クロージングには神経を使うもの |
お客さんはどうやらこちらからの提案を気に入ってくれたようだ。購入にあたって出る疑問や不安に対しても1つ1つ丁寧に答え、ほぼ解消できた。うまくやれば一気に契約まで持っていけるかも。あと一押しだ・・・。
上記は営業マンにとって非常にいい局面で、あとはクロージングに持っていくのみの状況のようですが、意外とここからが難しかったりするものです。
こういった状況での、よくあるクロージングにおける失敗は以下の2つ。
(1) いきなり契約を迫りすぎて、ちょっと押し売りっぽくなり、その後のお客さんとの関係がギクシャクなってしまう。そのため結局また一から仕切り直しになる。
(2) お客さんに検討、決定を促す勇気がなく、結局タイミングを逃して、話も流れてしまう。
営業プロセスにおいては、「お客さんを買いたい気持ちにさせていく」というのと、「クロージングまで持っていく」のは、そのポイントが少し違ってきます。
先日、私がお客として営業を受けた際の営業マンは、この「クロージングに持っていくプロセス」が非常に上手でした。
以下にその営業マンが取った具体的行動やトークを例で示しながら、「スムーズなクロージング」のためのコツをご紹介しましょう。
ツールを使って、クロージングの雰囲気を醸し出す
上記の営業マンは、一通りの商品説明をしたあと、私から疑問点などを聞き出し、それに対して答えていきました。
そのやりとりが「ほぼ終わりかな?」というタイミングで、ちょっと声のトーンを変えて「では、今後のスケジュールのイメージについてご説明します」と言ってきました。
そして、スケジュール表を見せながら、今後の検討プロセスをかなり事務的に説明し始めました。あくまで「手続きの一つです」というトーンで。
これはなかなかうまいやり方です。具体的なスケジュール表という「ツール」を使い、かつかなり事務的に進めることで、
(1) 相手に「迫る」感じを和らげることができる
(2) 「一緒に検討しましょう」という雰囲気が出やすい
という効果を出すことができます。
テストクロージングで本気度を探る
次にこの営業マンは、テストクロージングをしてきました。
「テストクロージング」というのは、読んで字のごとく、「試験的にクロージングを迫ってみること」。
言い換えれば、「軽くジャブを打つような感じでさりげなく決定を促してみて、反応を探る行動」とも言えます。
そのときのトークは以下のようなものでした。
「このA案とB案ならば、どちらがより西野様にフィットしているとお感じになりますか?」
「あくまで仮にですが、もし購入されるとすると、いつぐらいのイメージでしょうかねぇ?」
ここでうまいのは、状況をさぐりながら、相手を少し「その気」にさせていること、ですね。