのは、それらが持つ好ましいイメージを自分に結び付けようとする試みなのである。

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【連載】説得と交渉の営業心理学
第1回 二度目は断れない
第2回 拒否させて譲歩する
第3回 一面呈示と両面呈示
第4回 結論を言わない暗示的説得
第5回 手に入りにくいほど欲しくなる
第6回 他人の真似をする社会的証明
第7回 人を服従させる権威の力
第8回 連合によるイメージ操作

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