東京23区では2008年4月から順次、家庭から出される一般廃棄物としてのプラスチック(「廃プラスチック」といいます)を『可燃ごみ』として扱うことにしました。これまで不燃ごみとして主に埋め立て処理してきたのを改め、焼却処理しようというのです。

その背景には、東京23区が抱える“ごみ事情”があり、また、プラスチックを取り巻く社会情勢の変化も関係しています。プラスチックには「燃えにくい」「燃やすと有毒ガスを発生して健康被害の危険がある」といったイメージがあり、当然、焼却処理に反対する意見も少なくありませんでした。しかし、ごみ処理能力の問題・リサイクル意識の高揚など、時代の流れからしても「待ったなし」という状況まで追い込まれていました。そういう意味では、今回の『可燃ごみ』化は必然の流れと言えるのかもしれません。

そこで今回、東京のごみ問題を取り上げたいと思います。なぜ、プラスチックを燃やす必要があるのか?……いっしょに考えてみましょう。

※大田区のように、2008年4月以前から廃プラスチックを可燃ごみとして処分している区もあります。

廃プラスチックは「有効資源」「埋め立て不適物」


まずは、23区が直面する廃プラスチック処理の現状から見てみましょう。東京23区がごみ収集する廃プラスチックの量は年間約50万トンだそうです。その内訳をみると、約30万トンが不燃ごみとして捨てられ、埋め立て処理されています。そして、残りの約17万トンは可燃ごみとして“不適切”な分別がなされ、他の可燃ごみに混入して一緒に焼却処理されてしまっているそうです。つまり、3割強の廃プラスチックは以前から燃やされているのです。

では、なぜ、プラスチック廃棄物を燃やさざるを得なくなったのか? そこには3つの理由がありました。


  1. 最終処分場(埋め立てる場所)の残余容量に限界が見えてきた
  2. 廃プラスチックをリサイクルしようという意識の表れ
  3. ごみの焼却技術・能力の向上

「夢の島」という言葉をご存じでしょうか? 南国のリゾート地のことではなく、そう、東京湾のごみ埋め立て処理場(江東区14号処理場)のことです。現在も23区のごみは東京湾内のいくつかの処理場で最終的に埋め立て処理されており、このままではおよそ30年後に満杯になってしまうそうです。その上、新たに処理場を確保することも容易ではなく、残余容量に限界が見えてきたことがプラスチックの焼却処理につながっています。廃プラスチックは軽く、かさばることから、これを焼却することで最終処分量を大きく削減する効果が期待できるのです。

次に、リサイクル意識の高まりが2番目の理由です。マイホーム業界では循環型住宅市場の構築が声高に叫ばれ出していますが、廃棄物においても資源の再利用が注目されるようになっています。東京都では、廃棄物処理計画において廃プラスチックを『有効資源』と位置付け、『埋め立て不適物』と表明するほどの力の入れようです。

ここでいう資源の再利用とは、1つは廃プラスチックをもう一度、プラスチック製品に再生して利用する方法、あるいは、熱や圧力を加えて元の石油などに戻してから再生利用する方法のほか、今回は「サーマルリサイクル」という試みが本格化しようとしています。

排熱を発電に活用するのが「サーマルリサイクル」


サーマルリサイクルとは、廃プラスチックを焼却した際に発生する熱エネルギーを再利用しようという考え方のこと。排熱(熱エネルギー)を発電に利用することで、新たなエネルギー源(廃棄物発電)を確保しようという発想です。また、ごみ焼却による熱エネルギーを有効利用することは、同時に化石燃料の使用量抑制にも一役買います。地球温暖化ガスを排出してしまうというマイナス面はありますが、資源の保全効果や経済性において、総合的には有効なリサイクル手段と考えられています。

そして最後が、ごみの焼却技術・能力の向上により、有害ガスの発生あるいは焼却炉の破損の問題などが解決されたことも大きく影響しています。この点は廃プラスチック焼却を促す直接の理由ではありませんが、焼却処理するためのインフラ整備が出来上がったことで、サーマルリサイクルを始動させるきっかけにつながっています。

23区では、1974年(昭和49年)から廃プラスチックを『不燃ごみ』として処理してきました。2008年4月から順次、廃プラスチックは『可燃ごみ』へと変わります。では、実際にはどうやって分別すればいいのか? 次ページで、新しいごみの出し方・分け方をご説明します。