【ガイドの不動産売買基礎講座 No.53】

マンションの広告やパンフレットには、ときどき「SI」と表示されているものがあります。最近では建売物件でも「SI住宅」がみられるようになってきました。

パンフレットなどの情報を詳しく読み込めば「なるほど」と分かるでしょうが、初めてだと何のことやらさっぱりという人が多いかもしれません。「SI住宅」が何なのか、簡単にまとめておきましょう。


「SI」は「スケルトン・インフィル」のこと

「SI住宅」とは、スケルトン(建物の梁や柱、床などの構造部分)と、インフィル(内装・設備など)を分離したものです。

S=Skeleton(スケルトン)
I=Infill(インフィル)

一般に「SI住宅」といえば、100年以上の耐久性を持つような高強度の建物構造に、間取りや内装の可変性・更新性を持たせたものを指し、住む人のライフスタイルや家族構成に合わせて、自由に内装工事をすることができます。

また、将来的なリフォームも容易であり、マンションの場合でも専有部分の間仕切り壁やドアなどをすべて取り外したり、水回りも位置を変えたりすることができるため、かなりダイナミックなリフォームが可能になるでしょう。

その一方で、躯体の強度を高めることや配管や配線を二重床などに収めるため、構造部の建築コストが10%程度アップするともいわれています。


SI住宅をめぐる登記制度の改正

以前から、内装のオーダーメードやフリープランといった形の新築物件が少なからず販売されてきました。

しかし、いずれも間取り変更の受付を販売開始から一定の期間で締め切り、その後は通常の内装を施して販売されていました。スケルトン状態のままで引き渡されることはなかったのです。

新築マンションが完成すると、すべての部屋の「表題登記」をします。そのとき、従来の規定では未内装の部屋がひとつでもあると登記できず、建物完成時にはすべての部屋の内装工事を終わらせなければなりませんでした。

その規定が2002年12月に改められ、未内装のままの部屋が残っていても登記をすることが可能となったのです。


期待どおりには「SI住宅」が普及していない?

表題登記の取り扱いが改められたことにより、スケルトン状態のまま引き渡して、買主が自由に間取りや内装工事をするタイプの物件が増えるものと期待されましたが、実際のところはどうでしょうか。

未内装の部屋を登記する際には、種類を「居宅(未内装)」とすることや、所有権の保存・移転登記をする際の課税標準固定資産課税台帳に未登載の場合)は「倉庫」に準じた評価をすることなどが定められています。

また、「居宅(未内装)」のままで建物を取得したとき、マイホーム購入に対するさまざまな税制上の優遇措置を受けるためには、インフィル工事完成後に「居宅」に変更してから所有権の保存・移転登記をしなければなりません。

そのような手続き上のハードルのほか、工事内容によっては建築確認変更など、クリアしなければならない問題もあり、当初の期待どおりには「SI住宅」が増えていないようです。

その一方で、内装工事が終わった新築マンションの引き渡しを受けてから、入居前に自分好みの内装や設備に変えるなど、こだわりをもつ消費者もいるようです。

そのあたりのニーズをうまくマッチングできるようになれば、もう少し「SI住宅」が普及をみせる場面もあるでしょう。


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