マンション購入術/マンション情報収集術

不動産広告の基本(土地や建物の面積表示)

「不動産広告の基本」の4回目。今回は「土地面積」と「建物面積」の表示に関する規定についてみていくことにしましょう。(2017年改訂版、初出:2003年12月)

執筆者:平野 雅之

【ガイドの不動産売買基礎講座 No.79】

不動産広告について、前回は物件から最寄り駅までの徒歩時間、電車やバスの所要時間などに関する規定を説明しました。引き続き今回は、土地面積および建物面積の表示に関する規定をみていくことにしましょう。


土地面積の表示方法

土地の面積は、その水平投影面積を「平方メートル」で表示します。敷地の中に斜面や凹凸を含んでいても、あくまでも水平にならした面積であり、決して土地の表面積ではありません。

なお、敷地の中におおむね30%以上の法地(のりち、または法面=のりめん、斜面や擁壁部分など)を含む場合には、その旨が表示されることになっています。

不動産の面積表示は切り捨てが基本です。たとえば、234.567平方メートルの土地を表示する場合には、234平方メートルまたは234.56平方メートルとなります。また、補足的に「坪」を表示することもありますが、「坪面積」だけの表示で済ませることはできません。

分譲地や新築分譲住宅では、「○○~○○平方メートル」のように区画の中での最小面積と最大面積だけが表示されることも多くなっています。このとき、最小面積と最大面積の中間が平均面積とは限りませんから、面積の差が大きい場合には注意しなければなりません。

私道の負担面積がある場合はその面積が表示されることになっていますが、たとえば「123平方メートル(別途、私道12平方メートル)」のように表示される場合と、「123平方メートル(私道12平方メートルを含む)」のように表示される場合があるため注意が必要です。

後者の有効面積は111平方メートルであり、建ぺい率容積率などを計算するときにはこの有効面積が基準となるほか、単価を比べる場合にも有効面積をもとに計算することになります。

法42条2項道路(4m未満の道路など)でセットバック(SB)が必要となるときも、私道の場合と同様です。

ただし、「測量をしなければ具体的な数値が分からない」などの理由で、広告の段階では私道やSBの面積を表示していないケースもあります(中古住宅や1区画の売地など)。

さらに、SB面積が土地全体のおおむね10%未満のときには、その面積表示が省略されている場合もあるでしょう。

また、私道やSBの面積以前に、敷地そのものの面積がはっきりしない場合もあります。少なくとも登記面積は存在するわけですが、これと実測面積が一致しない、あるいは実測をしていない土地も数多く存在します。

中古住宅や個人が売主の土地の広告表示で、その土地面積が「登記面積」なのか「実測面積」なのかがはっきりしないケースも少なくありません。

過去に開発分譲された土地や区画整理された土地などでは、登記面積と実測面積がおおむね一致していますが、昔の区画そのままの土地、山林や畑だった土地などではこれが大きく異なる場合が多いようです。


建物面積の表示方法

マンションの専有面積について、広告やパンフレットに表示される面積(壁芯面積)と登記記録に記載される面積(内法面積)が異なることは、よく知られているでしょう。

壁芯は厚みのある壁の中心線で計った面積、内法(うちのり)は壁の内側部分の面積ですから、登記面積のほうが狭くなります。

一戸建て住宅では登記される面積も壁芯計算によりますから、マンションのような不都合は生じません。また、登記記録の表題部に記載される各階床面積(1フロア全体の面積)は、マンションの場合でも壁芯計算によっています。

ここで注意しなければならないことは、税法上の優遇措置などで「50平方メートル以上」などが要件となっているものは、そのほとんどが登記面積で判断されるということです。微妙な面積であれば必ず事前によく確認しなければなりません。

なお、等価交換により建てられたマンションでもとの地主が取得した部屋など、非分譲の部屋については、新築時に壁芯面積が表記されない(パンフレットなどに記載されていない)ため、中古マンションとして売却されるときにも壁芯面積が分からないまま、登記面積だけが表示されているケースもあります。

また、マンションの専有面積にバルコニーや専用庭などの面積が含まれないことは現在では常識になっているでしょう。

ところが、昭和30年代~40年代半ば頃に建てられたマンションのパンフレットでは、バルコニーをはじめ付設するものすべてを含んだ「総面積」で専有面積を表示してあるものもあり、不注意な不動産業者がうっかりとその数字を転記してしまうようなケースも稀にあるようです。


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